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※この記事にはTVアニメ・漫画『呪術廻戦』のネタバレが含まれます。ご注意ください。

※本記事はTVアニメ・漫画『呪術廻戦』に関するライター個人の考察・見解に基づくものであり、公式の設定や見解とは異なる場合があります。

 呪力を持たない代わりに、超人的な身体能力を得た「天与呪縛」、伏黒甚爾。“術師殺し”として恐れられた彼の存在は、たんなる強敵ではありません。彼は、呪術界の根幹をなす「因果」の理の外側に立つ、唯一無二の“バグ”でした。

 皮肉にもこの呪力を持たない異分子こそが、五条悟を“最強”へと覚醒させ、禪院家を崩壊へと導いたのです。呪術界の“バグ”が世界の歯車をどう狂わせたのか、その恐るべき影響力の全貌は、彼の持つ「呪力ゼロ」という特異性を知ることで見えてくるのかもしれません。

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◆「呪力ゼロ」という異物──甚爾だけが持つ絶対的な優位性

 甚爾の強さの本質。それは彼の超人的な身体能力以上に、呪術界において彼だけが持つ、「呪力ゼロ」というあまりにも異質な性質にあるのかもしれません。

 禪院真希のように一般人並みの呪力しか持たない天与呪縛の例は、過去にも存在したとされていますが、呪力が完全に“ゼロ”であったのは、呪術の長い歴史の中でも、甚爾ただ一人だったとされています。彼は、天与呪縛の中でも突然変異と呼ぶべき特別な存在だったといえます。

 この「呪力ゼロ」は、彼に二つの絶対的な優位性を与えているのではないでしょうか。

 一つは「不可視性」。呪力がないため、彼は敵の呪力探知に一切かかりません。気配を完全に消し、相手の死角から現れる。あの五条ですら、最初の奇襲を受け致命傷を負ったのは、この性質があったからだといえるでしょう。

 そしてもう一つが、領域展開に対する「絶対的な耐性」です。呪力を持たない甚爾は、相手が領域を展開しても、その結界に閉じ込められません。さらに、領域内で発動する必中の術式も、彼を対象として認識できません。現代呪術戦の頂点である領域展開に対し、彼は一方的に有利な状況を作り出せてしまうといえるでしょう。

 甚爾の本当の恐ろしさは、その肉体の強さだけではありません。それは、呪術界のあらゆるルールや常識の外側に立つ、「呪力ゼロ」という“異物”であることといえます。彼は、呪術師たちが作り上げた土俵で戦う必要がない、唯一無二の存在なのではないでしょうか。

◆呪術界の因果を破壊した男──たった一つの「気まぐれ」

 「呪力ゼロ」という、呪術界のルールから外れた存在。甚爾という“バグ”は、その意図とはまったく関係なく、この世界の根幹をなす巨大な運命の歯車を狂わせてしまいました。

 呪術界の安定は、1000年以上の長きにわたり、三つの存在が「因果」によって結びつくことでかろうじて保たれてきました。日本全土の結界を司る天元様。その天元様が暴走しないよう、肉体をリセットするための生贄となる星漿体。そして、その二つを確実に巡り合わせるための最強の目を持つ六眼の術師。

 この三つは、呪力によって結ばれた、いわば逃れることのできない“運命”の鎖でした。しかし、その呪力の鎖は、呪力を一切持たない甚爾には届きません。彼は、この世界の運命を司る大きな流れの外側に立つ唯一のイレギュラーだったと考えられます。

 そして運命の日。盤星教からの依頼を受けた甚爾は、星漿体である天内理子の命を奪います。それは、彼にとって金儲けのためのただの「仕事」の一つに過ぎませんでした。

 しかし、このたった一度の「仕事」が、1000年間続いてきた呪術界の“因果”を初めて断ち切ってしまったのです。

 同化する相手を失った天元様は、望まぬ進化を遂げて呪霊に近い存在となってしまい、それが結果的に偽夏油こと羂索の計画を大きく後押しすることになってしまいます。

 甚爾は、その「呪力ゼロ」という生まれ持った性質によって、知らず知らずのうちに、呪術界が1000年間守り続けてきた絶対の“運命”を破壊してしまったのかもしれません。彼の存在そのものが、この世界の安定を崩壊させる最大の引き金だったといえるでしょう。

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◆最強を生み御三家を壊す──甚爾が遺した「二つの遺産」

 呪術界の“因果”を破壊した甚爾。彼は死してなお、その存在の“バグ”によって、世界の形を大きく変え続けていきました。彼が意図せず遺したものは、二つあると考えられます。

 一つは、皮肉にも甚爾自身の命を奪うことになる「現代最強」の誕生です。星漿体の襲撃任務の際、一度は甚爾に敗れ、死の淵をさまよった五条。しかし、その敗北こそが、彼に術式の核心である反転術式を会得させ、本当の意味での“最強”へと覚醒させる、最大のきっかけとなりました。

 「呪力ゼロ」という、呪術の常識が一切通用しない脅威と出会ったからこそ、五条は既存のルールの頂点を極め、そして超えることができたといえます。甚爾は、自らを打ち破る「最強」を、その手で産み出してしまったのかもしれません。

 そして、もう一つが、彼がもっとも憎んだはずの「禪院家」の崩壊です。甚爾が死に際に半ば気まぐれのように五条に託した、息子・伏黒恵。その恵の存在が、後に禪院家の歪んだ相続問題を引き起こし、最終的には甚爾と同じ天与呪縛を持つ真希を覚醒させ、御三家の一つである禪院家を物理的に“壊滅”させる直接的な原因となった可能性があります。

 甚爾が「好きにしろ」と言い捨て、その運命を他人に委ねたたった一人の息子。その存在が十数年のときを経て、彼が捨てたはずの故郷を根絶やしにしてしまった。これは、あまりにも皮肉な結末といえるでしょう。

 甚爾という“バグ”は、死してなお呪術界に影響を与え続けたと考えられます。彼は、五条という「現代の最強」を産み、そして禪院家という「腐敗した過去」を破壊したのです。

 彼という呪力を持たないイレギュラーな存在こそが、良くも悪くも停滞していた呪術界の歴史を大きく前進させるための、もっとも重要な“きっかけ”だったのかもしれません。

 

 ──呪力から完全に解放された男、伏黒甚爾。彼の「呪力ゼロ」という性質は、呪術界の“因果”の理の外側に立つ、唯一無二の“バグ”だったといえます。

 彼の意図せざる行動は、天元の運命を狂わせ、五条を「最強」へ覚醒させ、そして禪院家を崩壊させる、すべての引き金となった可能性が高いです。

 呪術界に疎まれた男が、皮肉にも、その歴史をもっとも大きく動かした。彼の物語は、呪術界に対する最大の皮肉であり、そして最大の“革命”だったのかもしれません。

〈文/凪富駿〉

《凪富駿》

アニメ・漫画に関するWebメディアを中心に、フリーライターとして活動中。特にジャンプアニメに関する考察記事の執筆を得意とする。作品とファンをつなぐ架け橋となるような記事の作成がモットー。

 

※サムネイル画像:TVアニメ『呪術廻戦』公式サイトより 『TVアニメ「呪術廻戦」第28話 場面写真 (C)芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会』

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