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 『ジョジョの奇妙な冒険 Part3 スターダストクルセイダース』で初登場したスタンド。当初は「1人につき1体」や「スタンドはスタンドでしか攻撃できない」といったルールが設けられていました。

 しかし、早々に初期設定に矛盾するスタンドが出てくる事態になり、シリーズが進むとこれらのルールをぶっち切ったチートなスタンド使いも現れました。

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◆スタンドは1人につき1

 「スタンドは11体」というルールにはポルナレフの「シルバーチャリオッツ」の残像を見たときの花京院典明、吉良吉影の「シアーハートアタック」に驚いたときの広瀬康一が触れています。しかし、『ジョジョの奇妙な冒険 Part4 ダイヤモンドは砕けない』に登場する虹村形兆の「バッド・カンパニー」と矢安宮重清(以下、重ちー)の「ハーヴェスト」は、複数のスタンドを操ることで有名です。

 いずれも約10cmの大きさのスタンドを100体ほど同時に操れる能力となっています。しかし、彼らのスタンドは1体のパワーが小さく、全体で一つのスタンドとみなされているようです。

 また、虹村形兆の「バッド・カンパニー」は軍隊の規律に従って行動し、重ちーの「ハーヴェスト」は命じたものを集めてくるという単純なもの。吉良吉影の「シアーハートアタック」は「キラークイーン」の能力の一部であり、付属品のようなものなのでスタンドが2体いる扱いにはならないのでしょう。

 スタンドはその人の精神を具現化したもの。人の精神は複雑であるため、人によってはスタンドが複数体に分かれることもありそうです。

 ただし、その場合はパワーを犠牲がなっていたり、11体が個別に複雑な動きはできなくなっていたりすると考えられるでしょう。この結果、「スタンドは1人につき1体」というルールは、「まったく異なる2つ以上の能力を持たない」と解釈されるようになっています。

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◆スタンドはスタンドでしか攻撃できない

 「スタンドはスタンドでしか攻撃できない」というルールはバトルの根幹に関わるため、この原則がむやみに破られることは少ないです。しかし、呪いのデーボはスタンド「エボニーデビル」を取りつかせた人形を使って、実在のカミソリでポルナレフの「シルバーチャリオッツ」を傷つけていました。

 人形はポルナレフ自身が床から拾っていたので、スタンドでないことは確かです。「エボニーデビル」のビジョンは、呪いに使う人形のような姿をしていて手にナイフを持っています。

 しかし、人形が持っていた刃物は床屋で髭剃りに使うようなカミソリだったため、実物と判断して間違いないでしょう。それなのにポルナレフ自身ではなく、「シルバーチャリオッツ」に攻撃できていたのは謎です。

 ただ、呪いのデーボのスタンドは恨みによってパワーアップします。ポルナレフとの戦いにおいても、事前に攻撃を食らって傷を負うことで恨みの念を溜めていました。

 恨みによるパワー増強と実在する人形に憑りつくという特性によって、実物のカミソリを使ってスタンドを傷つけるという離れ業をやってのけたのかもしれません。「エボニーデビル」はかなり珍しいタイプですが、制約のような前提条件を用いれば「スタンドはスタンドでしか攻撃できない」というルールも無視できるということなのでしょう。

◆遠距離パワー型は複雑な動きはできない

 近距離型のスタンドはパワーが強く遠距離型は遠くまで動けるかわりにパワーが弱いという特性があり、遠距離パワー型は複雑な動きはできないというルールとなっています。しかし、エリンコ・プッチの「ホワイトスネイク」は遠距離型でありながら、近距離での戦闘でもかなりのパワーを見せています。

 「ホワイトスネイク」の射程距離は半径20mほどで、ターゲットに触れることでDISC化できる能力があります。しかし、『JOJOVELLER』に収録されているスタンド解説によると、「ホワイトスネイク」の破壊力とスピードは近距離戦では推定A相当とかなり破格のパワーです。

 さらに「ホワイトスネイク」は自発的に話すことから自我があると予想され、エリンコ・プッチの口頭による命令に従って行動する特性も持っています。『ジョジョの奇妙な冒険 Part6 ストーンオーシャン』のラスボスのため、かなり特殊で強い設定になっているのかもしれません。

 また、鉱物に変身するミドラーのスタンド「ハイプリエステス」も遠距離型ながら、かなりのパワーを見せています。ミドラーは海岸からスタンドを操っていましたが、海底の岩石に化けたときは承太郎の「スタープラチナ」が力負けしていました。

 実際に承太郎はその力に「な……なんてパワー……だ」と驚いており、押し返すことはできませんでした。最終的には岩石を砕くことで承太郎が逆転勝利をおさめますが、パワーでは負けていたと考えてよいでしょう。

