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 現在、第9部『The JOJOLands』まで連載されている『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズですが、実は第5部『黄金の風』のコミックスにだけ特殊な仕掛けがあるそうです。

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◆『ジョジョ』の原点である「イタリア」へのリスペクト

 世界観は一貫しつつも、シリーズごとに主人公と舞台が変わる『ジョジョの奇妙な冒険』。実は、第6部『ストーンオーシャン』までのジャンプコミックスの書影には「JOJO」というローマ字表記が書かれています。

 しかし、なぜか第5部『黄金の風』が収録されている第47巻から第63巻までの表記は「GIOGIO」と変更されているのです。

 この理由について荒木飛呂彦先生はコミックス第47巻の作者コメントで、「イタリアでは“J”という文字はないらしく、外来語とか古語にしか用いられないんだそうである。(中略)第五部の主人公は“GIOGIO”とイタリア語に忠実に表記することにしたのです」と自らのこだわりを説明しています。

 そんな荒木先生は、2006年7月に放送されたNHK BS番組『マンガノゲンバ』の「作者ノゲンバ」というコーナーのインタビュー内で、20代のころのイタリア旅行が自身の漫画制作に大きな影響を与えたと語っています。特に、イタリアで見たミケランジェロの作品に強い感銘を受けたそうです。

 『ジョジョ』シリーズはアメリカや日本などが舞台となるケースが多い中、第5部だけはイタリアが舞台でした。もしかしたら「GIOGIO」の表記には、思い入れがあるイタリアへのリスペクトの念も込められていたのかもしれません。

 

 ──第5部は作中時間が最も短いシリーズであることでも知られています。たとえば、ジョナサン・ジョースターとディオ・ブランドーの因縁が描かれた第1部の作中時間は約21年。空条承太郎たちが活躍した第3部の作中時間は約55日間となっています。しかし、第5部は約9日間の冒険なのです。

 短い時間の中でも濃密な出来事が詰まっている第5部は、まさに荒木先生のイタリア旅行の経験が活かされたからなのかもしれません。

〈文/fuku_yoshi〉

《fuku_yoshi》

出版社2社で10年勤め上げた元編集者。男性向けライフスタイル誌やムックを中心に、漫画編集者としても経験を積む。その後独立しフリーライターに。現在は、映画やアニメといったサブカルチャーを中心に記事を執筆する。YouTubeなどの動画投稿サイトで漫画やアニメを扱うチャンネルのシナリオ作成にも協力し、20本以上の再生回数100万回超えの動画作りに貢献。漫画考察の記事では、元編集者の視点を交えながら論理的な繋がりで考察するのが強み。最近では、趣味で小説にも挑戦中。X(旧Twitter)⇒@fukuyoshi5

 

※サムネイル画像:Amazonより 『「ジョジョの奇妙な冒険 第5部 黄金の風 カラー版」第1巻(出版社:集英社)』

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