<この記事にはTVアニメ、原作漫画『鬼滅の刃』のネタバレが含まれます。ご注意ください。>

『劇場版『鬼滅の刃』無限城編』が3部作で製作されることが発表された『鬼滅の刃』ですが、漫画が最終話を迎えた今でもなお明かされていない謎がいくつか存在します。また、上弦の鬼や鬼舞辻無惨のモデルは病気だと、一部のファンは考察をしています。

◆謎のまま終わった『鬼滅の刃』2つの疑問

『鬼滅の刃』では師匠のいない伊之助が異常に強かったり、善逸の鎹鴉がスズメだったり謎のまま終わった気になるポイントも多いです。その中には、今考えると鬼舞辻無惨を倒すのに、地味に重要だったと思われるものもあります。

 次のものは多くの読者が疑問に思い、今でも気になっているポイントでしょう。

●鬼殺隊士でナンバー1の天才は伊之助?

 嘴平伊之助には師匠がおらず、剣術も呼吸も我流で習得しています。『鬼滅の刃』には柱をはじめ、多くの才能あふれる鬼殺隊士が登場しますが、その中でも自ら呼吸を編み出した伊之助は天才的といえるでしょう。

 口グセは「猪突猛進」であり、性格も粗暴のため天才肌という印象はありません。しかし、野生の中で培った直感と闘争本能、センスはズバ抜けたものがあります。

 伊之助は特に触覚が優れており、集中することで空気のかすかな揺らぎすら感知。直接触れていないものでも察知でき、視線や殺気に対してはさらに敏感です。

 また、生命力・回復力が高く、毒が効きにくい体質となっています。ドラマCD「嘴平伊之助の力比べ」のエピソードで伊之助は、鬼から逃げて来た鬼殺隊士を打ち負かしたり、奪った日輪刀で鬼を倒したりしており、このときにはすでに獣の呼吸を身に着けていました。

 さらに最終選別では、いち早く合格して一足先に下山しています。このことから、もともと持ち合わせているスペックがものすごい高いといえるでしょう。

 また、竈門炭治郎と出会って仲間と協力することを覚え、強い鬼と戦うことで作戦の重要性も理解していきます。生き残るため、強くなるための吸収力はとんでもなく、自分を高めるために猪突猛進して行ける能力こそ伊之助を天才たらしめている要因でしょう。

●善逸の鎹鴉はなぜスズメだったのか?

 ほかの鬼殺隊士の伝令役はカラスだったのに対して、我妻善逸だけスズメのチュン太郎でした。1人だけスズメをあてがわれたのは、善逸の実力と関係している可能性があります。

『鬼滅の刃公式ファンブック 鬼殺隊見聞録』には、強い隊士には飛行の速いカラスがつくとあります。また、野生のカラスの寿命は1015年なのに対して、スズメは12年といわれています。

 善逸は最終選別で生き残ったものの、もっとも弱いと評価されて長生きしないと思われていたのかもしれません。実際に本人も「死ぬ~死ぬ~」とよく叫んでいますし、全集中の呼吸の中でも基本とされる五大流派の1つ、雷の呼吸を教わりながら壱ノ型霹靂一閃しか使えませんでした。

 そのため、善逸が戦闘で早く命を落とすと考えていたら、伝令役に寿命が短いスズメを選んだ理由もうなづけます。ただ、善逸は並外れた鋭い聴覚を持っており、絶対音感も持っています。

 そのため、人の言葉を話せないチュン太郎の鳴き声、イントネーション、音の高低を聞き分けることで話している内容が分かると考えたのかもしれません。実際に善逸はチュン太郎とコミュニケーションは取れていたように見えます。

 ほかには単純にカラスの数が足りなかった、カラスを伝令に使っているのが鬼にも知られてスズメにシフトしようとしていたという可能性も考えられるでしょう。

詳しく読む⇒謎のまま終わった『鬼滅の刃』4つの疑問 「最強の剣士は実はアノ男?」「善逸の鎹鴉がスズメだったワケ」ほか

◆「上弦の鬼」や「鬼舞辻」のモチーフは病気?

