<この記事には漫画『HUNTER×HUNTER』最新話までのネタバレが含まれます。ご注意ください。>

 第5王子ツベッパの私設兵であるロンギの口から、カキン帝国の14人の王子の中にビヨンドの子供がいるという疑惑が明かされました。ロンギの物言いでは疑惑どころか確信レベルといった感じでしたが、いったいどの王子がビヨンドの子供なのでしょうか?

◆脱落した32人の王子は容疑者から外れる

 ビヨンドの息子があっけなく王位継承戦から離脱するとは考えづらいので、既に死んでいる第8王子のサレサレと第10王子のカチョウ、第12王子のモモゼは容疑者から外してよいでしょう。また、フウゲツはカチョウの双子の妹のため彼女もビヨンドの子供ではない可能性が高いです。

 モモゼは地味ながら野心を秘めていて、その意向にそって守護霊獣がワブル陣営を攻撃しました。しかし、それでガソリン切れを起こしたところを刺客に襲われてあっさり死亡。

 サレサレは快楽に溺れる自称意識高い系の王子であり、とてもビヨンドの血を継いでいるとは思えません。守護霊獣の能力も簡単に見破られて、ベンジャミンの私設兵に命を奪われました。

 フウゲツも正体不明の攻撃にあらがう術がなく、衰弱状態となっており命が危ない状態です。カチョウはその意志の強さや知能の高さからすると王の資質はあるといえますが、やはり守護霊獣の能力や思考も含めて妹のフウゲツに寄りすぎでしょう。

 彼女が死んだ原因は王位継承戦から離脱をはかったことであり、その考え方はカキン帝国を継ぐにはふさわしくないものです。ビヨンドの血を引いていれば、自分が王になるのが当たり前と考えるくらいの自負心があってしかるべきでしょう。

 そういう意味では第9王子のハルケンブルグも同様です。彼は王位継承戦から離脱するために自死を試みました。さらに守護霊獣の能力でバルサミルコと強制人格変換しており、本体は既に死亡しています。

 バルサミルコの体を乗っ取ったあとはTSK-17でベンジャミンに生物兵器テロを仕掛けており、その際に死亡している可能性も高いです。このことからハルケンブルグがビヨンドの息子である可能性も除外してもよいでしょう。

◆ビヨンドの子供である可能性が低い王子たち

 ロンギが否定している第1王子のベンジャミン、王子排除のために作られたとされる詛贄者(ソエモノ)が差し向けられた第2王子カミーラと第5王子ツベッパもビヨンドの子供である可能性は低いでしょう。また、第3王子チョウライはケツモチをしているシュウ=ウ一家のボスであるオニオールを父と呼んでいます。

 同じように第7王子ルズールスもケツモチをしているシャ=ア一家のボスであるブロッコの息子である可能性が高いです。外見や毛量を見ても血を受け継いでいるように思えます。

 何よりオニオールやブロッコたちが、自分の子供を次のカキン帝国国王になるように画策していても不思議ではないでしょう。むしろ二線者である扱いを受け続けてきた以上、王位簒奪をねらわないほうが不自然です。

 念能力や判断力、資質十分のベンジャミンについてはロンギの言葉が根拠となります。ただ、用意周到で狡猾・強欲なビヨンドがこれだけの準備期間を経てベンジャミンのためにわざわざ労力を割くとは思えないという言葉にはそれなりの説得力があります。

 ツベッパにはほかの王子を排除する目的で作られたとさせる詛贄者(ソエモノ)であるロンギが差し向けられており、カミーラにはマカハがあてがわれる予定でした。ビヨンドが自分の子供に刺客を差し向けるようなミスはしないでしょうから、この2人も候補から外れると考えてよいでしょう。

 第6王子のタイソンはある意味カリスマ性はあるといえ、我が道を突き進むところはビヨンドに通じるところがあります。しかし、最初は王位継承戦を辞退するつもりだったと発言していました。

 さらに母のカットローノからはタイソンが期待できる子供ではなかったこと、そのことでほかの王妃から憐みの目を向けられてきたことを悔しがっているとも述べています。もしビヨンドの子供であれば、母親が期待しないわけないですからタイソンも候補から外れる可能性が高いです。

◆ネテロの若いころにそっくりな最有力候補・ツェリードニヒ

 ビヨンドの息子に関する考察で、本命候補として挙げられているのが第4王子ツェリードニヒです。彼は若いころのネテロに非常に容姿が似ており、念能力の習得で見せるセンスとスピードはビヨンドの血を受け継いでいると推測されます。

