感情がない家事ロボット・ミーナと、恋愛経験の少ない社畜サラリーマン・タクマの夫婦生活を描いた人気漫画『僕の妻は感情がない』(月刊コミックフラッパーで連載中)のTVアニメの放送・配信が7月2日から始まった。
そこで『アニギャラ☆REW』では、ミーナ役の声優・稲垣好さんに、本作の魅力や役作り、ロボットにまつわる話をおうかがいした。
◆今までの役柄で一番難しかったです(笑)
──最初に、原作を読んだ感想を教えてください。
稲垣好さん(以下、稲垣さん):オーディションで初めて表紙を見たときは、「ちょっと怖い作品なのかな」と思いました。序盤のストーリーも少し無機質というか淡々としているように感じたので。
──確かに、表紙のミーナは無表情で不気味な感じもします。
稲垣さん:でも、読み進めるにつれてミーナちゃんにしか出せないかわいさだったり、最初は「ちょっとヤバい人だな」と思っていたりしましたが、タクマさま(ミーナのタクマの呼び方)の人柄の良さも分かってきて(笑)。ミーナちゃん=ロボットを愛するって、周りから見ると反対されるような状況かもしれないと思うのですが、タクマさまはそれに対してあまり偏見がなく接していて素敵だなと思います。
──タクマは寛容ですよね。ミーナを演じるうえで心がけたことや難しかったところはありますか?
稲垣さん:感情がないロボットの思考回路についてすごく考えました。「これをしたら効率的ではありません」と言いながらも、タクマさまの気持ちを理解しようとしているような描写はロボットらしくないところだなと思います。
──あくまでロボットなのに、感情が入っているように見えるシーンですね。
稲垣さん:技術的な面だと、「ロボットは滑舌もよくてテンポも一定で息継ぎもしないだろう」と考えていたので、声を発する前の息を吸う音も入れたくなくて。「一息で長台詞いけないかな」とか、「ちょっとだけの呼吸でできないかな」と考えながらやっていました。
──息継ぎなしは大変そうです。
稲垣さん:台詞を言い終わる直前に空気が抜けていって、語尾が消えていくみたいなこともあって(笑)。文節をどこで切るかや、音響監督さんと色々話し合いながらやらせていただきました。最後のほうまでけっこう苦戦しました。
──今までの役柄と比べても難しかったですか?
稲垣さん:一番難しかったです(笑)。でも、自分にない引き出しで難しかった分、それを理解しようと向き合うのは、この職業ならではですごく楽しい作業ではあったので、苦ではなかったです。ミーナと一緒に前進していけたかなと思います。
◆好きなシーンはドヤるところ
──プライベートでの話し方もミーナっぽくなったりしましたか?
稲垣さん:なりました(笑)。友だちと買い物をしていて、「どうかなこれ?」と聞かれて、(心のなさそうな感じで)「すごいいいと思う」って返したら、「本当に思っている?」と返されて……。感情がない人みたいに見えていたかもしれません。
──思わぬ弊害ですね。
稲垣さん:ほかの現場でもちょっと感情がバグってしまったときがあって。役柄を引きずっちゃいましたね。
──ミーナの好きなシーンはありますか?
稲垣さん:やっぱり、ドヤるところじゃないですかね。ミーナってけっこう、負けず嫌いな感じがあって。「ドヤっ!」となるときに、どんどん顎の角度が上がっていくんですよ(笑)。
──圧もありますね(笑)。個人的には、しゅんとするシーンも好きです。
稲垣さん:しゅんとしているときは、私もちょっと下を向きながら声を出すようにしています。
──そこも見どころですね。
稲垣さん:ほかにも微々たる変化を入れているので、タクマさまと一緒にいるうちに、ミーナの声がどこか柔らかくなっていていくような感じや、ふたりの関係性の進展が伝わればいいなと思います。
◆服を決めてくれるロボットが欲しい
──現代の身近なロボットといえば、飲食店のネコ型配膳ロボットやお掃除ロボットとかがありますが、「かわいい」と思うことはありますか?
稲垣さん:思います。お客さんが道ふさいじゃったりしているときに、急に止まったりして「あっあっ」ってなっているときとか、困っている感じがしてかわいいなって(笑)。見ている側が勝手に「こういう感情なのかな?」と解釈してかわいいって思ってしまうんですけど、そこはタクマに通じるところかもしれません。
──確かに、こちらの解釈によって見え方が変わってきますね。ロボットつながりで、今、どんな機能のあるロボットが一番欲しいですか?
