※本記事には漫画『HUNTER×HUNTER』の内容が含まれます。ご注意ください。
※本記事は漫画『HUNTER×HUNTER』に関するライター個人の考察・見解に基づくものであり、公式の設定や見解とは異なる場合があります。
ジンの異常さは、すでに強いことではなく、まだ全盛期に入っていない可能性がある点です。
『HUNTER×HUNTER』でビスケは、ネテロがジンを「念能力者として世界で5本の指に入る」と評価していたと語っています。しかもジンは、ゴンの年齢などから逆算すると30歳前後。『冨樫義博展 -PUZZLE- 公式図録』で明かされた念の「修練度」と、ネテロやビスケ、ゼノたちの年齢を重ねると、ジンの才能がいかに規格外なのかが見えてきます。
◆「極」に到達する念能力者はなぜ年長者が多いのか
『冨樫義博展 -PUZZLE- 公式図録』では、念能力の各系統をどれほど極めているかを示す指標として、「極」「天賦」「秀」「優」という修練度が示されています。最上位にあたる「極」には、ネテロ会長、ビスケ、ゼノといった、作中でも長い修業と実戦経験を積んできた強者が名を連ねています。
この顔ぶれから見えるのは、戦闘に長けた念能力者が「極」に達するには、才能だけでなく長い年月が必要らしいという点です。ビスケは57歳、ゼノは67歳であり、どちらも若くして突然完成したタイプではありません。肉体の鍛錬、念の理解、実戦経験を積み重ねた先に、ようやく到達する領域だと考えられます。
もちろん例外もいます。キメラ=アントの王メルエムや、ゾルディック家のアルカは若くして「極」に分類されています。ただし、メルエムはキメラ=アントの王であり、アルカも暗黒大陸由来の存在が関わる特殊な人物です。一般的な念能力者の成長曲線とは切り離して考えるべきでしょう。
また、除念師のアベンガネも「極」に分類されていますが、作中での戦闘力はグリードアイランドのハメ組と大きく離れているようには描かれていません。つまり、「極」は単純な戦闘力だけでなく、その系統や能力の専門性をどこまで極めたかを示すものだと見られます。戦闘系の「極」として特に目立つのは、やはりネテロ、ビスケ、ゼノのような年長の達人たちです。
◆ネテロの最強期はいつだったのか 半世紀前という言葉が示すピーク
ネテロは、作中で20年ほど前から自分の年齢を100歳くらいと答えるようになったと語られています。さらにゼノが赤ん坊のころから老人だったという話もあり、現在のネテロはおよそ130歳前後だったと推測できます。
ネテロが「念使いで最強だったのは半世紀以上前」という趣旨の発言をしていることを踏まえると、その全盛期は70代から80代ごろだった可能性があります。50年前にすでに最強の座から降り始めていたのだとすれば、少なくともそれ以前には念能力者として頂点に近い領域へ到達していたはずです。
ただし、ネテロほどの人物が70代でようやく「極」に達したとは考えにくいでしょう。50代ごろにはすでに極めた領域に入り、そこからさらに数十年かけて磨き続けた結果、長いあいだ最強と呼ばれる存在になったと見るほうが自然です。
この年齢感は、現在の「暗黒大陸編」で存在感を放つビヨンド=ネテロとも重なります。ビヨンドは50年前に暗黒大陸へ渡航していた人物であり、現在はネテロの全盛期に近い年齢帯にいると考えられます。もし念能力者のピークが50代以降に訪れるのだとすれば、ビヨンドはいままさに最も危険な時期にいるのかもしれません。
◆念能力者の全盛期は50代以降なのか ビスケ、ゼノ、シルバから見える成長曲線
ビスケが57歳、ゼノが67歳で「極」に到達していることを考えると、戦闘系の念能力者が本当の意味で完成するのは50代以降と見ることもできます。若いころから才能を発揮していても、そこから経験を重ね、能力の扱いを洗練させていく時間が必要なのでしょう。
46歳のシルバは「天賦」に分類されています。ゾルディック家の当主であり、作中でも圧倒的な強者として描かれているシルバでさえ、修練度上はまだ「極」ではありません。この点からも、戦闘系念能力者にとって「極」は簡単に届く段階ではないことが分かります。