 ネテロの若いころが描かれているのはコミックス25巻の修業シーン、28巻の道場での試合、33巻の暗黒大陸での姿です。特に46歳の頃の修業シーンのネテロは、ツェリードニヒにかなり似ているといってよいでしょう。

 また、彼の出生には謎もあります。母親は第1王妃のウンマとされていますが、彼女の鼻は特徴的です。

 同じくウンマを母に持つベンジャミンは、彼女そっくりの大きな長方形の鼻を持っていますが、ツェリードニヒのそれは似ていません。これだけならたんにツェリードニヒが父親のほうに似ただけという考えもできるでしょう。

 しかし、第2王妃ドゥアズルの息子であるハルケンブルグが実際はウンマの息子である疑惑が出ていました。そして、電話でウンマがハルケンブルグに対して「愛しい私の息子」と呼んでいるシーンもあります。

 このことを踏まえて改めてハルケンブルグの顔を見ると、明らかに鼻はウンマ譲りです。彼女の鼻の存在感、遺伝子がそれだけ強力だとするとツェリードニヒの母親は別にいる可能性も考えられます。

 いずれにせよハルケンブルグに関しては、ウンマとドゥアズルの間で何らかの事情があって工作がなされていると推察できるでしょう。であるならば、ツェリードニヒの出生についても秘密があり、彼がビヨンドの息子である可能性も十分あり得ます。

 ただ、この考察はあまりにも分かりやすくストレートです。冨樫先生だけにこんなに分かりやすい伏線は用意せず、予想のナナメ上をいく展開が待っているのではないかとどうしても考えてしまうファンも多いでしょう。

◆ダークホースの第13王子マラヤームと第14王子ワブル

 下位王子では幼いながら守護霊獣が有能ぶりを見せている第13王子マラヤーム。また、ダークホースとしてクラピカ陣営となる第14王子ワブルがビヨンドの子供である可能性も残されるでしょう。

 マラヤームの母親は第7王妃のセヴァンチです。彼女は長女であるモモゼに非常に冷たい反面、息子であるマラヤームには過保護な対応を見せています。

 モモゼが死んだのはセヴァンチが彼女の分の護衛までマラヤームに回したことも原因です。カキン帝国では王位継承戦に生き残れば男女関係なく王位に就けるシステムとなっているので、あそこまでモモゼをないがしろにするのには別の意味があるのでしょう。

 2人ができるだけ生き残ったほうが自分の子供が王位を継ぐ可能性は高まりますが、セヴァンチは明らかにマラヤームのみに生き残ってほしいと考えている様子でした。これは彼がビヨンドの息子であり、それだけ期待がかけられている証拠であるのかもしれません。

 ワブルについてはまだ幼すぎて、守護霊獣も明らかになっておらず情報が少なすぎます。母親の第8王妃オイトにも、今のところ怪しい様子は見受けられません。

 何よりクラピカが護衛についていなければ、最初のモモゼの念獣による攻撃で死んでいてもおかしくありませんでした。そのため、ビヨンドの子供である可能性は低いと考えられます。

 しかし、ストーリー的にもっとも意外性が高く盛り上がりそうなのはワブルでしょう。普通に考えれば本命のツェリードニヒですが、冨樫先生のことですから何か裏がありそうです。

 ただ、そう思わせておいて裏の裏をかいてストレートにツェリードニヒという可能性もあります。ある意味不自由な二択を強いられるこの状況は、ファンとしては悩ましくもありうれしいところでもあるでしょう。

 

 ──冨樫先生の作品は予想のナナメ上の展開を見せる印象が強いですが、少年マンガとしての王道もしっかりおさえています。今後も考察においては「本命」と「予想外」の狭間で悩ましいほど読者を楽しませてくれるでしょう。

〈文/諫山就 @z0hJH0VTJP82488

《諫山就》

アニメ・漫画・医療・金融に関するWebメディアを中心に、フリーライターとして活動中。かつてはゲームプランナーとして『影牢II -Dark illusion-』などの開発に携わり、エンパワーヘルスケア株式会社にて医療コラムの執筆・構成・ディレクション業務に従事。サッカー・映画・グルメ・お笑いなども得意ジャンルで、現在YouTubeでコントシナリオも執筆中。

 

※サムネイル画像:Amazonより

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