<この記事にはTVアニメ、原作漫画『鬼滅の刃』のネタバレが含まれます。ご注意ください。>

『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』三部作の制作が発表され、最終決戦では冨岡義勇の活躍も期待できますが、彼はなぜ禰豆子を切らなかったのでしょうか? それには理由があると考えれます。

 また、義勇ですが悲しいことに一部のファンの間では剣士の資質があまりないと言われることもあります。なぜ、剣士としての資質がないと言われる彼は柱まで上り詰められたのでしょうか?

◆なぜ義勇は第1話で「禰豆子を切らなかった」のか?

 『鬼滅の刃』では義勇が鬼になった禰豆子を見逃し、炭治郎を自身の師匠である鱗滝左近次もとへ導いたことで物語が大きく動き出します。しかし、ストーリーが進むにつれて柱が鬼へ向ける感情が明らかになり、禰豆子を見逃した義勇に違和感を覚える読者も多いのではないでしょうか。なぜ、義勇は1話であのような行動をとったのでしょう──?

●なぜ義勇は鬼になった禰豆子を斬らなかったのか?

 義勇が禰豆子を見逃した理由について、作中では彼が禰豆子はほかの鬼と何か違うと思い、斬らなかった姿が描かれています。

 第1話で鬼になった禰豆子は義勇にケガを負わされたり鬼に変わったりして力や体力を消費し、飢餓状態に陥っていました。しかし、禰豆子はそんな状態にもかかわらず、気を失った炭治郎を義勇からかばいます。その姿を見た義勇は「こいつらは何か違うかもしれない」と、今まで出会った鬼との違いを感じ、炭治郎と禰豆子を見逃しました。

 その後、義勇は鱗滝に手紙を送り、ふたりの面倒と炭治郎を鬼殺隊の隊士として育ててくれるように頼みます。さらに、もし禰豆子が人へ襲いかかったときには、炭治郎や鱗滝とともに切腹するといい、自分の命すら炭治郎と禰豆子に預けました。

 このように義勇は禰豆子がほかの鬼と違うと感じたため、彼女を斬らずに見逃しましたが、そのような理由だけで自分の命を賭けるとは思えません。なにかほかに義勇が自覚していない別の理由があるように思えます。

 もしかしたら、その理由とは、炭治郎をかばう禰豆子の姿に、自身の姉の姿を見たのかもしれません。

 義勇の姉の蔦子は『柱稽古編』で、義勇を鬼から隠した代わりに犠牲になったことが明かされました。そのときの詳細は語られていませんが、義勇は姉に守られた自責の念からか、姉の形見の着物を自身の羽織の半分に使っています。このことから、彼が姉のことで心に大きな傷を負っているのがうかがえるでしょう。

 そのように姉にかばわれて生き残った義勇だからこそ、禰豆子は妹ではありますが、兄をかばう彼女の姿に自身をかばった姉の姿を重ねたのかもしれません。そのため、義勇は禰豆子を斬れず、結果的に見逃したとも推測できるでしょう。

詳しく読む⇒『鬼滅の刃』なぜ義勇は第1話で「禰豆子を切らなかった」のか? ほかの柱が来ていたら物語が始まらない可能性も

◆冨岡義勇は剣士としての資質は高くなかった? 彼が「柱に上り詰めた」理由【考察】

 TVアニメ『「鬼滅の刃」柱稽古編』では、柱のひとり・冨岡義勇の過去が語られました。彼の過去は家族や友人を鬼によってうばわれたつらいものでしたが、その絶望から剣を握り柱まで上り詰めた実績は並大抵のことではありません。彼はどのようにして柱まで上り詰めたのでしょうか?

●義勇の剣士としての資質は高くない?

