<この記事には原作漫画『HUNTER×HUNTER』のネタバレが登場します。ご注意ください。>
十二支んの1人としてブラックホエール1号に乗船しているレオリオですが、恐らく十二支んの中では一番「念」の実力が未熟だと考えられます。しかし、元を辿ればレオリオがどうやって念を習得したのか明かされていません。はたしてレオリオはどのように念を習得したのか……。そこに着目すると、実はきっかけとなる「ある人物」に行き当たるのです。
◆レオリオに念の師匠はいるのか?
レオリオの潜在能力はヒソカに認められているうえ、ジンからも「伸び代デケーぞ」と高く評価されています。一方で、作中ではレオリオが念を習得する描写や、修行している描写が一切ありません。
作中の描写を見る限り、ほとんどのケースで念は誰かから教わるものです。天性の才能を持つゴンやキルアですら、ウイングとビスケから念を教わっており、クラピカもイズナビという師匠がいます。そもそもレオリオに念の師匠はいるのでしょうか?
結論からいうと、レオリオに師匠はいないと思われます。その理由は大きく2つ考えられます。まず1つ目の理由は、ウイングやレオリオ自身の発言です。第60話で、ゴンとキルアが念の「四大行(纏・絶・練・発)」を習得し、ウイングに合格を言い渡されます。
この際に、ウイングがゴンたちの同期生の修行の進捗を語るのですが、レオリオについては「医大試験受験後に修行を開始するようです」と言っています。この発言から、ハンター協会はウイングのような試験官をレオリオの元にも派遣する予定だったと推察できます。本来なら、その人物がレオリオに念を教えるはずだったのではないでしょうか。
しかし、すぐあとの第71話でゴンたちがレオリオと再会した際、既に念を習得していたのです。このとき「レオリオは受験が終わってから覚えるんだよね?」とゴンが確認していたので、まだ医大受験が始まっていないことが分かります。そうなると、時系列的にハンター協会が試験官を派遣する前だったと考えるのが自然でしょう。
もちろん、ウイングの情報が間違いで、レオリオが受験勉強と同時に念の修行をしていた可能性もわずかに考えられます。しかし、ゴンたちに教えてもらうまで、レオリオは「念=纏」のみだと勘違いしていました。これは師匠がいなかった決定的な根拠だと捉えられます。なぜなら師匠がいたなら、ウイングのように少なくとも念の基礎である「四大行」の存在くらいは教えているはずだからです。
そして2つ目の理由は、会長選挙編で判明したレオリオの交友関係です。キメラ=アント討伐の代償として、ゴンは生死を彷徨っていました。この事実を知ったレオリオは、ゴンを助けるためなら「何でもやる」と宣言しています。
ゴンの状態は、念能力者なら念による後遺症であることは一目瞭然。仮にレオリオに念の師匠がいたなら、性格上ゴンのために何としてもその師匠と連絡を取ろうとするでしょう。しかし、このときレオリオが連絡を取った人物はクラピカのみでした。
これは、レオリオに念能力者の知り合いがいなかったからだとも読み取れます。そうなると、必然的にレオリオには師匠がいないという可能性が高まるのです。
◆レオリオが念に覚醒したまさかのキッカケ
師匠がいないとなると、疑問となるのが念の習得方法です。作中では、念を覚醒させるのに大まかに2つの方法が示されています。1つ目は、正当な手段を用いてゆっくり起こす方法。そして2つ目は、危険だが無理矢理起こす方法、つまり念による攻撃で覚醒させる方法です。
それぞれの方法をレオリオに当てはめて考えてみたいと思います。まず、ゆっくり覚醒させる方法ですが、作中ではズシやクラピカが取った方法になります。第48話でズシは念の覚醒に3ヵ月、そして半年で纏を習得していることが分かっています。
ちなみにウイングによると、ゴンたちなら1週間ほどで覚醒できたかもしれないそうです。一方で、クラピカの覚醒期間については分かっていませんが、第67話での斡旋所の女性の発言から、半年で覚醒から念能力習得まで至っています。
これらの人物たちと比較しても、レオリオの才能は多くの強キャラが認めているので、習得スピードにそこまで大きな差はないかもしれません。つまり、師匠がいなくても半年で纏を習得する可能性は十分に考えられるでしょう。しかし、これはすべての時間を念の修行に費やせた場合になります。ここで注目したいのは、ハンター試験後レオリオはまず医大試験に向けて勉強している事実です。
つまり、ゴンたちのようにすべての時間を念の修行に費やせないハズ……。そもそも念を覚醒させることは、ズシの修行シーンをみても片手間でできるとは考えにくいのです。
そうなると、レオリオはゴンたちのように無理矢理念に念を覚醒させたと考えられます。しかし、仮にそうだった場合レオリオはいったい誰によって強制的に念を覚醒させてもらったのでしょうか?
真っ先に考えられる人物は、裏ハンター試験の担当としてレオリオに送られた試験官です。確かにハンター協会員は曲者揃いなので、面倒だから手っ取り早く覚醒させたと考えられなくはないでしょう。
しかし同時に、念という悪用されてはならない能力を取り扱う試験官が、外法である方法を取るとは考えにくくもあります。そもそも、覚醒した後に四大行の修行をつけなかった時点で、試験として成り立ちません。
そうなると、次に考えられる可能性はレオリオが誰かしらに念の攻撃を受けていたケースです。そこでヨークシンシティまでの期間で、レオリオが戦った人物を振り返ってみると、実は1人だけ念能力者がいるのです。その人物がヒソカ……。
ヒソカは、第1次試験で湿原の霧に乗じて受験生たちに攻撃を仕掛けていました。この時、レオリオは生存者の中で唯一ヒソカの攻撃をまともに喰らっています。仮にこのときのヒソカの攻撃に念がこもっていたとしたらどうでしょうか?
この攻撃をきっかけに覚醒の予兆が起きたとしても不思議ではありません。実際、殴られたレオリオは前後の記憶を失っており、普通の一撃でないのが見て取れます。それに、ヒソカの攻撃が念の覚醒の有無を測る目的だった場合、独自採点でレオリオが「合格」となったこととも辻褄があいます。
──現在レオリオは、チードル付きとして精鋭医療チームに配属されています。第410話ではベンジャミンが特殊戒厳令を発令しており、今後ますます怪我人が増える可能性が高くなっています。そうなると、再びレオリオにもスポットが当たるかもしれません。その際、念能力が描かれるのであれば、そのときこそレオリオが念を習得したキッカケが明かされるのではないでしょうか。
〈文/fuku_yoshi〉
《fuku_yoshi》
出版社2社で10年勤め上げた元編集者。男性向けライフスタイル誌やムックを中心に、漫画編集者としても経験を積む。その後独立しフリーライターに。現在は、映画やアニメといったサブカルチャーを中心に記事を執筆する。YouTubeなどの動画投稿サイトで漫画やアニメを扱うチャンネルのシナリオ作成にも協力し、20本以上の再生回数100万回超えの動画作りに貢献。漫画考察の記事では、元編集者の視点を交えながら論理的な繋がりで考察するのが強み。最近では、趣味で小説にも挑戦中。X(旧Twitter)⇒@fukuyoshi5
※サムネイル画像:Amazonより 『「HUNTER×HUNTER」第5巻(出版社:集英社)』