 上弦の鬼や鬼舞辻無惨は、長い歴史のなかで人間を苦しめてきた「病気」がモチーフではないかと、その姿や名前からファンの間で考察されています。

 なぜ、このような考察が登場したのか、上弦の鬼と鬼舞辻無惨のモチーフと考えられている病気の共通点を見ていきましょう。

●上弦の鬼や鬼舞辻無惨は病気をモチーフにしている?

 上弦の壱・黒死牟(こくしぼう)は「黒死病」がモチーフではないかと考えられています。

 黒死病はペストの別名で、皮膚が黒くなって亡くなることからこの呼ばれ方をしており、強力な感染力で多くの命を奪い恐れられてきました。黒死病は名前が似ていることや、黒死牟の皮膚にも黒い模様があること、おたがいに強い力を持つことから、モチーフと考えられているようです。

 上弦の弐・童磨(どうま)は攻撃の特性から「結核」がモチーフだとささやかれています。童磨は自らの血を凍らせた冷気で攻撃し、彼の冷気を吸い込むと肺が壊死してしまいます。一方、結核は肺に巣食うことが多く、進行が進むと童磨の攻撃のように肺が壊死してしまうのです。この共通点から童磨のモチーフは結核と考えられています。

『無限列車編』で炎柱の煉獄と戦った上弦の参・猗窩座(あかざ)のモチーフは、過去の呼び名から「麻疹」だとファンの間で考えられています。麻疹の歴史は古く平安時代から始まり、繰り返し流行が発生しています。

 そんな麻疹は江戸時代には「赤もがさ」と呼ばれ、20万人の死者を出したこともありました。猗窩座はこの「赤もがさ」と名前が酷似していることから、麻疹がモチーフだと考察されているようです。

 刀鍛冶の里を襲った上弦の肆・半天狗(はんてんぐ)のモチーフは、「ハンセン病」の説が有力視されています。ハンセン病はらい菌という細菌に感染することで発症し、治療法がない時代には体の一部が変形する症例もありました。

 半天狗にも額にコブがあり体の一部が変形していることから、ハンセン病がモチーフだと考えられています。なお、ハンセン病は容姿が変貌するため、過去には患者が差別されるつらい歴史がありました。しかし、現在では治療薬の開発が進み完治するうえ、もともと感染力が弱く感染して発病するのは稀なケースです。

 壺から姿を現す上弦の伍・玉壺(ぎょっこ)は、壺型の潰瘍を形成する「アメーバ赤痢」がモチーフだと考えられています。アメーバ赤痢は「赤痢アメーバ」という原虫が病原体で、特有の壺型の潰瘍を形成します。この壺という共通点から、玉壺のモチーフはアメーバ赤痢と考えられているようです。また、玉壺が人型でないのはアメーバ赤痢が原虫だからではないかと考察するファンもいます。

 遊郭を根城にしていた上弦の陸・妓夫太郎(ぎゅうたろう)と堕姫(だき)のモチーフは、作中の発言から「梅毒」の可能性が高いです。作中で妓夫太郎は堕姫の生前の名前の「梅」は死んだ母親の病名からつけられたことや、自分たちが遊郭の最下層で生まれたことを語っていました。

 この妓夫太郎の話から、おそらく彼らの母親は性的接触で感染する梅毒で亡くなったのでしょう。妓夫太郎の体のあざも梅毒の症状に見られるあざに似ていることから、彼らのモチーフは梅毒だと考えられます。

 最後にすべての鬼の頂点に立つ鬼舞辻無惨のモチーフは、増殖や転移することから、がん(悪性新生物)ではないかとファンの間でささやかれています。

 遺伝子は傷を受けると変異し、細胞を増殖させ、細胞のかたまりである腫瘍を発生させます。腫瘍は良性と悪性に分けられ、体のあちこちに転移する悪性腫瘍をがんと呼ぶのです。無惨もがんのように鬼を作り出して増殖させたり、肉体を四散させてあちこちに逃げていたりしました。こうした共通点から、無惨のモチーフはがんだと考えられているようです。

詳しく読む⇒「上弦の鬼」や「鬼舞辻」のモチーフは病気? 『鬼滅の刃』は人間と病気の戦いを描いていた?

〈文/アニギャラ☆REW編集部 @anigala01

 

※煉獄杏寿郎の「煉」は「火」+「東」が正式表記となります。
※鬼舞辻の「辻」は「一点しんにょう」が正式表記となります。


※サムネイル画像:Amazonより

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