暗黒大陸編でネオンの死が示唆されましたが、その真相は謎のままとなっています。彼女の命を奪った容疑者、彼女に消えてほしかった人とはいったい誰なのでしょうか?

 キメラアント編のある出来事、その後のストーリー展開を考えるとネオンの退場は必然と思われます。次の容疑者たちは、彼女に消えて欲しかった動機のあるキャラクターです。

◆占いができなくなって絶望──自死の可能性

 ネオンは銀河の祖母の言葉に感銘を受けてずっと占い師に憧れていたと語っており、天使の自動筆記(ラブリーゴーストライター)を発動させられるようになるくらいですから、その想いはかなりのものでしょう。そのため、能力が使えなくなっことに絶望して自ら命を絶った可能性はあります。

 ただ、ネオンはかなりのわがままで平気で周りを振り回し、「人体収集家」というアングラな趣味を持つ、他人より自分のことが大事な性格です。ネオンの世話係であるエリザが恋人の死を知って激しく動揺した際には、彼女もショックを受けたようですが、自ら死を選ぶようなタマではないように思います。

 実際にゴンたちがグリードアイランドに入って、3ヵ月以上が経過した頃にはまだ生きていました。能力が使えなくなったことに意気消沈していたものの、思い詰めて死を選ぶほどではなかったです。

 そこからクロロの盗賊の極意(スキルハンター)にあった天使の自動筆記(ラブリーゴーストライター)の能力が消えていたことが判明するまでに、1年以上が経過していると思われます。その間に何かあった可能性はありますが、ネオンの性格から自ら命を絶ったという可能性は低いでしょう。

◆追い込まれたノストラード──父が娘を手にかけた可能性

 むしろ精神的にまいっていたのは、ネオンより父のライト=ノストラードです。組がのしあがるための頼みの綱であったネオンの能力がなくなって、追い詰められたライトが娘の命を奪った可能性はあるでしょう。

 ライトはクラピカに対して「オレはどうしたらいい?」と答えを求めたり、「早くネオンを元に戻せ」と怒鳴ったり、「う~なぜこんなことに…」と落ち込んだり、かなり情緒が不安定となっていました。

 また、もともと彼は「これさえあれば金など掃いて捨てる程入ってくる」と、ネオンを物扱いしており、このことから一般的な父親が娘に持つ愛情はないように思われます。

 しかし、かなり情緒が怪しくなっていたとはいえ、ライトがマフィア界で返り咲くにはネオンの力が必要です。「ネオンを元に戻せ」と言っていることから、この切り札を自ら完全に断つ選択は思いとどまる可能性も高いでしょう。

 また、クラピカはノストラード組での仕事ぶりからかなりの裁量権を与えられており、十二支んに入ったときには組の若頭と紹介されていました。このことから組長はまだ再起不能状態のライトであり、彼に代わってクラピカがノストラード組を仕切っていると考えられます。

 ネオンの死はライトの終わりを意味しますから、彼の精神状態でもし彼女に手をかけたなら、そのまま自らも死を選ぶ可能性が高いでしょう。

 仮に組長が別の人に代わっていれば、組にとって重要な念能力者であるセンリツやバショウをクラピカに自由に使わせるはずはありません。

 このことからライトは、まだ生きている可能性が高いです。ただ、クラピカからするとライトがお飾りの組長としていてくれたほうが実権を握って組織を自由に使えるため、ネオンの命を奪った後に彼の自死を止めた可能性も考えられます。

◆緋の目を取り戻すためにネオンと衝突──クラピカの可能性

 クラピカがネオンの命を奪った可能性は限りなく低いでしょう。クラピカにとってネオンの人体収集家として横のつながりは重要ですし、そもそもネオンのため競り落とした緋の目はコルトピがコピーした偽物でした。

 過去に護衛の採用条件にあった緋の目を持って来た人がいる可能性もありますが、クラピカは緋の目回収にあたって「死んでも渡さない」と言った相手に対しても命を奪うことなく成功させています。