 ミドラーがいる海岸から承太郎たちが襲われた海底地点まで、どのくらいの距離だったのかははっきり分かりません。ただ「ハイプリエステス」を倒した後、承太郎たちは陸まで泳いでいることを考えると数十メートルはあったと考えられます。

 ミドラーのスタンド「ハイプリエステス」は海底の巨大な岩石に化けており、その分パワーが強くなっていたのかもしれません。いずれにせよ、「ホワイトスネイク」も「ハイプリエステス」も遠距離型でありながらそれなりのパワーを見せていました。

 それにもかかわらず戦いではスタンドの使い手の命令や意志によって、柔軟な行動を見せていたように見えます。吉良吉影の熱に反応してターゲットを自動追尾し、爆発攻撃する「遠距離パワー型は複雑な動きはできない」に則った「シアーハートアタック」に比べると、ルールを逸脱する性能を持ったスタンドといえるでしょう。

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◆ルールをぶっちぎるミスタのスタンド

 1人1体という設定に反してミスタのスタンドは6体おり、さらには1体ずつ別の人格を持っています。また、その能力はスタンドを攻撃する前提でできていないというレア中のレア。しかも遠隔操作どころかミスタが気を失っていても、自分たちで考えて複雑なミッションをこなすというルールをぶっちぎった性能となっています。

 「スタンドは11体」というルールですが、ミスタのスタンドは11体が小さいです。この点は虹村形兆の「バッド・カンパニー」や重ちーの「ハーヴェスト」と同じなので驚くことではありません。

 また、6体いてもできることは弾丸の操作なので、「まったく異なる2つ以上の能力を持たない」というルールには反していないでしょう。しかしミスタのスタンドはそれぞれに異なる人格が宿っており、6体で相談しながら作戦を立てたりミッションをこなしたりできるのが強みです。

 一応すべてミスタの人格が反映されたもののようですが、それぞれが状況に適したアイデアを出して行動を取れるというのはもはや別の能力を持っているのに近いでしょう。しかも、本体であるミスタが気を失っていたり、瀕死になっていたりしてもスタンドの能力はまったく低下しません。

 そして、「スタンドはスタンドでしか攻撃できない」どころか、スタンドを攻撃する前提でできていないことも異例です。ミスタのスタンドは弾丸の操作によって、スタンド使い本体を攻撃して倒します。

 「スタンドはスタンドでしか攻撃できない」というルールを破ってはいませんが、それを逆手にとって最初からスタンドを攻撃する能力を持ちません。これはスタンド同士で戦うというこれまで当たり前と考えていた根本的ルールすら覆しているといえるでしょう。

 最後に「遠距離パワー型は複雑な動きはできない」というルールですが、ミスタのスタンドは前述したように自我があります。ミスタから距離が離れていても、自分たちで考えて敵スタンド使いの裏をかくこともしばしば。

 ただミスタのスタンドはパワーが弱く、6体が力を合わせても拳銃を運べる程度の力しかありません。しかし、至近距離からミスタの頭部に撃ち込まれた3発の銃弾を、たった1体ですべて止めるなど弾丸に関してはとんでもないパワーを発揮していました。

 自我を持って自分で考えて複雑なミッションをこなし、ミスタの意識がなくても遠距離でも行動できるうえ弾丸を跳ね返したり止めたりするパワーを見せる彼のスタンド。スタンドの中でも、かなり異質で反則級の能力を持っているといえるでしょう。

 

 ──ストーリーが進むにつれ当初の設定が変わったり忘れられたりすることはよくあることです。しかし、ルールにあてはまらないスタンドを改めて見てみると敵に抱いた恨みをパワーに変えている、スタンドを攻撃できないといった特殊な制限があります。

 チート級の能力を持っているスタンドは、実はパワーアップしている分きちんと制約も厳しくなっているのだと考えられます。

〈文/諫山就〉

《諫山就》

アニメ・漫画・医療・金融に関するWebメディアを中心に、フリーライターとして活動中。かつてはゲームプランナーとして『影牢II -Dark illusion-』などの開発に携わり、エンパワーヘルスケア株式会社にて医療コラムの執筆・構成・ディレクション業務に従事。サッカー・映画・グルメ・お笑いなども得意ジャンルで、現在YouTubeでコントシナリオも執筆中。X(旧Twitter)⇒@z0hJH0VTJP82488

 

※サムネイル画像:Amazonより 『「ジョジョの奇妙な冒険 第3部 スターダストクルセイダース」第2巻(出版社:集英社)』

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