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<この記事には原作漫画『HUNTER×HUNTER』のネタバレが登場します。ご注意ください。>

 幻影旅団に宣戦布告し、ブラックホエール号から姿を消したヒソカ。閉鎖された船内で、彼はいったいどこに、そして“何に”化けているのでしょうか。

 彼の能力「薄っぺらな嘘(ドッキリテクスチャー)」(以下、薄っぺらな嘘)と、死の気配がはびこる船内の状況で、姿を消したヒソカの真のねらい、そして次なる標的は誰なのか。その恐るべき未来が見えてくるのかもしれません。

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◆捕食者の擬態──“薄っぺらな嘘”の真の恐ろしさ

 幻影旅団の探索から、ヒソカはなぜ完璧に姿を消せたのでしょうか。その答えは、彼の念能力「薄っぺらな嘘」の本当の恐ろしさを理解することで見えてきます。

 「薄っぺらな嘘」とは、オーラをさまざまな質感に変え、物体の表面を覆い隠す能力です。この能力の真価は、その驚異的な応用力にあります。ヨークシンシティ編で、彼は自身の預言詩を、紙とインクの質感まで完璧に再現した偽物へと作り変えました。人の皮膚や衣服、生々しい傷口や血痕さえも、見分けがつかないレベルで偽装できるのです。

 そして、この能力が現在のブラックホエール号の状況と組み合わさったとき、最悪の隠れ蓑が生まれます。

 船内ではマフィアの抗争が激化し、毎日のように人が命を落としています。下層では死体は雑に扱われ、見つかってもすぐに隠されるような状況です。この「死が日常と化した環境」は、ヒソカにとって最高の隠れ家といえるでしょう。新たに死体が一つ増えても誰も気にせず、むしろマフィアが積極的に隠蔽します。彼は、船の混乱そのものを利用している可能性が高いと考えられます。

 つまり、ヒソカは物陰に隠れているのではなく「薄っぺらな嘘」を使い、船内で次々と生まれる「死体」そのものに化けることで、誰にも気づかれない“見えざる脅威”と化しているのではないでしょうか。

 それは、もっとも悪趣味で、もっとも効果的な擬態といえます。この恐るべきトリックこそが、彼が幻影旅団の目から完全に姿を消すことができた理由なのかもしれません。

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◆蜘蛛の足を刈る──ヒソカが次にねらう標的は誰か

 死体に化け、息を潜めて蜘蛛を待っているヒソカ。彼は次の標的に、誰を定めているのでしょうか。その答えは、幻影旅団の状況とヒソカの性格を分析することで見えてきます。

 まず、旅団の現状を整理していきます。彼らはシュウ=ウ一家とシャ=ア一家と協力し、乗客リストと照合しながらヒソカを追っています。団員たちは集団で行動し、最大限の警戒をしているといえるでしょう。

 この状況はヒソカにとっても好ましくなく、下手に手出しができません。つまり、現在は両者がにらみ合う膠着状態にあり、これがヒソカに「待ち伏せ」という戦術を選ばせている理由だと考えられます。

 では、この膠着状態を破るためにヒソカは誰をねらうのか。彼の性格を考えれば、感情的になりやすい人物や、個人的に因縁の深い人物が標的となる可能性が高いでしょう。

 その筆頭候補は、ノブナガです。ウボォーギンが命を落とした際も、彼は誰よりも感情を爆発させました。仲間の命を奪われた今、その怒りは頂点に達しているといえます。仲間思いである反面、その性格は「単独行動に走りやすい」という弱点にもつながります。ヒソカの挑発に乗り、一人になったところを狩られる危険性がもっとも高いメンバーといえるでしょう。

 もう一人がマチです。天空闘技場でヒソカはあえて彼女を見逃し、伝言役として生かしました。これは彼女への個人的な執着の表れかもしれません。彼女のプライドを逆手に取り、巧妙な罠へと誘い込むシナリオも考えられます。

 つまり、ヒソカは旅団の集団行動が崩れる一瞬の隙を待っているのではないでしょうか。そのきっかけを作り出すカギが、感情的なノブナガや因縁のあるマチである可能性は高いでしょう。彼は戦闘だけでなく、相手の心を揺さぶる心理戦で、自ら狩りのチャンスを作り出そうとしているのかもしれません。

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◆地雷はどこで爆発するのか──復讐の最終目標とXデー

 死体に化け、蜘蛛が孤立するのを待つヒソカ。この戦い方を見ていると、彼の今の姿が、かつてのような気まぐれな「狩人」とは少し違って見えるのではないでしょうか。今のヒソカは、獲物が自分の上に足を踏み入れるのを待つ、悪意に満ちた「地雷」そのものといえます。

 幻影旅団が必死にヒソカを探す行動そのものが、実はヒソカの掌の上で転がされているのかもしれません。彼らは自らの手で、船内という地雷原に足を踏み入れ、危険な“地雷”であるヒソカを探そうとしているのです。仲間の命を奪われたことによる焦りや怒りこそが、いずれ誰かが致命的な一歩を踏み出す引き金になるといえるでしょう。

 では、ヒソカは蜘蛛の足をすべて刈り取ったあと、何をしようとしているのか。その最終目標は、おそらく今も昔も一つしかありません。それは、すべての援護を失い、戦術の選択肢も狭まった“丸裸”のクロロと、純粋な「1対1」で決着をつけることです。旅団員を葬っていくのは、クロロから借り物の武器を奪い、彼を孤立させるための残酷な前菜にすぎないのです。

 ヒソカの復讐は、行き当たりばったりではありません。それは、旅団の探索行動や仲間意識の強ささえも利用した、極めて計画的な待ち伏せ戦術だと考えられます。

 そして、地雷が爆発する「Xデー」は必ず訪れるでしょう。それは、船内の混乱がピークに達し、旅団が焦りから統制を失い、誰かが孤立した瞬間。その先にあるのは、蜘蛛の足をすべて失った団長との最後の決闘といえます。ヒソカの歪んだ愛と復讐の物語は、まだ始まったばかりなのかもしれません。

 

 ──船に潜む奇術師、ヒソカ。彼は「薄っぺらな嘘」で「死体」に擬態し、旅団員が孤立する瞬間を待っていると考えられます。そのねらいは、蜘蛛の足を一本ずつ刈り取り、最終的に“丸裸”のクロロを狩ること。

 幻影旅団は、自ら破滅のスイッチを踏み抜いてしまうのか。いつ、誰が餌食となるのか。地雷原と化したブラックホエール号で、次に爆発が起きるのは、もうすぐそこなのかもしれません。

〈文/凪富駿〉

《凪富駿》

アニメ・漫画に関するWebメディアを中心に、フリーライターとして活動中。特にジャンプアニメに関する考察記事の執筆を得意とする。作品とファンをつなぐ架け橋となるような記事の作成がモットー。

 

※サムネイル画像:Amazonより 『DVD「HUNTER×HUNTER」Vol.5(販売元:バップ)』

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