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<この記事には漫画『呪術廻戦≡(モジュロ)』のネタバレが登場します。ご注意ください。>

 乙骨憂花が直接託されたにもかかわらず、五条家が取り上げ乙骨真剣に渡した「乙骨憂太の指輪」。今後の物語的にも、兄妹が呪術師として成長していく上でも欠かせないキーアイテムであることは間違いないでしょう。乙骨の渡した指輪には果たしてどんな効力が秘められているのか……。本編を振り返るといくつかの疑問が浮かび上がってきます。

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乙骨の指輪には「あの呪い」が込められているハズ?

 『呪術廻戦(モジュロ)』(以下、『モジュロ』)第1話で、乙骨憂太が孫娘である憂花に託した指輪。乙骨は「憂花が立派な術師になるまでこの指輪が見守ってくれる」と言っています。さらに禪院真希も真剣に指輪が「魔除け……お守りだから」と語っていることから、いずれ兄妹の助けとなるような効果が込められていると予想できます。

 そもそもこの指輪は、乙骨の幼馴染で不慮の事故で亡くなった祈本里香のものでした。そして特級過呪怨霊となった彼女が成仏する際、その指輪に外付けの術式「リカ」と莫大な呪力を残していったのです。『呪術廻戦』本編では乙骨がそれらと接続するためのアイテムとして使われていました。つまり順当に考えれば、指輪には今も外付けの術式「リカ」と莫大な呪力が込められているはずです。

 もう一つ考えられるのが、乙骨の術式「模倣(コピー)」が込められているケース。本編で生前の術師が長く愛用していた道具に、術師の術式が刻まれることが明かされています。実際に本編第246話では、猪野琢真が七海建人の術式「十劃呪法(とおかくじゅほう)」が刻まれたナタで戦っていました。このことから、年老いるまで肌身離さず持っていた指輪に乙骨の術式が刻まれていても不思議ではありません。

 ただし「模倣(コピー)」が刻まれている場合、指輪は呪具化するはずです。しかし、第1話で五条家の人間と思われる着物の女性が、指輪は「呪物」だと明言しています。そうなると、指輪にはまだ術式「リカ」が眠っている可能性のほうが高いのかもしれません。

 どちらにせよ、乙骨のような強力な術式が使えるなら、乙骨兄妹にとっては「お守り」の役割は十分に果たされると考えられます。

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指輪の疑問点とカギとなる「憂花」

 しかし、指輪にどちらの術式が残されていても疑問が生じます。違和感があるのは、第1話で呪詛師に真剣が連れ去られた場面です。ここでは呪力を持っていない真剣が罠にかかり転移させられるのですが、呪具である刀はその場に残されています。この罠について憂花は、「一定以上の呪力を持つものは結界が弾いている」と推測していました。

 そうなるとなぜ乙骨の指輪が弾かれなかったのか謎が残ります。先ほども触れたように、かつての指輪なら莫大な呪力がこもっているはずです。何より「呪物」は『呪術廻戦 公式ファンブック』(出版社:集英社 2021年3月出版)によると、「呪い」が込められた曰く付きのアイテムの総称でもちろん「呪力」が宿っています。

 つまり、結界に弾かれなかった時点で、指輪に呪力が残っていなかった可能性が高まってしまうのです。そうなると、乙骨がわざわざ「お守り」として孫娘に託した意味もなくなってしまいます。それに「お守り」のはずである指輪が、真剣のピンチには何の効果も発動しなかった点も不可解です。

 このことから、指輪は呪力が残っていても憂花でなければ発動できないアイテムだと推察できます。仮に外付けの術式があっても、呪力がほぼない真剣では使いこなせないですし、そういった観点からも現状では憂花しか接続できないのでしょう。

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指輪がもたらす乙骨兄妹の強化と本当の役割

 第2話では真剣が「真希になりたい」、憂花が「憂太にならなきゃいけない」と決意しています。そして、憂花は「私達は多分それぞれの真実を追いかけている」とモノローグで語っていました。つまり、真剣はどうやって祖母がフィジカルギフテッドの「禪院真希」と成ったのか、憂花はどうやって祖父が特級呪術師の「乙骨憂太」に成ったのか、その真実を知りたがっていると捉えられます。

 しかし、2人が乙骨や真希と同じ道を辿って強くなる可能性は低いと考えられます。

 なぜなら、第1話で真希は真剣に対し、「失うことが強さになる。でもそれは諸刃だから気をつけなさい。残すことも大事って話。」と言葉を残しているからです。かつて真希は双子の妹・禪院真依の命と引き換えに呪力を0にして、完全な天与呪縛のフィジカルギフテッドに覚醒しています。つまり、この言葉は妹を失って強くなった真希とは違う道を示す「フラグ」とも捉えられるでしょう。そうなると、真剣は真希とは違い呪力を残したまま強くなるのではないでしょうか。

 一方で、憂花はそんな真剣よりも実力が劣っています。憂花も何かしら自分の術式があるはずですが、乙骨がお守りの指輪を渡すほどなので恐らく自分の術式は使いこなせていないのが現状でしょう。実際、呪詛師との戦いでは呪力特性を活かした形象拳しか使っていませんでした。そうであれば、乙骨が立派な呪術師となるまで憂花に外付けの術式を「お守り」として渡したという辻褄があってきます。

 呪術師が強くなるケースはいろいろありますが、やはり劇的なきっかけとなるのは五条悟や虎杖悠仁、釘崎野薔薇のように「呪力の核心」に触れることでしょう。そうなれば、さすがに「立派な呪術師」と呼べるハズ。

 つまり、乙骨の指輪の本当の役割は憂花の覚醒のサポートをする「繋ぎ」であると考えられます。「呪力の核心」に至るのは、作中の描写では術師が危険に晒されるときです。もし、憂花の危機が迫れば、そのときはじめて指輪の効果が発揮されるのかもしれません。

 そして術式「リカ」には、乙骨が生前に大量にコピーし呪具化した武器が保管されています。真剣は呪具使いなので乙骨が残した呪具で真希のように戦うことが可能なはずです。憂花が指輪で術式「リカ」を発動し、真剣が「模倣」された呪具で戦う……それは、2人が力を合わせることに他なりません。乙骨の指輪は2人の孫が助け合うための大いなる「呪い」となるのかもしれません。

 

 ──『呪術廻戦』において、「呪い」は必ずしもマイナスな意味ではありません。たとえば、本編第1話で虎杖倭助が今際の際に虎杖悠仁に対して、大勢に囲まれて最期を迎えろと言っています。その言葉は虎杖にとって「呪い」となり生き様を縛りましたが、その根本は孤独な人生を歩んだ倭助が、自分のようにはならないで欲しいという「願い」が託されています。乙骨が指輪に込めた「呪い」も、孫たちのためを想った「願い」なのではないでしょうか。

〈文/fuku_yoshi〉

《fuku_yoshi》

出版社2社で10年勤め上げた元編集者。男性向けライフスタイル誌やムックを中心に、漫画編集者としても経験を積む。その後独立しフリーライターに。現在は、映画やアニメといったサブカルチャーを中心に記事を執筆する。YouTubeなどの動画投稿サイトで漫画やアニメを扱うチャンネルのシナリオ作成にも協力し、20本以上の再生回数100万回超えの動画作りに貢献。漫画考察の記事では、元編集者の視点を交えながら論理的な繋がりで考察するのが強み。最近では、趣味で小説にも挑戦中。X(旧Twitter)⇒@fukuyoshi5

 

※サムネイル画像:『「呪術廻戦≡」キービジュアル (C)芥見下々・岩崎優次/集英社』

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