<この記事にはTVアニメ、原作漫画『鬼滅の刃』のネタバレが含まれます。ご注意ください。>

『「鬼滅の刃」柱稽古編』が最終回を迎え、早くも「無限城編」が劇場版三部作で制作されることが発表されました。もちろんその話題がSNSで話題を席巻するかと思われたのですが、それだけじゃないのがさすがの『鬼滅の刃』。しっかりと最終回のストーリーや演出に対する賛美の声があがりました。

 中でもX(旧Twitter)のトレンド欄では産屋敷による家族をも巻き込んだ自爆行為を“産屋敷ボンバー”と称し、衝撃的なシリアスな行為とキャッチーすぎる語感のギャップも相まって一時的な流行語となりましたが、無惨はなぜお館様の自爆を見抜けなかったのでしょうか?

 また、劇場版三部作は漫画のどこまでが描かれるのでしょうか?

◆なぜ無惨はお館様の自爆を見抜けなかった? 無惨の「とある欠如」が問題か

 TVアニメ『「鬼滅の刃」柱稽古編 』の最終回では、お館様が妻子と一緒に自爆をして、多くの視聴者が涙を流しました。しかし一方で、警戒心が強く臆病な無惨がお館様の秘策を見抜けなかったのかと、疑問の声も上がっているようです。なぜ、無惨はまんまとお館様の策略にハマってしまったのでしょうか?

●無惨は「昆虫」に近い生物

 無惨がお館様の自爆を見抜けなかったのは、彼は共感性が極めて低いことから、鬼殺隊の根底に流れる鬼を許せないという気持ちを理解できていなかったからでしょう。

 無惨について『鬼滅の刃公式ファンブック 鬼殺隊見聞録・弐』では、「人間的感性の持ち合わせがなく、共感能力が極めて低い」と記されています。

 また、無惨は負の真理を見抜く能力に長けていることから毒舌家で、共感性の低さと相まって、これまでに娶った妻5人を自殺に追い込んだこともありました。そのようなサイコパスともいえる性格のため、先述したファンブックでは「人間というよりも昆虫などに近いのかもしれない」と、記載されています。

 無惨の共感性の欠如は作中でもよく表れており、最終決戦では身内を殺されたことを恨んで無惨を追い続ける鬼殺隊を異常者扱いしていました。この振る舞いから、無惨が大切な家族を殺された鬼殺隊の心理をまったく理解していないことがよく分かるでしょう。

 このように無惨は他者へ共感できないことから、警戒していたとはいえお館様の自爆を見抜けなかったと考えられます。

 また、無惨が自爆を見抜けなかったもう一つの理由として、妻子を巻き込んで自殺しないという思い込みがあったのかもしれません。

 お館様が妻子もろとも自爆した際、無惨は驚き「妻と子供は承知の上だったのか?」と疑問を抱いていました。この驚きようからして、無惨はお館様が妻子を巻き込むとは夢にも思っていなかったのでしょう。

 しかし、この無惨の感覚は極めて一般的なものであり、誰でも妻子を巻き込んで自ら命を断つとは思いません。この部分だけ見てみると無惨が一般的な感性を持ち合わせているように見えますが、これは長い年月で培ってきた経験則がもたらしたものでしょう。

 無惨は平安時代から生きているため、ゆうに1,000歳を超えています。これまでたくさんの人間を食べてきてことから、さまざまな修羅場を見てきたはずです。その中には、無惨から妻子をかばったり助けようとしたりする夫がいてもおかしくありません。そのような経験から、妻子を巻き込まないだろうという思考の落とし穴が生まれたのでしょう。

●お館様は妻子を巻き込む必要があったのか?

 一方で、お館様に対して妻子を巻き添えにして自爆する必要があったのかと、疑問の声が上がっています。なぜ、お館様は自分ひとりではなく妻子と一緒に自爆したのでしょうか。

 この答えは原作17144話で語られています。144話では、両親と一緒に自爆をした娘のひなきとにちかは「母同様に父の傍を離れようとしなかった」と説明されていました。このことから、自爆は妻子ともに承知していたことが分かりますが、なぜ妻のあまね様と娘のひなきとにちかはお館様とともに自爆する覚悟を決めたのでしょうか。

 もしかしたら、これまでに多くの鬼殺隊が犠牲になっていることから、自分たちだけ免れるということはできなかったのかもしれません。

 お館様は自身が当主についてから亡くなった隊士の名前をすべて覚えており、隊士たちを我が子のように可愛がっていました。そんなお館様の側にいたあまね様や、お館様に育てられたひなきとにちかが、同じように隊士たちを大切に思っていても不思議ではありません。

