ゾルディック家のアルカの特異性は、「ナニカ」という不気味な存在と共存していることです。ナニカはどんな欲望も叶える力を持つ一方で、大きな代償を伴う危険な存在です。暗黒大陸出身とされるナニカ。ゾルディック家は既にナニカの厄災に犯されているのかもしれません。
◆暗黒大陸に渡った代償がゾルディック家に降りかかる
キルアが「ナニカ」と呼んでいる存在は、父親のシルバが「あれは別の何処かから来た闇(なにか)だ」と語るほど特異です。しかし、コミックス33巻でナニカが暗黒大陸出身であることが明かされました。
ここで注目すべきは、ゾルディック家が既に暗黒大陸の厄災を受けてしまっている可能性があるという点です。
ネテロが若かりしころに暗黒大陸に渡ったとき、「ジグ=ゾルディック」なる人物も同行していました。その際、ネテロ一行は暗黒大陸のあまりのスケールの大きさに引き返してきたと明かされています。
このとき暗黒大陸に足を踏み入れた代償として、ゾルディック家が厄災を引き受けてしまったのではないかと考えられます。その代償こそが、ゾルディック家の第4子であるアルカ=ゾルディックなのかもしれません。
◆「欲望を叶える能力」のナニカと「欲望の共依存」というアイの特徴が一致
暗黒大陸で確認された「五大厄災」の一つに、ナニカと類似した存在がいます。それがガス生命体アイです。
アイは「欲望の共依存」という特性を持ち、その見返りとして「あらゆる液体の元となり得る三源水」を得られます。この「欲望に応える」という点が、ナニカの「お願い」の能力と共通する要素として注目されています。
さらに、ナニカが「あい」と返答することも、この危険な存在のガス生命体アイとナニカが結びつけられる理由の一つです。
コミックス33巻に描かれたナニカのイラストには、左に「あい」、右に「暗黒大陸出身です」と書かれています。そして、ガス生命体アイが描かれたときにも、黒いガス状の物体が「あい」と返事をしているのです。これらはナニカが「アイ」であることを示唆しているのではないでしょうか。
これらの共通点、つまり「欲望の共依存」と「あい」という返事の一致から、「ナニカ=ガス生命体アイ」という説が有力視されるようになりました。
◆「荒縄状」になるという死に方が共通している
そもそもナニカが暗黒大陸出身ではないかと疑われた理由の一つが、その特異な死体の形状です。
ナニカのお願いに応えられなかった場合、死者が出ますが、犠牲者は荒縄状に変形して死んでしまうという非常に奇妙な特徴があります。
そして、暗黒大陸に関する記述が残された幻書「新大陸紀行」には、縄状に命を奪われる人々の記録がいくつも登場します。
さらに、暗黒大陸に渡航歴のない人物が次々と縄状に命を奪われてしまうという事態も起こりました。その死に方はまさにナニカの「お願い」に応えられなかったときと同じなのです。返事、欲望というキーワード、そしてこの特異な死に方という点で、アイとナニカとの間には異常なほどのつながりが見られます。
これらの状況証拠から、ジグの暗黒大陸への渡航が後世のゾルディック家に厄災をもたらしたという説が、もっとも有力視されているのです。
──ガス生命体アイの詳細は依然として不明ですが、ナニカとの類似点はあまりにも多く存在します。今後のストーリーで、ゾルディック家と暗黒大陸の厄災の関係性が明かされることも十分に考えられるでしょう。
〈文/アニギャラ☆REW編集部 @anigala01〉
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