<PR>
<PR>

※この記事には漫画『HUNTER×HUNTER』のネタバレが含まれます。ご注意ください。

※本記事は漫画『HUNTER×HUNTER』に関するライター個人の考察・見解に基づくものであり、公式の設定や見解とは異なる場合があります。

 ネオン=ノストラードの退場は、たんなる脇役の不在では片づけにくい出来事です。彼女の念能力「天使の自動筆記(ラブリーゴーストライター)」は、未来を知るだけでなく、危機を避けるための手がかりまで与える強力な能力でした。

 暗黒大陸編でクロロの能力リストからこの力が消えていたことにより、ネオンの死が示唆されています。では、彼女は誰かに命をねらわれたのでしょうか。それとも、物語を進めるうえで“便利すぎる能力”が残せなかったのでしょうか。ノストラード組、クラピカ、マフィア、ヒソカの動機をたどると、ネオンが表舞台から消えた理由が少しずつ見えてきます。

<PR>

◆父ライトは追い詰められていたが、切り札を捨てる理由は薄い

 最初に疑われやすいのは、父であるライト=ノストラードです。ネオンの占いは、ノストラード組を急成長させた最大の武器でした。ところがクロロに能力を盗まれたことで、ライトは一気に後ろ盾を失います。作中でも、クラピカに「どうしたらいい」とすがるような姿や、ネオンを元に戻せと取り乱す様子が描かれていました。

 もともとライトは、娘の能力を「金が入ってくる道具」のように扱っていた面があります。父親としての愛情より、組をのし上げるための価値を重視していたようにも見えます。そのため、追い詰められた末にネオンへ怒りを向けた可能性は、完全には否定できません。

 ただし、ライトにとってネオンは最後の希望でもありました。能力が戻れば、組の再建に使えるかもしれないからです。実際、彼は「元に戻せ」と叫んでおり、ネオンを完全に失うことまでは望んでいなかったと考えられます。

 さらに、暗黒大陸編でクラピカがノストラード組の若頭として動けていることから、ライトは表向きの組長として残っている可能性があります。もしライト自身がネオンに手をかけていたなら、組の体制はもっと大きく崩れていてもおかしくありません。精神的に追い詰められていたとはいえ、ライトが最有力の犯人とは言い切りにくいでしょう。

◆クラピカにとってネオンは消すより利用価値が高かった

 クラピカがネオンを手にかけた可能性も、考察ではしばしば語られます。ネオンは人体収集家であり、緋の目と関わる可能性がある人物でした。クラピカにとって、放置できない相手に見えるのも自然です。

 しかし、クラピカは緋の目の回収において、相手の命を奪うことを第一の手段にはしていません。実際に「死んでも渡さない」と言う相手に対しても、命までは奪わずに回収を成功させています。ネオンが緋の目を所有していたとしても、それだけで彼女を消す理由にはなりにくいでしょう。

 むしろ、クラピカにとってネオンは生かしておいたほうが都合のよい存在でした。もし「天使の自動筆記(ラブリーゴーストライター)」が彼女のもとへ戻れば、写真を使って離れた相手の未来を占えます。クラピカが緋の目の回収や王位継承戦でこの能力を使えたなら、危機回避の精度は大きく上がったはずです。

 ノストラード組の実権を握り、新しい収入源を作ったクラピカにとって、ネオンは厄介者というより、将来的な切り札でした。そのため、クラピカが自らネオンを消した可能性はかなり低いと考えられます。

<PR>

◆ノストラード組を嫌うマフィアなら動機はある

 より現実的な候補として浮かぶのが、ノストラード組を快く思っていなかったマフィアです。ヨークシンシティ編では、ネオンの占いによってノストラード組が急激に力をつけたことが描かれていました。もともと大きな組織ではなかったノストラード家が伸びていく様子を、面白くないと感じる者は少なくなかったはずです。

 ネオンの能力は、マフィア社会において非常に大きな価値を持っていました。十老頭の中にも彼女の占いを頼る者がいたほどです。たとえ一時的に能力が使えなくなったとしても、「いつか復活するかもしれない」と考えれば、敵対勢力にとっては放置できない存在だったでしょう。

 さらに、十老頭がイルミたちによって消されたことで、ノストラード組の後ろ盾は弱くなっています。クラピカが組を立て直すために奔走していた時期であれば、ネオンの警護に隙が生まれていた可能性もあります。

 この流れを考えると、ネオンの退場にはマフィア同士の勢力争いが関わっていた可能性があります。能力そのものへの恐れ、ノストラード組への妬み、後ろ盾喪失のタイミング。これらが重なれば、彼女をねらう理由は十分に成立します。

