<この記事には原作漫画『鬼滅の刃』、テレビアニメ「鬼滅の刃」柱稽古編のネタバレが含まれます。ご注意ください。>

 映画館で上映が始まった『ワールドツアー上映「鬼滅の刃」絆の奇跡』では、春のTV放送に先駆けて『「鬼滅の刃」 柱稽古編』の第1話がお披露目され、新たなオープニング映像なども一足先に明らかになりました。

 原作漫画を読んでいる人ならば驚かされるのが、この“柱稽古編”というタイトルでしょう。

 なぜなら、この柱稽古にあたる原作漫画のエピソードはそれほど長いパートではないからです。

 そのうえ、『稽古編』という名の通り、修行に勤しむパートが中心になるせいでこれまでのような鬼との戦いがなく、物語は決戦に挑む長い最終章へ突入します。それを考えると気になるのは「柱稽古編は原作漫画のどこまでを描くのか?」という点。これまでの傾向や今回の先行上映の情報からいくつか予想ができます。

◆柱稽古編は原作漫画のどのあたり?実はかなり短い?

 原作漫画『鬼滅の刃』の柱稽古にあたる内容は意外と短いです。

 原作単行本15巻の中盤から16巻にかけて“稽古”に関連したエピソードが展開され、太陽を克服した禰豆子をねらいに来るであろう無惨たちに立ち向かうべく鬼殺隊の面々が修練したり、今まであまりスポットの当たっていなかった柱のエピソードなどが盛り込まれる見込みです。

 ただ、単行本1巻半程度のボリュームでは1クールの放送には内容が足りなさそうです。

 たとえば、直近の『刀鍛冶の里編』は原作単行本12巻〜15巻の序盤数話がアニメーション化された内容となっています。

 そのため、単行本3冊分と数話で1クールが形成されていると考えられます。それを考えると『柱稽古編』では“柱稽古”以上の内容も放送される可能性が高いです。

 しかも、原作漫画ではこの柱稽古を終えたあとは、さらに複数巻にも及ぶ漫画自体のクライマックスである最終決戦を迎えるため、あまり綺麗に終われるような節目がないのも悩ましいところです。果たして、柱稽古編はどう終わらせるつもりなのでしょうか?

◆柱稽古編はオリジナルエピソードを入れる可能性もゼロじゃない?

 このたび上映された『ワールドツアー上映「鬼滅の刃」絆の奇跡』は、『柱稽古編』の内容の手がかりになりそうです。

 たとえば、先行上映された『柱稽古編』の第1話の序盤には原作漫画にはないオリジナルの戦闘シーンが用意されていました。

 早々にアニメオリジナル要素を登場させることで、『柱稽古編』のスタンスを示す意図があるとも受け取れるでしょう。

 これまでも、劇場版での公開後にTVシリーズとして放送された『「鬼滅の刃」無限列車編』の第1話では、原作漫画では描かれていない煉獄杏寿郎の単独の任務の内容がアニメオリジナルエピソードとして放送されました。

 『柱稽古編』に至っても、TVアニメ独自のエピソードを盛り込むことで、ボリュームとして足りない原作漫画の内容を補完して1クールを成立させることはあり得るかもしれません。

 うまくオリジナルエピソードで調整し、次の最終章を目前にした盛り上がりのタイミングで一度区切れば、来るべき次のシーズンを万全で迎えられるでしょう。

◆もう一つの可能性は「クライマックスに突入させてしまう」?

 もう一つの可能性が『柱稽古編』で、原作漫画の最終決戦にあたる内容の序盤を若干描いてしまう可能性です。

 というのも、原作漫画では柱稽古のその後を描く17巻から最終巻の23巻までは途切れることなく鬼殺隊と鬼の最後の戦いが一気に繰り広げられる最長編です。

 これだけのボリュームが1クールや2クールで収まるかどうかはかなり怪しいところ。それならば今回の“柱稽古編”でそんな最長編の序盤までを描いてしまうというのも手でしょう。

 中でも今回気になったのは、『ワールドツアー上映「鬼滅の刃」絆の奇跡』のタイアップで胡蝶しのぶ役の早見沙織さんの活躍が目立っている点です。

 アメリカ、アジア、ヨーロッパ……と世界中を『鬼滅の刃』のキャスト陣が分担して登壇するイベントがあるのですが、主要キャストである花江夏樹さんや鬼頭明里さんはもちろんのこと、『刀鍛冶の里編』で活躍した花澤香菜さんや河西健吾さんが登壇するのも納得するでしょう。

 しかし今回この登壇キャストに冨岡義勇役の櫻井孝宏さんと、前述の早見沙織さんの名前が並んでいるところが注目のポイントです。

 『柱稽古編』の第1話や、原作準拠であればそれ以降にも目立った活躍の場がある冨岡役のキャストということで櫻井さんの名前があるのはしっくりくる一方、それに比べるとそれほどの目立った活躍が用意されているわけではない胡蝶しのぶ役の早見さんの名前がこのタイミングで並ぶのは若干違和感があります。

 そこから察するに、実は「柱稽古編で胡蝶しのぶに特筆するほどの活躍の場が用意されている」ということを示している可能性があります。

 というのも、柱稽古編以降の胡蝶しのぶの見せ場がまさに最終決戦の序盤に用意されています。

 もしかすると『「鬼滅の刃」 柱稽古編』の放送ではその活躍まではアニメ化するので、その活躍のタイミングを加味して早見さんを登壇させるなら『柱稽古編』が最適と考えた可能性があります。

 しかもこれらワールドツアーを告知した配信特番「鬼滅テレビ-THE WORLD-」にも、櫻井さんではなく早見さんがゲスト出演しているのもより可能性が増していくポイント。

 『刀鍛冶の里編』での目立った活躍がなかった柱の中で次シーズンの活躍を見越しての出演であれば、別の柱にスポットがあたるタイミングとも思うのですが、あえて早見さんを出演させたことに“登壇させるなら今”という今後の展開の目論見があってもおかしくないでしょう。

 果たして、原作漫画の内容だけでは1クールに足りない柱稽古。TVアニメシリーズはどう切り抜けていくのでしょうか。春から放送される『「鬼滅の刃」 柱稽古編』はある意味で原作漫画を読んでいる人も予想ができない状態です。

〈文/ネジムラ89〉

《ネジムラ89》

アニメ映画ライター。FILMAGA、めるも、リアルサウンド映画部、映画ひとっとび、ムービーナーズなど現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。缶バッチ専門販売ネットショップ・カンバーバッチの運営やnoteでは読むと“アニメ映画”知識が結構増えるラブレターを配信中です。Twitter⇒@nejimakikoibumi

※禰豆子の「禰」は「ネ+爾」が正しい表記となります。

※煉獄杏寿郎の「煉」は「火」+「東」が正しい表記となります。


※サムネイル画像:YouTubeチャンネル『アニプレックス チャンネル』より


テレビアニメ「鬼滅の刃」柱稽古編

©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable


ワールドツアー上映「鬼滅の刃」絆の奇跡、そして柱稽古へ
©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

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