ネフェルピトーを倒すために限界を超えたゴンは念能力が使えなくっており、主人公なのに久しくストーリーにも絡んでいません。新大陸でジャジャン拳ではきついのでリセットした、もう2度と念能力が使えず戻って来ないのではないかという見解もあります。

 しかし、このまま主人公がフェードアウトするとは考えらず、そこには何かしらの意味があるハズ……。ゴンが念能力を使えなくなった理由と意味を考察していきます。

◆ゴンさん化は制約と誓約でオーラを前借りした結果?

 ゴンは強制的に成長してネフェルピトーを倒しましたが、キルアのセリフから将来到達するであろう力を前借りしたものと考えられます。イルミは「ある意味死よりも重い誓約と制約を念じたんだろう」と推測していました。

 制約は言い換えれば覚悟、誓約は代償になります。ゴンは「もうこれで終わってもいい」「2度と念能力を使えなくなってもいい」という覚悟のもと、自分が将来得られるはずだった死以外のすべてのものを代償としてネフェルピトーを倒すだけの力を手に入れたのでしょう。

 そのため、戦いが終わったあとは見るも無残な植物人間のような姿になってしまい、かろうじて生きているような状態でした。その後ナニカの力によって元に戻れたものの、ゴンはオーラが見えなくなってしまいます。

◆ナニカの力ではゴンの誓約も戻せなかった?

 ゴンが念能力を使えなくなってしまった理由としてまず挙げられるのは、ナニカの力で体は治せたものの制約と誓約によって払った代償は戻せなかったという見解です。この場合、除念が必要になりそうですが、ハンター協会の除念師が1度サジを投げているため、ゴンの念能力復活は難しくなるでしょう。

 しかし、すべてを投げ打つ覚悟だった制約と誓約がまだ有効ならば、そもそも元にすら戻れないのではないかと思われます。覚悟に相当するものが念能力を2度と使えないことのみだったとしても、それならばオーラすら出ない状態になっているはずです。

 ですが、ジンはゴンからオーラが出ていたといっており、見えなくなっているだけと判断しています。さらに身もフタもないことをいえば、主人公であるゴンがこのまま念を使えないままという展開はないでしょう。

 暗黒大陸というスケールの大きな舞台が現れ、ドン・フリークスというジンよりはるかに強いと思われるキャラクターの存在も明らかになりました。確実にゴンと血縁関係がありそうな人物であり、暗黒大陸にジンが大きく関わってくるのにここにゴンが絡まないのは考えづらいです。

 ゴンが前借りしたオーラの総量は相当なものであり、それを支払うまで念能力が使えないのだとしたらこれから何十年という期間、戦線離脱することになるでしょう。かといって次に登場したときにあっさり念能力が復活するという簡単な展開になるとも思われず、ゴンがオーラを見えなくなったのには何か意味があると考えられます。

◆ギド戦後の戦線離脱は伏線だった?

 ゴンはウイングの外法によって念能力に目覚め、強敵と対峙し続けて来たためそこから駆け足で成長してきました。逆にウイングの弟子であるズシはゆっくり能力を開花させており、将来的に優れた念能力者に育つためには時間をかけたほうがアドバンテージとなるのではないでしょうか。

 そうでなければウイングが、あれほどゴンとキルアの精孔を無理やり開くのを渋る理由はないはずです。ウイングはゴンであれば普通の方法でも1週間で念能力に目覚めると見立てており、外法で開花させるよりそちらのほうがよいという見解でした。

 また、できるだけ器を大きく育てることを勧めており、そのために修業と同じくらい遊ぶ時間をとることも重要だとしています。しかし、ゴンの前にはヒソカや幻影旅団、ビノールト、ゲンスルー組といった自分より強い敵が常に立ちはだかっていたため、念能力に目覚めてから修業してばかりの毎日でした。

 そんな中で一切の念能力を使わなかった期間があります。それはゴンがギドに負けてからの2ヵ月間でした。

 ギド戦で大ケガを負ったゴンは、ウイングから念の修業と念について調べることを禁じられます。ケガを早く治療するならオーラは重要であり、纏を行ったほうが良かったはずです。

 そのため、ウイングが念に触れることを一切禁止したのは何かしら意味があったと思われます。ゴンは生まれ持った才能と資質によって目覚ましいスピードで念能力を覚えていきましたが、実はこの2ヵ月の完全停止期間はその後の成長に大きく寄与していたのかもしれません。

◆キルアが念能力を覚えるのが遅かった理由は?

 キルアはゾルディック家の後継者として兄弟の中でも素質に優れていたにもかかわらず、念能力を覚えるのはもっとも遅かったです。このことは多くの『HUNTER×HUNTER』ファンが疑問に思い、考察しているネタの一つです。

 キルアが念能力の存在を知らなかったのは、イルミやシルバによって意図されたものでした。これはキルアが天空闘技場に挑戦したときに、念能力が必須となる200階では戦わず戻ってくるよう指示されていたことからも明らかです。

 しかも、ゼノやシルバはキルアには比較的自由にさせており、キキョウはその教育方針を甘やかしすぎだと批判しています。また、修業の一貫としてキルアにダーツをマスターさせていることも、過酷な修業や仕事一辺倒ではなかった証拠です。

 このことからゾルディック家も優れた念能力者になるためには、ウイングと同じように遊ぶことも大切だと認識していたのだと思われます。そのため、素質があふれるキルアには、念能力を覚える前にできるだけ器を大きく育てようとしていたのではないでしょうか。

 また、レオリオはハンター試験に合格してから、特有の技でジンをぶっ飛ばすまで2年近く経っています。医学の勉強を優先、もの覚えが悪かったというのもあるでしょうが、将来のことを考えて師匠の意向によってあえて時間をかけていたのかもしれません。

 現在ゴンはくじら島で普通の生活を送っています。器を大きく育てる、修業と同じくらい遊ぶことがキーポイントだとすると、これからの時間は将来の念能力にとって重要となるでしょう。

 このことからゴンの念能力を一旦リセットしたことには、将来的に暗黒大陸でも通用する念能力者になれるようにする意味があるのかもしれません。そう考えると、ゴンがとんでもなくパワーアップして戻ってくることを期待できそうです。

 

 ──知識と経験を持ったまま、今の人生をリセットしてやり直したいと思ったことがある人は多いでしょう。人生では無理ですがゲームでは可能であり、その経験からいえばほとんどの人はやり直すことによって効率よく確実に強くなれます。その理論からすれば、1度念能力をリセットしたゴンも戻って来たときには確実に強くなっているでしょう。

〈文/諫山就〉

《諫山就》

フリーライターとして活動中。漫画・アニメ・医療・金融などの記事、YouTube用シナリオを執筆・編集しています。

 

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