クロロ対ヒソカの戦いはタイマンではなく、隠れてシャルナークやコルトピが念能力を使って協力していたのではないかという共闘説が以前よりささやかれていました。

 徐念師を見つけるかわりにタイマン勝負をするという報酬だったにもかかわらず、クロロが勝つためにヒソカの嫌いな集団戦闘(パーティープレイ)を仕掛けていたのか考察していきます。

◆シャルナークは参戦していた?

 クロロがヒソカとの戦いでシャルナークの念能力、携帯する他人の運命(ブラックボイス)を使ったのは4回です。4回目のときにクロロはシャルナークの携帯を持っていたため、途中で彼に能力を返していたとは思えません。

 また、戦いのあとのシャルナークとの通話で彼の携帯電話は船(ブラックホエール号)で返すという話になっています。このことから借りていた能力を途中で本人に戻して、シャルナーク自身が携帯する他人の運命(ブラックボイス)でクロロをサポートしていたということはあり得ないでしょう。

 逆に不自然な点は、クロロが最後に携帯する他人の運命(ブラックボイス)を使ったときに通話で命令していたこと。そして、そのシーンが手や顔のアップで全身が描かれていなかったことです。

 シャルナークは携帯する他人の運命(ブラックボイス)を使うとき、ボタンを押してアンテナを刺したターゲットを操作していました。しかし、これは単に口頭でも操作できる機能があるのかもしれません。

 また、このシーンでクロロは栞のテーマ(ダブルフェイス)で人間の証明(オーダースタンプ)を維持していました。さらに携帯する他人の運命(ブラックボイス)を使う場合、盗賊の極意(スキルハンター)で具現化した本を手に持っておく必要があります。

 全身が描かれずアップのコマになっていたのは、クロロはこのときに携帯する他人の運命(ブラックボイス)を使っておらず、単に携帯で電話をして仲間に口頭で指示していた可能性が考えられます。

 ただ、いずれにせよ愛用の携帯をクロロが持っていたということは、シャルナークが念能力を使ってサポートしていた可能性は低いでしょう。

◆コルトピと長老は参戦の可能性あり

 クロロはコルトピと流星街の長老の能力、さらには人間の証明(オーダースタンプ)を使って、命令通りに動くコピー人形を大量に作りました。ヒソカはこの数をあと2030体と踏んでいましたが実際はその10倍おり、この作業をクロロ1人でやるには無理があると思われます。

 なぜなら、命令通りに動くコピー人形を作る工程は非常に複雑だからです。神の左手悪魔の右手(ギャラリーフェイク)は両手を使う能力のため、栞のテーマ(ダブルフェイス)で維持しつつ大量のコピー人形を作らなければなりません。

 次に使うのは、番いの破壊者(サンアンドムーン)です。こちらも本来両手を使う能力ですが、既に栞のテーマ(ダブルフェイス)で神の左手悪魔の右手(ギャラリーフェイク)を発動しているため、片手で太陽の刻印を押していきます。

 これによって、神の左手悪魔の右手(ギャラリーフェイク)と番いの破壊者(サンアンドムーン)を解除しても消えないコピー人形が完成。最後に人間の証明(オーダースタンプ)で、コピー人形の額にスタンプを押して命令通り動くようにします。

 ヒソカとクロロの身体能力には、大きな差はないでしょう。そのため、命令通りに動くコピー人形はあと2030体というヒソカの見立てが、大きく外れていたのは不可解な点です。

 さらには、コピー人形を爆弾コピー人形にする場合、番いの破壊者(サンアンドムーン)によって両手で刻印をつけることが必要です。そのときは栞のテーマ(ダブルフェイス)で番いの破壊者(サンアンドムーン)を維持する必要があり、この間は他の能力は発動できないハズ……。

 しかも、爆発の威力を最大にするには、35秒触っていなければなりません。クロロは命令通り動く爆弾コピー人形も数十体作っていますから、それだけでも作業に多くの時間を食われていたでしょう。

