<この記事にはTVアニメ・原作漫画『鬼滅の刃』ならびに『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』のネタバレが登場します。ご注意ください。>
世界累計興行収入が約1000億円を突破し、現在進行形で快進撃を続けている『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』(以下、『猗窩座再来』)。そんな『猗窩座再来』で活躍するあの上弦の鬼と鬼舞辻無惨の間には、原作で語られなかった裏話があります。
◆無惨襲撃の理由は「鬼」らしい身勝手なモノだった
『鬼滅の刃』で絶対悪として描かれているのが鬼舞辻無惨です。無惨は傍若無人で無慈悲な性格から、敵味方問わずに価値を見出していません。そんな他者を信用しない無惨ですが、珍しく高く評価している鬼がいます。
それが上弦の肆・鳴女です。鳴女は、コミックス第134話でも「お前は私が思った以上に成長した。素晴らしい」と無惨から直々に褒められており、鳴女自身も「光栄だ」と言っていました。このように、原作でもアニメでも無惨への忠誠心は十二鬼月の中でも一際強いように描かれています。
そんな鳴女ですが、実は人間時代に無惨を襲撃した過去があることが『鬼滅の刃公式ファンブック 鬼殺隊見聞録・弐』(出版社:集英社 2021年2月出版)で明かされています。
人間だったころの鳴女は、貧しい暮らしながらも琵琶の演奏者として日銭を稼いでいました。ある時鳴女は、夫に一着しかなかった演奏用の着物を売られたことに逆上し、命を奪ってしまいます。
その足でボロボロの着物のまま琵琶を演奏したところ、客たちからはかつてないほどその音色が称賛されたのです。これに味をしめた鳴女はそれ以降、自らの演奏のためにさまざまな人を手にかけ琵琶を弾くようになります。
そしてある晩、命を奪おうとした相手がたまたま無惨だったのです。当然、返り討ちに遭うわけですが、どういうわけか無惨に気に入られ「鬼」となります。なんとも身勝手な理由で人を手にかけ続けた末路が「鬼」に堕ちることだったのは、ある意味で宿命だったのかもしれません。
──十二鬼月をはじめ、多くの鬼たちは基本的に無惨から出向いて鬼にされています。無惨を襲撃したにも関わらず、逆に気に入られて鬼となったのは、作中でも鳴女くらいでしょう。意外と相性のよいコンビだったのかもしれません。
〈文/fuku_yoshi〉
《fuku_yoshi》
出版社2社で10年勤め上げた元編集者。男性向けライフスタイル誌やムックを中心に、漫画編集者としても経験を積む。その後独立しフリーライターに。現在は、映画やアニメといったサブカルチャーを中心に記事を執筆する。YouTubeなどの動画投稿サイトで漫画やアニメを扱うチャンネルのシナリオ作成にも協力し、20本以上の再生回数100万回超えの動画作りに貢献。漫画考察の記事では、元編集者の視点を交えながら論理的な繋がりで考察するのが強み。最近では、趣味で小説にも挑戦中。X(旧Twitter)⇒@fukuyoshi5
※サムネイル画像:『『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』第一章』 キービジュアル (C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable』
※鬼舞辻の「辻」は「一点しんにょう」が正しい表記となります。





