<この記事には漫画『HUNTER×HUNTER』最新話までのネタバレが含まれます。ご注意ください。>
現在、カキン帝国の王位継承戦に巻き込まれ、孤軍奮闘中のクラピカ。暗黒大陸編に入り、第4王子ツェリードニヒの念能力の覚醒、1秒につき1時間寿命が縮むエンペラータイムの制約など、クラピカの未来には暗雲が立ち込めています。はたして、クラピカは無事生きて暗黒大陸に辿り着けるのでしょうか。
◆ツェリードニヒとの因縁
現在クラピカが加入する十二支んの目的は、亡き会長アイザック=ネテロの遺言に従って暗黒大陸を踏破することです。
一方、クラピカ個人の悲願は、同胞の緋の眼の奪還です。そして最後の緋の目の所有者こそが、巷で王位継承戦のラスボス候補の1人と予想される第4王子ツェリードニヒなのです。
人体収集家であり、残虐な性格のツェリードニヒから、交渉によって緋の眼を取り戻すことは難しいことが予想され、武力衝突は避けられないでしょう。
しかし、ツェリードニヒは特質系の念能力者であることが発覚しているうえ、 “絶”状態になると10秒先の予知夢が見られ、行動次第で相手の未来も変えられる、“刹那の10秒”というまさにチート能力を持っています。念能力者としての経験値で勝るクラピカといえども、簡単に倒せる相手ではないでしょう。
◆ビヨンド=ネテロの隠し子の伏線
第401話で、カキン王子たちの中にビヨンド=ネテロの子供が紛れているという新たな伏線が明らかになりました。既に死亡している王子たちを除くと、現時点で有力視される候補は2人。
1人目は、第4王子ツェリードニヒです。王族として暮らしてきたツェリードニヒは、ゴンやキルアのように特殊な環境で育ったわけではありませんが、彼らに匹敵する天性の才能を見せ、異質なまでのスピードで念能力を習得しています。もし彼がネテロ会長の孫であったなら、その特異な「才能」にも説明がつきます。
2人目は、クラピカが警護の担当をする赤ん坊の第14王子ワブルです。ワブル王子は、14人の王子の中で唯一守護霊獣が分かっていません。守護霊獣は、儀式によって生み出された念獣で、王子を守る存在です。現時点で、ワブル王子はかなりの襲撃にあっていますが、それでも守護霊獣が登場していない……。もしかしたら、冨樫先生がここに重要な意味を持たせているのかもしれません。
そしてここで注目したいのは、どちらの王子もクラピカと接点があることです。
◆王位継承戦の行方とクラピカが見出した希望
王位継承戦は、唯一生き残った王位継承者が決定するまで続きます。ナスビ=ホイコーロ国王は「それをどう解釈するかも含めての王位継承戦」と言っていますが、現状は命の奪い合いと王子たちは解釈しています。
つまり、王子1人しか生き残れない状況なのです。さらに、船全体を巨大な念の力が覆っており、死ぬこと以外の離脱を認めない制約が課せられています。
しかし、第403話でクラピカは、この絶望的な状況に一縷の望みを見出していました。その希望とは、「制約と誓約を崩す」という戦略です。
念能力は制約が厳しいほど強力になりますが、逆に、その綻びを突けば効果は破綻してしまいます。これこそが王位継承戦に終わらせるためにクラピカが目をつけたポイントだと考えられます。
王族同士が直接的な殺し合いをできないので、警護兵が参加できない状況を作ること、暗黒大陸到着まで複数の王子が生き残るこう着状態を作り出すことなどが、制約を破綻させるための糸口となるかもしれません。
仮に王位継承戦を強制的に終わらせられれば、ツェリードニヒとの決着は先送りとなり、クラピカが生き残る可能性も高まるでしょう。
◆クロロ=ルシルフルの動向
クラピカの運命を語るうえで忘れてはならないのが、幻影旅団の存在です。特に注目なのが、団長であるクロロの動向。クロロの目的はヒソカの抹殺で、自らの能力“スキルハンター”を進化させるためにカキン帝国の至宝“三種の神器”をねらい、王位継承戦が行われている第1層を目指しています。
ここで注目したいのは、この“三種の神器”が王位継承戦に使われているアイテムだという点です。つまり、クロロが“三種の神器”を盗んだ時点で、王位継承戦の「制約と誓約」は崩れることになります。これは、王位継承戦を終わらせたいクラピカと完全に利害が一致しています。
団長個人よりも目的が優先される幻影旅団と、「最優先されるべきは奪われた同胞の一部。そのための手段は選ばない」と語るクラピカ。
クロロはヒソカを狩るために、クラピカは王子を守り緋の眼を奪還するために……。宿敵の間柄ですが、それぞれの目的のために一時的に共闘するという未来もあるかもしれません。
──ツェリードニヒ、ワブル王子、そしてクロロ。現時点では、これらの重要な要素のすべてがクラピカにつながっているように見えます。これらの伏線がどのように回収されるのかが、クラピカの生き残りを占う上でもっとも注目すべき点と考えられるでしょう。
〈文/ fuku_yoshi〉
※サムネイル画像:Amazonより