<この記事には漫画『呪術廻戦≡(モジュロ)』のネタバレが登場します。ご注意ください。>
『週刊少年ジャンプ』41号にて連載が始まった『呪術廻戦≡(モジュロ)』(以下、『モジュロ』)。事前告知では『呪術廻戦』の公式スピンオフであることが伏せられていたため、衝撃を受けた人も多かったのではないでしょうか。そんな『モジュロ』は本編から68年後の日本が舞台で、しかも新たに宇宙人が登場するという大胆な設定……。数多くの謎を残したまま連載が終了した本編がどう絡んでくるのか、今後の展開が注目となっています。
◆新キャラクター乙骨兄妹の能力にチラつく呪術師たちの面影
『モジュロ』での新たな主人公は、乙骨憂太と禪院真希の孫として登場した乙骨真剣と憂花の2人です。真剣は祖母の真希に、憂花は祖父の憂太にそれぞれ見た目が似ていますが、注目したいのは彼らの能力です。彼らの能力をひも解いていくと本編に登場した呪術師たちの面影が見え隠れしています。
まず真剣ですが第1話で呪詛師に捕まった際、憂花が「兄貴は特殊体質で呪力を持たない術師なの」と言っています。この発言から真っ先に思い浮かぶのは、伏黒甚爾や真希の「天与呪縛のフィジカルギフテッド」ではないでしょうか。実際、真剣の回想シーンでも真希が「私と似ている」と語っていたので、同じ体質であることが示唆されています。
しかし、一方で呪詛師は「君は呪力が弱い様だ」と言っており、憂花の発言と矛盾します。事実、真剣がフィジカルギフテッドと考えるには不可解な点があります。甚爾や真希のように完全に呪力が0である場合は、代わりに常人離れした身体能力だけでなく、呪霊を察知できる五感を有するハズ。
つまり、呪詛師の罠に対応できなかった時点でその線はかなり低くなります。そう考えると覚醒前の真希と同じように、一般人以下ですが呪力は少し持っている可能性が高いです。
また真剣は、日下部篤也や三輪霞が使用していた「シン・陰流」を使いこなしていました。ただし、現時点では「簡易領域」を展開している描写がないので、今後どこまでの実力を秘めているのか、注目点の一つとなるでしょう。
一方の憂花は呪力を持っています。真剣の能力が真希に似ているので、憂花は憂太に似ているのかというと、今のところそうではなさそうです。憂花は呪詛師との戦いで「狗顎爪(くがくそう)」という技を見せています。これは呪詛師曰く「呪力特性をのせた形象拳」とのこと……。形象拳は、姿や形態などを具象化した拳です。つまり、「狗顎爪」は犬の牙や爪を模していると捉えられます。これは、どちらかといえば伏黒恵が十種影法術を発動させる際の動物の「手影絵」に近い能力だと推察できます。
その証拠に、憂花は真剣と手合わせをした際、蛇のように腕をくねらせる技も使っていました。十種影法術自体は禪院家の相伝術式なので憂花の技や術式と関連があっても不思議ではありません。
このように、乙骨兄妹には本編で登場したキャラたちの能力が色濃く投影されています。
◆両面宿儺の出自の謎が解明される!?
『モジュロ』で最も衝撃的だった一つが、やはり宇宙人の登場ではないでしょうか。しかもその中の一人は、身体の紋様なども含め両面宿儺のような出で立ちをしています。
特に注目したいのは、彼らが乗ってきたとされる宇宙船「母船ナウナクス」という名前。これを反対から読むと「スクナ」という文字が入っていることが分かります。さらに呪術総監部は、宇宙人の訪問に関して宿儺以来の「特級事案」に認定していました。宿儺に似た宇宙人がいて、宇宙船にも「スクナ」の名前がついているのはもはや偶然ではないでしょう。
つまり、宿儺の出自が宇宙人と関連していると推察できます。宿儺の過去や出自については本編で軽く触れられていましたが、まだまだ多くの謎が残されたままです。そんな背景もあり、SNSでは未回収伏線の一つとして平安時代の呪術師たちを描いてほしいという読者たちの要望は特に多かったように感じます。そんな中で、今後宇宙人と宿儺の関わりが明かされるのか、要注目になるでしょう。
◆虎杖悠仁の生死と今後の登場は?
『モジュロ』で最も期待するのは、やはり本編で主人公だった虎杖悠仁の再登場でしょう。しかし、その生死に関しては今のところ明かされていません。本編で高校一年生だった虎杖たちが生存していた場合、『モジュロ』では83歳になっているはずなので年齢的に生きていても不思議ではないでしょう。
ただし、呪詛師が真剣に対して「五条悟や虎杖悠仁をはじめとする傑物達が今の日本にいるか?」と言っており、すでに亡くなっている可能性の方が高いと考えられます。仮に生存していたとしても、この発言から呪術界との関係を断っている、もしくは表舞台から姿を消しているのかもしれません。
興味深いのは、五条のあとに虎杖の名前が上がっている点です。後世では、虎杖の実績や実力は五条に匹敵する呪術師に成長していたと捉えられるのです。どちらにせよ、虎杖のその後が『モジュロ』でどう描かれるのか注目したいです。
◆主要メンバーたちの子孫は?
また、主要メンバーの子孫たちが登場する可能性も十分考えられます。本編では男女の関係性が匂わされていたカップリングがあります。
特に注目なのが、伏黒恵と来栖華。第270話では、伏黒が来栖の失ってしまった右腕の代わりとなり、「責任を取る」と決意を語っています。その発言から来栖は「式はいつにしますか?」と早とちりし、伏黒は「そういう意味ではなく」とカタコトになりながら、「あとで話そう」という会話で締めくくられていました。
また、虎杖と中学時代の同級生・小沢優子の関係にも注目でしょう。ジャンプコミックス30巻に収録されたエピローグでは、小沢と虎杖が仙台で再会する様子が描かれています。最後のコマでは釘崎が「虎杖が大人の階段の前に立った!! 気がする!!」と第六感を働かせている場面があります。主要メンバーたちが無事にゴールインしていた場合、その子孫が登場しても不思議はないでしょう。
──『モジュロ』では、本編に登場したキャラクターたちがどう物語に関わってくるのか? もしくは彼らの行動がどう未来につながってくるのか? 新旧の呪術師たちが交錯することで、新たな物語が廻り始めるのかもしれません。
〈文/fuku_yoshi〉
《fuku_yoshi》
出版社2社で10年勤め上げた元編集者。男性向けライフスタイル誌やムックを中心に、漫画編集者としても経験を積む。その後独立しフリーライターに。現在は、映画やアニメといったサブカルチャーを中心に記事を執筆する。YouTubeなどの動画投稿サイトで漫画やアニメを扱うチャンネルのシナリオ作成にも協力し、20本以上の再生回数100万回超えの動画作りに貢献。漫画考察の記事では、元編集者の視点を交えながら論理的な繋がりで考察するのが強み。最近では、趣味で小説にも挑戦中。X(旧Twitter)⇒@fukuyoshi5
※サムネイル画像:『「呪術廻戦≡」キービジュアル (C)芥見下々・岩崎優次/集英社』