◆ヒソカにとって未来予知はクロロ戦の邪魔だった

 もう一人、動機がはっきりしているのがヒソカです。彼はクロロとの決闘を強く望んでいました。しかし、クロロが「天使の自動筆記(ラブリーゴーストライター)」を使える状態であれば、ヒソカの未来を事前に占えます。これは、戦う側から見ればかなり不利な条件です。

 ヨークシンシティ編では、クロロがネオンから盗んだ能力を使ってヒソカを占っています。写真があれば占える能力である以上、クロロはヒソカの動きを先読みできる立場にありました。ヒソカにとって、この能力は自分との勝負を成立させるうえで邪魔な存在だったといえます。

 興味深いのは、天空闘技場でのクロロとヒソカの決闘時点で、この能力がすでに使えなくなっていたと考えられる点です。もしクロロが「天使の自動筆記」を持っていれば、ヒソカがどう動くか、あるいは決闘後に何が起こるかを確認していた可能性があります。シャルナークやコルトピの能力を借りるほど入念に準備したクロロが、未来予知だけ使わないのは不自然です。

 ヒソカは、クロロを追う過程でこの能力の厄介さを痛感していたかもしれません。選挙編の時期には、クロロを追っていたものの逃げられていたことも示されています。その間にヒソカが「クロロの未来予知」を封じるため、能力の元であるネオンをねらったと考えると、時系列としても一定の筋は通ります。

◆本当の理由は“便利すぎる能力”だったのか

 犯人候補を並べると、マフィアやヒソカには確かに動機があります。しかし、より大きな視点で見ると、ネオンの退場は物語上の必然だったとも考えられます。理由は単純で、「天使の自動筆記(ラブリーゴーストライター)」があまりにも便利すぎるからです。

 この能力は未来を高い精度で示し、危機を回避するヒントまで残します。もしクロロが持ち続けていれば、幻影旅団の行動は占いによって大きく左右されます。実際、ブラックホエール号内でヒソカを探す際、シズクは占いを使えないかと口にしています。能力が残っていれば、旅団はまず占いを試したはずです。

 一方で、ネオンのもとに能力が戻っていた場合も同じ問題が起きます。クラピカがノストラード組にいる以上、彼女の占いを利用しない理由はありません。王位継承戦のように情報戦が重要な場面で、未来予知が使えるかどうかは戦局を大きく変えてしまいます。

 つまり、ネオンが生きていても、クロロが能力を保持していても、物語は常に「なぜ占わないのか」という疑問を抱えることになります。便利すぎる能力は、物語の緊張感そのものを削いでしまうのです。キメラアント編でノヴの能力が前線から外れたように、強すぎる能力には退場や制限が必要になることがあります。

 ネオンの死をめぐる真相は、作中ではまだ明言されていません。ただ、彼女の能力が消えたことで、クロロ、旅団、クラピカの行動は未来予知に縛られずに進むようになりました。犯人が誰であれ、ネオンの退場は『HUNTER×HUNTER』の先を読めない面白さを保つために、避けがたい処理だったのかもしれません。

 

 ──ネオン=ノストラードは、登場期間こそ長くありません。しかし、彼女の念能力はヨークシンシティ編だけでなく、幻影旅団やクラピカの今後にも影響しかねないほど強力でした。だからこそ、彼女の退場は一人のキャラクターの死以上に大きな意味を持っています。

 ライト、クラピカ、マフィア、ヒソカ。それぞれに疑う余地はありますが、最終的に見えてくるのは「未来を知りすぎる能力」は長く物語に残せないという構造です。ネオンの不在は悲劇であると同時に、物語から予測不能さを取り戻すための分岐点だったといえるでしょう。

〈文/相模玲司〉

《相模玲司》

編集プロダクション勤務を経て、フリーランスの編集・ライターとして活動。メンズファッション誌の編集、週刊誌Web版での取材記事制作、アニメ・漫画関連のムック本制作など、幅広い媒体で編集・執筆経験を持つ。アニギャラ☆REWでは、アニメ・漫画・映画を中心としたエンタメ記事の編集、構成確認、コンテンツ制作を担当している。

 

※サムネイル画像:Amazonより 『「HUNTER×HUNTER」第35巻(出版社:集英社)』

<PR>
<PR>

※タイトルおよび画像の著作権はすべて著作者に帰属します

※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

※無断複写・転載を禁止します

※Reproduction is prohibited.

※禁止私自轉載、加工

※무단 전재는 금지입니다.