稲垣さん:服を決めてくれるロボットです。毎日考えるのが面倒くさくて(笑)。「今日の天気や場所にはこれを着たらいいよ」とか、髪色や骨格に合う服を教えてほしい。ステージ衣装を選ぶときも、楽しい作業ではあるのですが、「この私のセンスは合っているのか?」と不安なときがあるので……。アドバイスをもらえると安心できます。
──悩む時間も省けて効率的ですね。最後に、TVアニメ『僕の妻は感情がない』の放送開始を楽しみに待っている視聴者のみなさんへのメッセージをお願いします。
稲垣さん:TVアニメ『僕の妻は感情がない』は、みなさんが思っている以上にすごく私たちの感情が揺さぶられる作品になっています。ロボットと人間の会話の食い違いやズレ、温度差でクスッと笑えるシュールな場面もあれば、ちょっとうるっときてしまう場面もあります。
どんどん登場人物も増えていくのですが、そのにぎやかさや温かさ、進歩も感じていただけたらと思います。そして、何でもない日常を描いている作品だったりもするので、この世界に入り込んで、ミーナとタクマの夫婦の日常を一緒にのぞいていただけたら嬉しいです!
〈取材・文/赤木一之 @akagiissi 撮影/天倉 悠喜 @yk_photograph 編集/水野ウバ高輝〉
◆プロフィール
稲垣好(いながき・このみ)
7月24日、新潟県生まれ。アイムエンタープライズ所属。代表作は、『Do It Yourself!!-どぅー・いっと・ゆあせるふ-』(せるふ役)、『黒の召喚士』(アンジェ役)、『SYNDUALITY Noir』(エリー役)など。趣味はイラスト、映画鑑賞。特技はエレクトーン。
◆『僕の妻は感情がない』作品情報
●ストーリー
社畜サラリーマンの小杉タクマは、家事をする暇がないため、家事ロボット「ミーナ」をリサイクルショップで購入する。タクマが「お嫁さんになってくれない?」と軽い気持ちで求婚したことをきっかけに、ミーナはプログラムにないはずの行動をとるようになる。自らの機能を駆使し、出来る限り「お嫁さん」であろうとするミーナ。タクマにもまた、夫としての自覚が芽生えていく――。
ミーナには本当に「感情がない」のか。人間とロボット、「夫婦未満の2人が夫婦の絆を築くまで」のハートフルストーリー!
●作品概要
▼スタッフ
- 原作:杉浦次郎 『僕の妻は感情がない』(MFコミックス _フラッパーシリーズ/KADOKAWA刊)
- 監督:吉村文宏
- シリーズ構成:広田光毅
- キャラクターデザイン:ウクレレ善似郎
- 色彩設計:古谷 恵
- 美術監督:河野次郎
- 撮影監督:伊藤佳恵
- 編集:田村ゆり
- 3Dディレクター:バイブリーアニメーションCG、北京写楽美術芸術品有限公司
- 音響監督:伊藤 巧
- 音響制作:HALF H・P STUDIO
- 音楽:佐久間 奏、中村巴奈重、田渕夏海、櫻井美希
- 音楽制作:日音
- アニメーション制作:手塚プロダクション
- 製作・著作:製作委員会は感情がない
▼キャスト
- 小杉タクマ:豊永利行
- ミーナ:稲垣 好
- 小杉あかり:青山吉能
- スーパーミーナ:芹澤 優
- 西園寺リヒト:松田利冴
- マモル:若井友希
▼主題歌
- オープニングテーマ:ときのそら「おかえりなさい」
- エンディングテーマ:清水美依紗「Wave」
▼公式Webサイト
▼公式X(旧Twitter)
推奨ハッシュタグ :#僕妻アニメ
●放送情報
- TOKYO MX 7月2日より 毎週火曜日23:00〜
- MBS 7月2日より 毎週火曜日27:00〜
- BS朝日 7月3日より 毎週水曜日23:30〜
- AT-X 7月4日より毎週木曜日23:00~ ※リピート放送 毎週月曜日11:00~/毎週水曜日17:00~
- CBC 7月20日より 毎週土曜日26:03〜
●原作情報
『僕の妻は感情がない』
著者:杉浦次郎
コミックス1~7巻発売中
▼コミックフラッパー公式サイト
▼コミックフラッパー作品ページ
https://comic-flapper.com/product/bokunotsuma/
©2024 杉浦次郎/KADOKAWA/製作委員会は感情がない