10月6日より、『連続ドラマW ゴールデンカムイ —北海道刺青囚人争奪編—』が、WOWOWで独占放送・配信されていますが、既に完結した原作漫画にはいくつかの謎が残されています。また、杉元佐一をはじめとする登場人物の中には、モデルになった実在の人物がいるとファンの間で噂されることが多いです。
◆『ゴールデンカムイ』に残る謎
2022年4月の連載終了時に、ほとんどの伏線が回収された『ゴールデンカムイ』ですが、明らかになっていない謎もあり、ファンの間ではその謎に対してさまざまな考察がなされています。
●悪のカリスマ、鶴見中尉は生きていた?
第七師団のカリスマ、鶴見中尉は杉元との一騎打ちの末に胸を撃たれ、その後、杉元とともに海に落ちてしまいましたが、遺体も特徴的な額宛ても見つけらず、生死不明となりました。
鶴見中尉は、爆撃によって前頭葉を欠けても生きていました。そんな彼は、「不死身の杉元」と同じく不死身といえるのではないでしょうか。鶴見中尉が胸を撃たれているとはいえ、杉元が生きている状況で海に落ちて死んだとは考えにくいです。
また『ゴールデンカムイ』では、キャラクターが死亡したときは、死亡シーンが明確に描かれていました。鶴見中尉が「生死不明」となっているのは、実は生きているからと考えられます。
さらに、単行本31巻で加筆されたマッカーサーの写真には、その背後に怪しい男性が映っています。
深く帽子をかぶって、目元を隠し、白髪になっていますが、よく見ると帽子からは額宛てのようなものが見え、特徴的な髭も見られたことから、写真の男こそ鶴見中尉だろうとファンの間では噂されています。
生き残った鶴見中尉ですが、なぜマッカーサーの写真に写り込んでいたかというと、彼が北海道に眠る金塊を餌に、裏でマッカーサーを動かしていたのかもしれません。
第二次世界大戦時、北海道はソ連からの侵攻の可能性がありました。
それを阻止すべく、鶴見中尉がアメリカのマッカーサーに対し「北海道には大量の金塊があるのに、ソ連に渡していいのか?」というように、アイヌのコインをちらつかせながら進言したと考えられます。
大統領選挙などを視野に入れていたと思われるマッカーサーにとって、金はいくらあっても困りません。
結果、アメリカの助力もあって、北海道はソ連に侵攻されることはありませんでした。
もしこの考察の通りならば鶴見中尉は間接的に北海道を守ったことになり、ひいては祖国・日本を守ったことになります。悪者のように描かれた鶴見中尉でしたが、日本への愛は本物だったのかもしれません。
●脱獄王・白石の一人勝ち? 大量の金塊の行方は?
金塊争奪戦後、白石は杉元たちと一緒に東京を訪れた際、何も告げずにどこかへ消えてしまいました。
悲しい別れをしたくなかったのかもしれませんが、やはり金塊を独り占めしたかったと考えるのが妥当かと思われます。
杉元たちが東京にいて、土方陣営・第七師団が金塊に目が向いていない隙をねらって、深夜にこっそりと金塊を持ち出したと考えられます。
脱獄王と異名を持つ白石ならば、深夜に人知れずこっそりと金塊を持ち出すことも可能でしょう。
物語としても、アシリパと杉元は金塊をあきらめたというラストでは、新たな争奪戦の火種になりかねません。
それならば、すぐに金を散在するような白石が豪快に使いきったというほうが、『ゴールデンカムイ』らしいラストといえます。
のちに白石が杉元やアシリパの前に現れたのならば、きっと制裁棒で思い切り叩かれたでしょう。
詳しく読む⇒『ゴールデンカムイ』に残る3つの謎 「アイツは生きてる?」「金塊は誰の手に?」……
◆『ゴールデンカムイ』のキャラには「実在のモデル」がいる?
