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 暗黒大陸編で突如としてその存在が明かされた「5大厄災」。人類を滅ぼし得る災害級の生物の存在が示唆されており、多くの読者が戦々恐々としたでしょう。しかし、改めて『HUNTER×HUNTER』を読み返すと5つだけではない、6つ目の厄災の可能性が見え隠れしているのです。そして、その6つ目の厄災に大きく係わってくる人物こそがゴンとジャイロだと考えられます。

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5大厄災の危険度と人間の危険度はほぼ同じ?

 ジャンプコミックス33巻の幕間で明らかにされた危険生物評価リスト。ここでは5大厄災やキメラ=アントの危険性を評価しています。キメラ=アントの総合危険度は評価「B」で、人飼いの獣パプ、ガス生命体アイ、双尾の蛇ヘルベルはそれぞれ評価「A」、植物兵器ブリオン、不死の病ゾバエが評価「B+」と5大厄災の総合危険度はキメラ=アントを上回っています。

 しかし、ここでもっとも注目したいのは危険生物評価リストの中に「人間」の項目があることです。その中でも、「人間(国家)」の危険度はまさかの「B+」~「A-」。つまり、キメラ=アントよりも評価が高く、5大厄災とほぼ同等の危険度に該当しています。

 そして現在、奇しくもフォーカスしているのは「カキン帝国」という人間の「国家」です。王位継承編は広義的に解釈すれば暗黒大陸編に含まれます。そう捉えれば、冨樫義博先生があえて危険生物評価リストの項目に人間を入れたのは、人間に害を及ぼす6つ目の厄災こそ実は「人類」でした……というウィットに富んだ展開を示唆しているのかもしれません。

 そうなると第298話で、人間であるネテロ会長が暗黒大陸出身のメルエムに対して言った「人間の底すら無い悪意」というセリフは極大な伏線だったことになるでしょう。

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キーパーソンは「比類なき悪意」を秘めた人間──ジャイロ

 「人間の悪意」が厄災になるとしたら、真っ先に思い起こされる人物がジャイロです。第203話で明かされた通り、ジャイロは人間時代から世界に対し「比類なき悪意」を抱いており、裏社会にも大きな影響を与えていた人物です。

 そして注目したいのはジャイロがキメラ=アントにされてなお、ただ一人蟻の命令に背いた強靭な意志を持っていた点です。これは第204話で「自らもまた王であるという誇りゆえ」と理由が書かれていました。つまり、ジャイロがかつてNGL自治国をまとめ上げたように、今後「国家」クラスの組織を作る可能性は十分に考えられるのではないでしょうか。

 そんなジャイロの現在の行方といえば、流星街に向かったとウェルフィンたちは推測しています。仮にジャイロが流星街に向かっていたとすると、ジャイロが流星街を新たにまとめ上げる長老もしくは王となる可能性が考えられるでしょう。

 そして現在の流星街は、状況的にもジャイロが与し易いと推察できます。まず、第224話でザザンたちにより被害を受けています。ザザンの「審美的転生注射(クイーンショット)」は、一定以上の生命力を持った有望な人物を忠実な下僕に変えられます。つまり、流星街の中でも比較的戦闘力の高い人物が被害に遭っていると考えられ、戦力的に見ても結構な損害があったのではないでしょうか。

 さらに、流星街の住人の中でもキメラ=アントに対する価値観は多種多様でした。もしかしたら率先してジャイロに加担する者も少なからず出てくる可能性が高いのです。また、キメラ=アントに敵対する「幻影旅団」は、現在暗黒大陸行きの船に乗っており、流星街にいません。まさにジャイロが流星街を牛耳るのには好条件が揃っていると捉えられるのです。

 どのみち、悪意を持ったジャイロが流星街と結びつくことは最悪の事態が想定され、新たな「厄災」となり得る可能性は十分に考えられるでしょう。

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ゴンの考え方が人類に残されたリターンとなる?

 第204話で「幸運だったのか否かは2人が出合うまでわからない」と、ジャイロとゴンの邂逅が今後のカギとなることが示唆されています。これは、2人が出会うタイミングによって起こる化学反応が変化すると捉えられます。なぜなら、ゴンは善悪に頓着がなく、作中でも常に五分の立ち位置で描かれているからです。

 このことについては、ゼパイルもビスケもゴンの純粋さが「危うい」と評していました。実際にキメラ=アント編のゴンは、カイトに対する自責の念と、人間を守る宿敵・ネフェルピトーの姿を見たことで、その天秤が大いに揺らいでいました。最終的にゴンはすべて終わってもいいと自暴自棄になり、仇敵への破壊衝動に飲まれてしまいます。

 そして、おそらくジャイロは純粋さが「悪」に振り切れた存在だと考えられます。つまり、キメラ=アント編の時点で2人が邂逅していたら、ゴンの結末は大きく変わっていたでしょう。まさにジャイロとゴンが手を組んでいた可能性すらあったのです。

 しかし、結果的にゴンは仲間たちによって救われます。自らの行いをキルアやカイトにきちんと叱ってもらい、ジンに進むべき道を示してもらいました。そして現在、念能力を失ったゴンはミトさんの元で普通の人間性を学んでいる様子が描かれています。

 おそらく、この対比こそが今後重要になってくるのではないでしょうか。なぜなら「厄災」には必ず「リターン(希望)」があるからです。つまり、ジャイロの「悪意」が厄災となるなら、対するゴンの「純真」がリターンに当たるのだと考えられます。

 それでは、ゴンが示す人間にとっての最大のリターンとは何でしょうか? それこそが「協力して困難に立ち向かう意思」だと考えられます。事実、評価Aクラスの「厄災」への対処は国家を越えて全世界レベルの協力が必要と書かれています。

 人類は歴史を繰り返しながらも、困難に対処法を見出し、乗り越え、進化してきました。これはまさに『HUNTER×HUNTER』のテーマに通ずるのではないでしょうか。ゴンもこれまでの数多くの難題に直面しながら、既成概念にとらわれない発想をして乗り越えてきました。第22話でもこの点をクラピカがゴンの凄い部分だと認めています。どちらにせよ、今後、暗黒大陸編でジャイロとゴンの運命が交わってくる可能性が高いでしょう。

 

 ──現実世界でも人間にとって脅威となるさまざまな危険生物が生息しています。しかし、その解決策は何もどちらかを淘汰するだけではありません。「いいハンターってやつは動物に好かれちまうんだ」。第1話でカイトが言っていたように、もしかしたら「厄災」と共生するなんて未来も考えられるのではないでしょうか。

〈文/fuku_yoshi〉

 

※サムネイル画像:Amazonより 『「HUNTER×HUNTER」第26巻(出版社:集英社)』

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