 また、クロロは1度人間の証明(オーダースタンプ)を解除しているため、その後200人を超えるコピー人形にスタンプを押す作業をやり直していました。このような時間を作るため彼は観客を暴れさせたり、ヒソカに状況を理解するため考えさせたりする時間を作らせていました。

 そのため、クロロが1人でやったとも考えられますが、コルトピと長老が協力していた可能性は否定できません。特に流星街の長老はヒソカに顔が割れていないはずで、紛れていても気づかれなかったと思います。

 ヒソカが左手を吹っ飛ばされたとき、彼はクロロがダメージを負ったときにモタついたフリをしてコピー人形の胴体に触って爆発の威力を高めたと推測していました。しかし、番いの破壊者(サンアンドムーン)を発動して爆発の威力を高めるには、両手をフリーにしなければなりません。

 つまり、そのときは栞のテーマ(ダブルフェイス)で番いの破壊者(サンアンドムーン)のみ発動している状態になります。ですが、このときクロロは人間の証明(オーダースタンプ)を発動したままでした。

 仮に栞のテーマ(ダブルフェイス)で人間の証明(オーダースタンプ)を維持、番いの破壊者(サンアンドムーン)を発動しても右手に盗賊の極意(スキルハンター)で具現化した本を持っていなければなりません。

 そのため、番いの破壊者(サンアンドムーン)で両手は使えない、つまりあのタイミングでは爆発の威力を高められないのです。ということは、別のタイミングでやったか、別の人がやったかです。

 クロロはヒット&アウェイの攻撃でヒソカを削っていましたが、反撃でダメージを受けた後は観客に紛れていました。そのため、闘技場にあったコピー人形の胴体に再び近づいて、番いの破壊者(サンアンドムーン)を使ったとは思えません。

 また、クロロの盗賊の極意(スキルハンター)には盗んだ能力の持ち主が死んだら、能力は消えるという制約があります。しかし、番いの破壊者(サンアンドムーン)は死後強まる念として残り、本を閉じても能力が消えないという恩恵までもたらしました。

 クロロの能力の特性から死後に能力が消えず、パワーアップするとは考えづらいです。そのため、番いの破壊者(サンアンドムーン)が、死後強まる念であるという情報がブラフの可能性があります。

 最初のデモンストレーションで神の左手悪魔の右手(ギャラリーフェイク)と番いの破壊者(サンアンドムーン)を見せたシーン以外は、クロロがこの2つの能力を使っている場面は描かれていません。

 そのため、デモンストレーション後に能力を本来の持ち主に返し、その後コルトピがコピー人形を作り、長老が太陽の刻印を押したりコピー人形を爆弾に変えたりしていたとも考えられます。

◆マチが念糸でサポートしていた可能性

 クロロが観客2人を携帯する他人の運命(ブラックボイス)で操ったあと、アンテナを回収していますがこの役割をマチが担った可能性があります。アンテナがなくなったことに気づいたヒソカも「釣り糸でも結んでおいて引き寄せたか」と推測していました、

 操っていた2人のアンテナが消えるまでの時間はわずかで、その間にクロロは近づいていません。そのため、ヒソカの予想通り糸か何かで回収した可能性は高いです。

 念糸を陰で見えなくしていれば、凝を使わないと見えないため釣り糸よりよほど気づかれにくいでしょう。このほか、観客が外に出られないように念糸で出入り口の扉を封鎖していた可能性も考えられます。

 また、戦闘後息を吹き返したヒソカにマチは「戦う相手と場所はちゃんと選ぶことだね」と発言。このセリフに対して、明らかにヒソカが何かに気づいたような表情を見せています。

 ヒソカはこのセリフと戦闘を振り返ってみて、クロロ1人と戦っていたつもりが実は相手が幻影旅団、つまりマチやコルトピらが協力していたことに気づいたのではないでしょうか。

