<この記事には『呪術廻戦』の最終話までのネタバレが含まれます。ご注意ください。>

『週刊少年ジャンプ』で連載されていた『呪術廻戦』は、930日に最終回を迎え長い歴史に幕を閉じ、コミック最終巻が去年の12月25日に発売されました。

 最終回は暗い展開が多い本作に反して希望がある明るい終わりを迎え、「いい最終回だった」「呪術のおかげで楽しい6年間だった」と、喜びの声がSNSなどで上がっています。

 しかし、一方で未回収の伏線が多く、今までの伏線回収や謎を明かすような続編に期待している読者も多いようです。どのような伏線がまだ残っているのでしょうか?

◆謎に包まれた宿儺の過去

 まず未回収の伏線に上げられるのが、本作のラスボスである宿儺の過去です。

 生前の宿儺については、宿儺が胎児のときに片割れの双子を食べたことや、生まれた後は異形の忌み子として虐げられてきたことなど、断片的なことしか判明していません。

 しかし、作中での様子を見ると、奈良時代から生きる天元や受肉して現代に蘇った天使など、生前の宿儺と因縁がありそうなキャラがいます。

 たとえば、天元は飛騨霊山浄界で生前の宿儺と思われる即身仏を安置していました。本作の黒幕である羂索が即身仏を宿儺への手土産として持ち帰ると、宿儺は「羂索……いや天元か…… 皮肉のつもりか それとも……」と、意味ありげな発言をしています。

 また、天元と羂索が顔を合わせたときには、天元の見た目が生前の宿儺と似ていたため、羂索が「それは自分が望んだ姿か?まるで」と言い、生前の宿儺を思い起こしていました。

 これらの描写から宿儺と天元は何かしらの関係があり、過去に何かあったと考えられるでしょう。

 ほかにも、天使との関係もはっきりしていません。天使は死滅回游の際に受肉した過去の術師で、宿儺を「堕天」と呼び、彼の殺害を目的としていました。

 しかし、宿儺の命を狙う理由や堕天と呼ぶ由来などは判明しておらず、両者の間にどのような因縁があるのかは謎に包まれたままです。

 さらに、最終回では宿儺が生前に違う生き方を選べるタイミングが2回あったと述べ、ふたりの人物が描かれています。

 おそらくひとりは見た目からして裏梅かと思われますが、もうひとりの黒髪の女性は誰か分かっていません。ファンの間では万説や天元説、母親説などさまざまな考察が飛び交っていますが、宿儺の人生の岐路だったことを考えるとかなりの重要人物といえるでしょう。

◆虎杖の設定──主人公なのに謎が多いまま

 宿儺の過去だけでなく、主人公の虎杖の設定についても不明な点が多いです。

 たとえば、虎杖の領域展開は名前や能力などは判明していません。虎杖は第264話で領域展開を発動し、気がつくと虎杖と宿儺はともに虎杖の故郷である岩手県の駅のホームにいました。その後、ふたりは虎杖の思い出の場所を巡り、虎杖が宿儺を哀れんだことで宿儺の怒りを買い、再び戦闘が始まります。

 虎杖の領域内では宿儺は虎杖へ受肉していたときの姿へ戻っていましたが、結局どのような効果があったのか説明がないまま終わりを迎えました。作中では虎杖も必死で領域展開したため、自身の領域についてよく分かっておらず、名前などは決まっていないのかもしれません。

 また、虎杖の両親についてもまだ不明点が多く残っています。虎杖の両親は物語が始まった時点ですでに鬼籍に入っていました。

 しかし、物語が進んでいくと虎杖の母親である虎杖香織は一度死亡し、羂索が香織の体を乗っ取って虎杖を出産したことが判明します。一方、父親である虎杖仁も、第257話で彼の魂は宿儺が母親の胎の中で食べた片割れの双子の生まれ変わりだと発覚しました。

 虎杖の両親はこれだけの設定があるにもかかわらず、香織が1回目に死亡した理由やその後にふたりが死亡した理由が判明していません。

 また、なぜ仁が額に縫い目のあるあやしい香織を受け入れて、子供をもうけたのかも謎に包まれています。もしかしたら、羂索が何かしら仕込んでいたり、仁の命を奪った可能性が考えられるでしょう。

◆この他にもさまざまな未回収の伏線が……

 宿儺や虎杖以外にもまだ多くのことが謎に包まれています。

 たとえば、渋谷事変で死亡したはずの釘崎が復活した理由について、作中では語られていません。釘崎は真人の術式を受けて一度は作者に死亡したと明言されるほどの重傷を負いました。

 しかし、釘崎は人外魔境新宿決戦の終盤で復活を遂げて、宿儺との戦いに大きく貢献しています。釘崎が復活するかは前から蘇生処置によるといわれており、多くのファンが彼女の復活した理由に注目していましたが、語られることなく終わりを迎えました。

 ほかにも、夜蛾が死ぬ間際に楽巌寺に伝えた呪骸の製造方法も、その後は触れられていません。渋谷事変が終わったのち、拘束されていた夜蛾はパンダが拘束されていることを知り、救出へ向かいました。

 しかし、夜蛾の前に楽巌寺が立ちはだかり、敗北した夜蛾はこれまで誰にも明かさなかった呪骸の製造方法を楽巌寺へ伝えます。

 わざわざ死の直前に伝えたことや夜蛾の呪骸は軍隊を作れるほど強力なことから、ファンの間では何かしらの伏線のように思われていました。しかし、これっきり呪骸の製造方法については触れられず、そのまま最終回を迎えたのです。

 さらに、同じく呪骸のパンダに何か起こるようなことが示唆されましたが、結局何も起きませんでした。

 呪骸は3つの宿した魂がおたがいに観測しあうことで安定していましたが、パンダは戦いの中で2つの魂を失います。その後、単行本のフリースペースに「(パンダは)これからどうなってしまうのでしょうか」と書かれ、ファンの間ではパンダの身に何か起こるように思われました。

 しかし、結局パンダは小さくなっただけで特に何も起こらず、そのまま終わりを迎えています。

 

 ──このように最終回を迎えた『呪術廻戦』ですが、未回収の伏線や謎が残されています。しかし、最終回は未来ある明るい終わり方だったことや、宿儺以上の敵は望めないことから、続編が制作される可能性は低いかもしれません。

 スピンオフやキャラクターブックなど、別の形で伏線が回収されたり謎が明かされたりするのを期待したほうがいいかもしれません。

〈文/林星来 @seira_hayashi

《林星来》
アニメ・漫画に関するWebメディアを中心に、フリーライターとして活動中。葬儀会社やベンチャー企業での社会経験を生かしたビジネス系の記事や、FP2級を保有し金融の知識を生かしたマネー系記事を執筆。また、人には言えない恋愛経験も多く持っており、恋愛系の記事を執筆することもある。

 

※サムネイル画像:Amazonより

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