 家族同様の隊士たちが大勢犠牲になっていることから、自分たちだけ隊士たちに守られて生き永らえるという選択はできなかったのでしょう。

 また、ほかにもお館様だけでなく、妻子ともに未来を見通す能力があるため、無惨の来襲が彼を倒せる千載一遇のチャンスだと分かっていたのかもしれません。

 原作16巻にて産屋敷一族には未来を見通す先見の明があり、これまで何度も危機を回避してきたことが説明されています。

 産屋敷一族と説明されているからには、ひなきとにちかにも先見の明があってもおかしくありません。また、『鬼滅の刃公式ファンブック 鬼殺隊見聞録・弐』では、あまね様が断片的な予知夢を見ることがあると紹介されていました。

 このことから、お館様だけでなく産屋敷家の全員が事前に無惨の来襲を知っていて、彼を倒せる好機だと考えていたのでしょう。

 その好機を逃さないためにも、無惨を油断させるためにあまね様やひなき、にちかも一緒に自爆し、無惨を倒す絶好の機会を後に託したのかもしれません。

詳しく読む⇒『鬼滅の刃』なぜ無惨はお館様の自爆を見抜けなかった? 無惨の「とある欠如」が問題か

◆劇場版『「鬼滅の刃」無限城編』では「無惨との戦い」が描かれない? どこまで映像化される?【考察】

 TVアニメ『「鬼滅の刃」柱稽古編』が放送を終え、続く「無限城編」は劇場版三部作での制作が発表されました。「無限城編」は劇場版『「鬼滅の刃」無限列車編』が圧倒的なクオリティーで大ヒットしただけに、ファンから多大な期待が寄せられています。しかし、原作を知るファンからは「無惨との戦いまでは描かれないのではないか?」と、劇場版だけでは完結しないとの見方もあるようです。なぜ、このような声が上がっているのでしょうか?

●劇場版で完結するのは難しい?

 劇場版三部作で無惨戦まで描かれないと危惧されている理由は、尺が足りないからです。

 これまでTVアニメ『鬼滅の刃』では、全26話の「竈門炭治郎 立志編 」で原作1話から53話を、全7話の「無限列車編」で原作54話から66話を、全11話の「遊郭編」で原作67話から97話を、全11話の「刀鍛冶の里編」で原作98話から127話を、全8話の「柱稽古編」で原作128話から139話をアニメ化してきました。

 「無限城編」から最終回にかけては原作140話から205話まで残されており、2クールで原作53話までをアニメ化した「竈門炭治郎 立志編」よりも話数があります。このことから考えると、残り全ての話を劇場版三部作にまとめるのは難しいでしょう。

 また、もし仮に最終回まで三部作にまとめるとしたら、尺の関係上から大幅なカットは免れません。しかし、本シリーズはこれまで原作に忠実に描きつつもアニメオリジナル描写を加え、原作のカットや改変はせずにていねいなアニメ化をしてきました。

 それに加え、「無限城編」から最終回までは全員が命を賭ける過酷な戦いが繰り広げられ、カットできるようなシーンはありません。だからこそ、最終回まで無理やり詰め込むのではなく、尺の都合上と合わせて映像化できるところまでをアニメ化するでしょう。

●劇場版三部作ではどこまで描かれるのか?

 それでは、劇場版三部作の「無限城編」は原作のどこまでを描くのでしょうか。おそらく、劇場版三部作では上弦の鬼との戦いがメインに描かれるでしょう。

 残された上弦の鬼は、上弦の壱・黒死牟に上弦の弐・童磨、上弦の参・猗窩座、上弦の肆になった鳴女、それに新しく上弦に加わった鬼がいます。

 劇場版では5体の鬼との戦いが描かれますが、おそらく第一部では猗窩座戦をメインとした16巻の終盤から18巻の中盤までが、第二部では童磨戦をメインとした18巻の続きから19巻の中盤までが、第三部では黒死牟戦をメインとした19巻の続きから21巻の序盤までが描かれるでしょう。

 このように分けると、仮に上映時間が劇場版『「鬼滅の刃」無限列車編』と同じく2時間だとすると、戦いによっては原作が足りないように思うかもしれません。

 しかし、原作では上弦の鬼との戦いの話の間に「大正コソコソ噂話」や「設定こぼれ話」として、本編に入りきらなかった設定や裏設定が描かれています。

 TVアニメではアニメオリジナル描写として、このような設定を取り入れてくれていたので、劇場版三部作でも描いてくれるでしょう。特に、猗窩座の「設定こぼれ話」には感動するファンも多く、「アニメーションや演出に取り入れてほしい」と望む声が上がっています。

 もし、これらの設定を取り入れてくれるとしたら、尺の長さとしてもちょうど良く、キレイに上弦の鬼との戦いを描ききるでしょう。

詳しく読む⇒劇場版『「鬼滅の刃」無限城編』では「無惨との戦い」が描かれない? どこまで映像化される?【考察】

〈文/アニギャラ☆REW編集部 @anigala01

 

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