『ゴールデンカムイ』には、主人公の杉元佐一をはじめ、この作品の登場キャラにはモデルがいるとファンの間で噂されています。
●「不死身の分隊長」と呼ばれた男──杉元佐一のモデル「舩坂弘」
主人公の杉元佐一は作者から自身の曾祖父がモデルだと明かされている一方、ファンの間では兵隊や不死身という共通点から「不死身の分隊長」と呼ばれた舩坂弘がモデルの1人ではないかといわれています。
舩坂弘は、第二次世界大戦時のパオラ=マリアナ戦役の最終決戦となった、アンガウルの戦いで活躍を見せました。
彼は、擲弾筒と臼砲を使ってアメリカ兵を200人以上倒したと、自著『英霊の絶叫- 玉砕島アンガウル』で語っているほか、この戦いで数えて大小24ヵ所におよぶ負傷をしていたにもかかわらず、アメリカ兵に頸部を撃たれ野戦病院に運ばれるまで、不死身の姿で戦ったといいます。
舩坂弘は、傷が治りやすい体質だったようで、動けなくなるような傷を負っても数日で回復して歩いていたそうです。
野戦病院に運び込まれた船坂ですが、3日後には目を覚まし、周りにあった医療器具を破壊し暴れ回ったといいます。
やがて彼は、自著の『英霊の絶叫 玉砕島アンガウル戦記』によると、ペリリュー島の捕虜収容所に身柄を移されました。収容所では米軍の弾薬庫の爆破を企てたようですが、こちらは未遂で終わっているようです。
そのことなどから舩坂には、「不死身の分隊長」という異名がつきました。
一方、『ゴールデンカムイ』の杉元は、日露戦争のときに見せた鬼神のような戦い方や驚異の回復力から、どんな武器でも彼を殺せないと言われ、「不死身の杉元」と呼ばれていました。
その不死身ぶりは凄まじく、刃物や銃で攻撃されてもすぐさま反撃に転じたり、ヒグマと真っ向から戦っても怯まずに撃退したりしています。
さらに、頭を銃で撃ち抜かれ脳みそが欠けても脅威の回復力で生還して、再び戦いへ身を投じていました。これらの活躍は正に不死身の名にふさわしいでしょう。
杉元も舩坂弘も「不死身」と称されるだけのエピソードがあり、その共通点から、舩坂弘は杉元のモデルの1人だと考えられています。
なお、杉元佐一という名前や日露帰りの若者という設定は、作者が曾祖父をモデルにしていると過去のインタビューで語っていました。
作者の曾祖父は203高地で戦った屯田兵だったことから、本作の主人公を日露帰りの若者にしようと考えたそうです。
●実在した「昭和の脱獄王」──白石由竹のモデル「白鳥由栄」
作中で「脱獄王」と呼ばれる白石由竹のモデルは、「昭和の脱獄王」として有名な白鳥由栄だと作者が過去のインタビューで語っています。
白鳥由栄は、1940年代に網走刑務所に収監されていたとき、味噌汁の塩分で鉄格子(視察孔)の釘を錆びさせてこれを外し、その小さい穴から関節を脱臼させて脱獄しました。
また、札幌刑務所では持ち込んだ金属片でノコギリを作って床板を切り、食器でトンネルを掘り続け脱獄しています。
彼は関節を自由に外せる特殊体質だったうえ、1日に120キロ走れる健脚や、手錠の鎖を引きちぎる怪力の持ち主だったそうです。
一方、『ゴールデンカムイ』の白石由竹は、前橋監獄や金沢監獄、秋田監獄など全国の監獄を脱獄してきたことから「脱獄王」と呼ばれています。
彼は白鳥由栄と同じで、生まれつき関節を容易に外せる特殊体質だったことから、鉄格子を外した視察孔や小さなトイレの穴から脱獄してきました。
また、彼は体のあちこちに釘や針金を仕込んでいたり、監獄の特徴を見抜き奇抜な作戦を思いついたりなど、ポテンシャルの高さがうかがえます。
アシリパの父親へ会いに網走監獄へ侵入する際には、その能力の高さを買われ、彼が侵入経路を導き出して監獄へ侵入する計画を立てました。
作者が明言していることから、白鳥由栄が白石のモデルであることは間違いなく、2人には脱獄エピソードや特異体質など、多くの共通点が見られます。
詳しく読む⇒『ゴールデンカムイ』のキャラには「実在のモデル」がいる?「杉元が不死身」、「白石が脱獄王」と呼ばれる本当のワケ
〈文/アニギャラ☆REW編集部 @anigala01〉
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