 柱まで上り詰めた義勇ですが、彼の過去を振り返ると、剣士としての資質は高いとはいえないでしょう。

 義勇は『柱稽古編』でも告白していましたが、鬼殺隊になるための最終選別で鬼を一匹も倒していません。義勇は最終選別のとき、最初に襲ってきた鬼にケガを負わされ朦朧としていたところを錆兎に助けられます。そのまま義勇はほかの少年に預けられ、気づいたときには鬼を一匹も倒さないまま試験が終わってしまいました。

 一方、炭治郎が最終選別を突破したときはどうだったでしょうか。炭治郎は最初に遭遇した二匹の鬼を倒し、その後には人を50人以上も食べた手鬼を倒します。鬼の強さは食べた人間の数ともいわれているので、手鬼を倒した炭治郎の実力や資質は高いといえるでしょう。

 また、錆兎も最終選別での活躍を考えると、剣士としての資質が高かったといえます。錆兎は最終選別で義勇を助けただけでなく、藤襲山にいるほとんどの鬼を一人で倒してしまいました。手鬼には敗れたものの、この活躍を考えるとポテンシャルは相当のものでしょう。

 最終選別での炭治郎や錆兎の活躍を考えると、義勇は彼らより剣士としての資質が低いと考えられます。

 では、剣士としての資質ではなくフィジカルはどうでしょうか。これも低くはないものの高いともいえないでしょう。

 単行本11巻では柱の腕相撲ランキングが掲載されており、義勇は9位中5位の成績です。5位はちょうど真ん中なので悪い成績ではありませんが、いいともいえないでしょう。また、『鬼滅の刃公式ファンブック 鬼殺隊見聞録・弐』では、柱の俊足番付が発表されています。ここでの義勇は9位中6位に入り、やはり中間ぐらいの成績です。これらの成績を考えると、義勇のフィジカルも特別に高いものではないでしょう。

●柱までは上り詰めた並々ならぬ努力

 剣士としての資質もフィジカルも高くない義勇は、どうやって柱まで上り詰めたのでしょうか。それは、義勇が並々ならぬ努力をしてきたからでしょう。

 『柱稽古編』で義勇の過去が明らかになったとき、炭治郎は「柱になるまで義勇さんがどれだけ自分を叱咤して叩きあげてきたのか どれだけ苦しい思いをしてきたことか」と、考えていました。また、『鬼滅の刃公式ファンブック 鬼殺隊見聞録・弐』によると、煉獄さんは義勇のことを「努力家」と評価しています。この周囲からの評価を考えても、義勇が常人より努力してきたことは間違いないでしょう。

 ほかにも、義勇が比較的早く柱へ昇格したことにも、彼の努力が垣間見られます。

 柱になった正確な順番は発表されていませんが、不死川が柱へ昇格したとき、すでに義勇は柱としてお館様の屋敷に参列していました。ほかには、悲鳴嶼や宇髄、元柱の胡蝶カナエが柱として参列しており、現柱が義勇のほかに二人しかいないことを考えると、義勇は早い段階で柱になったのでしょう。なお、『鬼滅の刃公式ファンブック 鬼殺隊見聞録』によると、義勇は柱になったばかりのころに竈門兄妹と出会ったそうです。

 また、新しい型を編み出したことからも、義勇は努力家なのがうかがえます。

 本来、水の呼吸は拾ノ型までしかありませんが、義勇は独自に拾壱ノ型「凪」を編み出しました。凪は間合いに入ったものをすべて斬り刻む技で、原理としては単純に猛スピードで対象を斬るだけです。原理を聞くと簡単なように聞こえますが、義勇以外に使用しているものがいないことから、習得難易度は高いのでしょう。凪のことを考えても、やはり義勇が血のにじむような努力をしてきたことに間違いはありません。

詳しく読む⇒『鬼滅の刃』冨岡義勇は剣士としての資質は高くなかった? 彼が「柱に上り詰めた」理由【考察】

〈文/アニギャラ☆REW編集部 @anigala01

 

※禰豆子の「禰」は「ネ+爾」が正しい表記となります。
※煉獄杏寿郎の「煉」は「火」+「東」が正しい表記となります。


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