「天賦」には、クロロ、ウボォーギン、コルトピ、イルミ、ヒソカ、ゲンスルーなども含まれています。彼らは作中でもトップクラスの実力者ですが、年齢を考えると、まだ伸びしろを残している可能性があります。若くして「天賦」に届く才能があっても、そこから「極」へ至るには、さらに長い修業と実戦が必要なのかもしれません。
念能力の戦いは相性や発動条件に大きく左右されるため、単純な強弱だけでは語れません。それでも、近接戦闘や総合力を基準にするなら、「極」に達した50代以上の念能力者が上位に食い込むという見方は十分成り立ちます。
◆30歳前後のジンはなぜ異常なのか 世界トップ5評価に残る伸びしろ
ここであらためて異常に見えてくるのがジンです。ジンはゴンと同じ11歳でくじら島を出てハンター試験に合格し、その約10年後に赤ん坊のゴンを連れてミトのもとへ戻っています。物語開始時点のゴンが11歳であることを考えると、ジンは30歳前後と見てよいでしょう。
その若さで、ネテロから「念能力者として世界で5本の指に入る」と評価されていたのです。ネテロの評価基準が勝負のある強さを重視するものだったとすれば、単なる知識量や器用さではなく、1対1の戦闘も含めた総合的な念能力の評価と考えられます。
仮にジンの修練度がまだ「天賦」だとすれば、話はさらに大きくなります。シルバやクロロ、ヒソカたちと同じ段階にいながら、すでに世界トップ5級と見なされていることになるからです。もしこれから「極」へ向かう余地を残しているなら、50代や60代になったジンがどこまで伸びるのかは想像しにくいほどです。
もちろん、現時点でビヨンドのほうが格上である可能性はあります。年齢や経験値を考えれば、脂が乗っているのはビヨンド側かもしれません。それでも、30歳前後の段階でネテロにそこまで評価されているジンは、ネテロやビヨンドとは別の意味で、念能力者の常識を壊している存在だといえます。
◆ゴンさんの「極」はジンの才能を考える手がかりになるのか
ゴンはネフェルピトーを倒すため、二度と念能力が使えなくなってもいいという覚悟で一時的に成長しました。いわゆる「ゴンさん」状態の修練度は「極」とされています。若いゴンが一気に極限へ達した姿は、念の成長に年齢だけでは測れない例外があることを示しています。
ただし、ゴンさんは本来の修業を積み重ねて到達した姿ではありません。人生を前借りするようなかたちで無理やり引き出した力であり、普通に成長して「極」に至った念能力者とは別物と考えたほうが自然です。だからこそ、ジンの規格外さはより際立ちます。
ジンはゴンさんのように命がけの制約で一時的に跳ね上がったわけではなく、通常の人生の中で30歳前後にして世界トップ5級の評価を受けています。もしゴンが父と同じ素質を受け継いでいるのなら、ゴンさんの姿はジンの才能の一端を映していたとも見られるでしょう。
──ジンの強さは、まだ作中で本格的には描かれていません。それでも、ネテロの評価、修練度の設定、年長の達人たちの年齢を重ねて考えると、彼がただの天才では済まない存在であることは見えてきます。
ネテロやビスケ、ゼノが長い時間をかけてたどり着いた領域に、ジンは30歳前後で肩を並べかけているのかもしれません。しかも、暗黒大陸という未知の舞台に向かう今、ジンの念能力はまだ底を見せていません。ネテロが認めた「世界トップ5」の評価は、現在の強さだけでなく、これからさらに伸びていく余地を含めたものだったのではないでしょうか。
〈文/相模玲司〉
《相模玲司》
編集プロダクション勤務を経て、フリーランスの編集・ライターとして活動。メンズファッション誌の編集、週刊誌Web版での取材記事制作、アニメ・漫画関連のムック本制作など、幅広い媒体で編集・執筆経験を持つ。アニギャラ☆REWでは、アニメ・漫画・映画を中心としたエンタメ記事の編集、構成確認、コンテンツ制作を担当している。
※サムネイル画像:Amazonより 『「HUNTER×HUNTER」第32巻(出版社:集英社)』