◆クロロのヒソカへの評価が爆上がりの謎

 クロロはヒソカとタイマンで戦えば、自分が死ぬことが確実であるかのように考えています。読者が思っていたよりヒソカへの評価が高いことが明らかになり、クロロ対ヒソカ戦での幻影旅団共闘説が再びささやかれることとなりました。

 そして、クロロはヒソカに確実に勝つためには、ある念能力を盗む必要があるとまで考えています。さらにその念能力を盗むためには、カキン帝国のお宝を盗んで盗賊の極意(スキルハンター)を進化させるという高いハードルが必要なようです。

 ヒソカにタイマンで勝つためにはここまで準備する必要があり、その異常なまでの警戒心の強さが共闘説に真実味を与えています。しかし、改めて振り返っても決定的な証拠はありません。

 逆に不自然な点は4つです。1つ目は携帯する他人の運命(ブラックボイス)を口頭で命令していること、そのときに盗賊の極意(スキルハンター)を手に持っている描写がないこと。

 頭部がないコピー人形の胴体に口頭で命令できるのかも不思議ですし、あえてアップで描くことであえてクロロの全身を描いていないのも不自然です。

 2つ目はコピー人形の数をヒソカが大きく見誤っていたこと。クロロがこれほど高評価する相手が、このような致命的なミスをするとは考えづらいです。

 3つ目は死後強まる念に、能力を盗んだ相手が死ねば奪った念能力が消えるという盗賊の極意(スキルハンター)の制約をなかったことにするほどの力があるのか。

 4つ目はヒソカの左手を吹っ飛ばしたコピー人形に、番いの破壊者(サンアンドムーン)をフルで使うタイミングも時間もなかったということです。

 タイミングとして考えられるのはクロロが1度人間の証明(オーダースタンプ)を解除して、携帯する他人の運命(ブラックボイス)と転校生(コンバートハンズ)併用したあとです。

 転校生(コンバートハンズ)でクロロの姿に変えられ、携帯する他人の運命(ブラックボイス)で操られていた観客がヒソカにやられた後、このタイミングではクロロは何の能力も使っていません。

 しかし、ヒソカが思考しながら闘技場に戻って来るわずかなこの時間を利用して、クロロは番いの破壊者(サンアンドムーン)で数十体のコピー人形をフル威力の爆弾に変え、再び200人ほどのコピー人形に人間の証明(オーダースタンプ)を押して行っています。

 観客席で人に紛れながらそれをする時間はあっても、闘技場にあったコピー人形に近づいて破壊者(サンアンドムーン)を使うのは難しいでしょう。仮にマチが念糸を使ってコピー人形を観客席に移動させたり、闘技場に戻したりしていれば可能だったかもしれません。

 新しいエピソードで盗賊の極意(スキルハンター)は盗むことによって進化することが明らかになっているので、その影響で番いの破壊者(サンアンドムーン)が死後の念と残ったままになっている可能性もあるでしょう。戦闘中の一連の複雑な行程もクロロであれば1人でやれなくはなさそうです。

 また、クロロのヒソカへの評価が爆上がりしているのも、単に死後強まる念で息を吹き返したヒソカがパワーアップしていて、それを警戒しているだけかもしれません。彼ら2人が再戦するときに、天空闘技場の戦いの真相が明かされることを期待したいところです。

 

 ──あまりの複雑さに多くの読者を困惑させながらも、人気の考察ネタとなっているクロロ対ヒソカ戦。そこにはまだ、裏で行われていた緻密な駆け引きが隠されていそうです。

〈文/諫山就 @z0hJH0VTJP82488

《諫山就》

アニメ・漫画・医療・金融に関するWebメディアを中心に、フリーライターとして活動中。かつてはゲームプランナーとして『影牢II -Dark illusion-』などの開発に携わり、エンパワーヘルスケア株式会社にて医療コラムの執筆・構成・ディレクション業務に従事。サッカー・映画・グルメ・お笑いなども得意ジャンルで、現在YouTubeでコントシナリオも執筆中。

 

※サムネイル画像:Amazonより

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