 そのため、ネオンが緋の目を持っていたとしても、クラピカがそれを取り戻すため命を奪った可能性はまずないと考えてよいでしょう。

 それに現在のノストラード組はクラピカの手腕によって新しい稼ぎを得ており、ネオンたちはそれによって生かされている状態です。

 もし彼女の天使の自動筆記(ラブリーゴーストライター)が復活すれば、クラピカがリストアップした人物を占ってもらうことも容易でしょう。天使の自動筆記(ラブリーゴーストライター)は本人がその場におらずとも、写真を目の前に置けば占えます。

 結果は電話や画像送信で知らせることができるので、クラピカはかなりのチート能力を得ることが可能です。判断に迷ったときネオンに占ってもらえるなら、かなりの確率で危機を回避できるので、彼女を生かしておきたいと考えるでしょう。

◆ネオンを煙たがっていた者の仕業──マフィアにねらわれた可能性

 ヨークシン編に登場してやたらライトに絡んでいたゼンジをはじめ、ネオンの力でのし上がったノストラード組をおもしろくないと感じていたマフィアは多いはずです。十老頭の中にもネオンの占いのファンがいたため、それを妬むマフィアに命を狙われた可能性は大きいでしょう。

 ネオンはクロロに能力を盗まれて天使の自動筆記(ラブリーゴーストライター)を使えなくなりましたが、マフィアの中には念能力について知らない者も多いです。また、彼女の能力が復活しても困るので、消しておこうと考えても不思議ではありません。

 クロロの依頼でイルミに十老頭が消されていたことも、ノストラード組を追い落とす追い風となります。ノストラード組はネオンのファンである十老頭の後ろ盾を失っており、そのポジションに敵対するマフィアが就けば彼女を葬るのも難しくないでしょう。

 クラピカは組を機能させるため新しい収入ルートを作ることに奔走しており、ネオンのガードまで手が回らなかった隙を突かれた可能性は考えられます。このことからネオンの命を奪ったのは、敵対するマフィアである可能性は高いです。

◆クロロとの決闘を実現するために──ヒソカの可能性

 ヒソカもネオンの命を奪った有力な容疑者の1人で、彼はクロロの念能力を復活させる契約を実現させたものの、決闘という報酬は支払われず逃げられてしましました。

 そのため、クロロを捕まえるために邪魔になる天使の自動筆記(ラブリーゴーストライター)の能力を消そうとネオンの命を奪った可能性は十分考えられるでしょう。

 何しろクロロは1度、ネオンの能力でヒソカを占っています。天使の自動筆記(ラブリーゴーストライター)は顔写真があれば占えますから、クロロは常にヒソカの未来を知れる状態にあるということです。

 しかし、クロロの盗賊の極意(スキルハンター)から自動筆記(ラブリーゴーストライター)が消えたのは、天空闘技場での2人の対決の前だと思われます。なぜなら、クロロが自動筆記(ラブリーゴーストライター)を使えれば、ヒソカが事前に死なないことを知れたはずだからです。

 シャルナークとコルトピに能力を借りたのも対決の直前でしょうから、そのときにヒソカを占って彼らに予言を見てもらえば、ヒソカの占いの4行詩が決闘後も続くことを確認できました。

 ヒソカが息を吹き返す予想外のことが起こり、逆にシャルナークとコルトピがやられてしまう事態は旅団にとって致命的。クロロほどの男であれば自動筆記(ラブリーゴーストライター)を使えれば、この事態を回避していたでしょう。

 そもそもクロロの念能力復活は、同時にヒソカに狙われることを意味します。そのため、盗賊の極意(スキルハンター)が使えるようになった時点で、ヒソカから逃げるために自動筆記(ラブリーゴーストライター)を利用しない手はありません。

 クロロはシズクに対して、自動筆記(ラブリーゴーストライター)が「いつの間にか消えていた」と答えています。もし念能力が復活して自動筆記(ラブリーゴーストライター)を使おうとしてなかったのなら、「能力を封じられている間に消えていた」と答えるハズ。

 また、フェイタンたちが流星街に侵略して来たザザン隊を討伐したとき、フィンクスはクロロからの連絡を心待ちにしていました。このことからクロロはまだ団員と接触できない状態だったと思われます。

 そして、選挙編でヒソカがイルミと再会したときには、クロロと戦うために追いかけていたものの逃げられた後でした。そのため、このときにはクロロの念能力が復活しているのは確実です。

 そのため、クロロの念能力が復活したのはキメラアント編のクライマックスであるゴンたちが王宮に突入した辺りから、選挙が始まった頃の短い期間となります。

 クロロは念能力が復活すると、すぐに自動筆記(ラブリーゴーストライター)でヒソカの未来を知って上手く逃亡。ヒソカから逃げて一段落ついてから、彼との決戦に備えて準備を開始。そして、いざ天空闘技場でヒソカと決戦することとなり、その前に自動筆記(ラブリーゴーストライター)を使おうとしたら消えていたのではないでしょうか。

 選挙の投票に行ったときにヒソカは既にクロロを追うのを諦め、次のターゲットとしてジンや十二支んと戦うことを考えていました。

 ハンター協会会長選挙の間に時間を持て余したヒソカが、自分の未来を予知できる自動筆記(ラブリーゴーストライター)をクロロの持ち能力から消すために、ネオンの命を奪った可能性は大いに考えられるでしょう。

◆ネオンに退場して欲しかったのは原作者か──生きている可能性は低い

 除念師によって念能力を解除してもらい、ネオンの能力が戻っただけで彼女が生きている可能性も考えられるでしょう。しかし、このような便利な能力があって困るのはストーリーを考える原作者であり、ネオンの存在をもっとも邪魔と考えていたのは冨樫先生の可能性があります。

 天使の自動筆記(ラブリーゴーストライター)が引き続きクロロの手にあれば、幻影旅団の動向はこの占いによって決まってしまいます。何しろ100%当たる未来予知のうえ、危機を回避するヒントまでくれるチート能力です。

 実際にブラックホエール号内でのヒソカ狩りにあたっては、シズクが占ってほしいと提案しています。もしクロロの盗賊の極意(スキルハンター)から自動筆記(ラブリーゴーストライター)が消えていなければ、幻影旅団はこの占いをふまえた上で行動を決めたほうが明らかに有利です。

 仮に除念によってネオンのもとに戻っていれば、ノストラード組にいるクラピカがこのチート能力を使わない手はありません。

 つまり、ネオンが生きていれば幻影旅団、もしくはクラピカの今後の行動が常に占いによって決まる縛りが生まれます。そうなってしまうとストーリーとしておもしろくないですし、いちいち占いの4行詩を考えるのも原作者にとって大変そうです。

 キメラアント編のノヴの窓を開く者(スクリーム)とメレオロンの神の不在証明(パーフェクトプラン)の組み合わせは、メルエムにも通じる無敵のコンボとなり得る可能性がありました。そのため、ノヴはモントゥトゥユピーのオーラに心を折られてリタイアすることに。

 チート過ぎる能力を持つネオンも同じ理由で、ストーリーから排除する必要があったと考えられます。そのため、ネオンが生きている可能性は低く、死んでいなかったとしても今後のストーリーに関わってくる可能性は極めて低いでしょう。

 

 ──バトル漫画において便利過ぎる能力は、原作者の悩みの種になる可能性もあるようです。しかし、その能力を持つのがメインキャラクターでなければ、退場させることも難しくはないでしょう。チート過ぎる能力を持ったサブキャラクターが現れたら、あまり長い活躍は期待しないほうがいいかもしれません。

〈文/諫山就〉

《諫山就》

フリーライターとして活動中。漫画・アニメ・医療・金融などの記事、YouTube用シナリオを執筆・編集しています。

 

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