<この記事にはTVアニメ、原作漫画『鬼滅の刃』のネタバレが含まれます。ご注意ください。>

 TVアニメ『「鬼滅の刃」柱稽古編』では、柱のひとり・冨岡義勇の過去が語られました。彼の過去は家族や友人を鬼によってうばわれたつらいものでしたが、その絶望から剣を握り柱まで上り詰めた実績は並大抵のことではありません。彼はどのようにして柱まで上り詰めたのでしょうか?

◆義勇の剣士としての資質は高くない?

 柱まで上り詰めた義勇ですが、彼の過去を振り返ると、剣士としての資質は高いとはいえないでしょう。

 義勇は『柱稽古編』でも告白していましたが、鬼殺隊になるための最終選別で鬼を一匹も倒していません。義勇は最終選別のとき、最初に襲ってきた鬼にケガを負わされ朦朧としていたところを錆兎に助けられます。そのまま義勇はほかの少年に預けられ、気づいたときには鬼を一匹も倒さないまま試験が終わってしまいました。

 一方、炭治郎が最終選別を突破したときはどうだったでしょうか。炭治郎は最初に遭遇した二匹の鬼を倒し、その後には人を50人以上も食べた手鬼を倒します。鬼の強さは食べた人間の数ともいわれているので、手鬼を倒した炭治郎の実力や資質は高いといえるでしょう。

 また、錆兎も最終選別での活躍を考えると、剣士としての資質が高かったといえます。錆兎は最終選別で義勇を助けただけでなく、藤襲山にいるほとんどの鬼を一人で倒してしまいました。手鬼には敗れたものの、この活躍を考えるとポテンシャルは相当のものでしょう。

 最終選別での炭治郎や錆兎の活躍を考えると、義勇は彼らより剣士としての資質が低いと考えられます。

 では、剣士としての資質ではなくフィジカルはどうでしょうか。これも低くはないものの高いともいえないでしょう。

 単行本11巻では柱の腕相撲ランキングが掲載されており、義勇は9位中5位の成績です。5位はちょうど真ん中なので悪い成績ではありませんが、いいともいえないでしょう。また、『鬼滅の刃公式ファンブック 鬼殺隊見聞録・弐』では、柱の俊足番付が発表されています。ここでの義勇は9位中6位に入り、やはり中間ぐらいの成績です。これらの成績を考えると、義勇のフィジカルも特別に高いものではないでしょう。

◆柱までは上り詰めた並々ならぬ努力

 剣士としての資質もフィジカルも高くない義勇は、どうやって柱まで上り詰めたのでしょうか。それは、義勇が並々ならぬ努力をしてきたからでしょう。

 『柱稽古編』で義勇の過去が明らかになったとき、炭治郎は「柱になるまで義勇さんがどれだけ自分を叱咤して叩きあげてきたのか どれだけ苦しい思いをしてきたことか」と、考えていました。また、『鬼滅の刃公式ファンブック 鬼殺隊見聞録・弐』によると、煉獄さんは義勇のことを「努力家」と評価しています。この周囲からの評価を考えても、義勇が常人より努力してきたことは間違いないでしょう。

 ほかにも、義勇が比較的早く柱へ昇格したことにも、彼の努力が垣間見られます。

 柱になった正確な順番は発表されていませんが、不死川が柱へ昇格したとき、すでに義勇は柱としてお館様の屋敷に参列していました。ほかには、悲鳴嶼や宇髄、元柱の胡蝶カナエが柱として参列しており、現柱が義勇のほかに二人しかいないことを考えると、義勇は早い段階で柱になったのでしょう。なお、『鬼滅の刃公式ファンブック 鬼殺隊見聞録』によると、義勇は柱になったばかりのころに竈門兄妹と出会ったそうです。

 また、新しい型を編み出したことからも、義勇は努力家なのがうかがえます。

 本来、水の呼吸は拾ノ型までしかありませんが、義勇は独自に拾壱ノ型「凪」を編み出しました。凪は間合いに入ったものをすべて斬り刻む技で、原理としては単純に猛スピードで対象を斬るだけです。原理を聞くと簡単なように聞こえますが、義勇以外に使用しているものがいないことから、習得難易度は高いのでしょう。凪のことを考えても、やはり義勇が血のにじむような努力をしてきたことに間違いはありません。

◆努力家な義勇は柱稽古でどんな稽古をつけるのか?

 炭治郎の言葉をきっかけに柱稽古への参加を決意した義勇ですが、努力家な彼はどのような稽古を行うのでしょう。

 実は義勇の稽古の内容は原作でも明らかになっていません。小説『鬼滅の刃 片羽の蝶』に収録されている「第5話 笑わない君へ」では、義勇と炭治郎が稽古で打ち合いをしていた描写がありますが、詳細は描かれませんでした。

 しかし、水の呼吸の特徴や彼の性格から、二通りの稽古が考えられます。

 ひとつめは、剣術の基礎を身に着ける稽古です。水の呼吸は技が剣術の基礎に沿っているため、剣術の基礎を固めるにはうってつけの呼吸といえます。しかし、呼吸には相性があるので、水の呼吸を習得させるのではなく、水の呼吸を極めた義勇が剣術の基礎を指南すると考えられるでしょう。

 しかし、口下手な義勇がうまく指南できるとも思えません。そのため、ふたつめとして、ひたすら打ち込みをする稽古も考えられるでしょう。義勇は鱗滝左近次を師に持ち、彼の指導も多くを語らず肉体で覚えさせるものです。義勇はそんな修行をしてきたうえに口下手なので、同じように肉体で覚えさせるような稽古を行う可能性があるでしょう。

 義勇の稽古の内容は依然として不明ですが、テレビアニメの『柱稽古編』では、原作の短さから多くのアニオリ描写が加えられ、話題になっています。もしかしたら、原作で描かれなかった義勇の稽古の内容がアニメでは描かれるかもしれません。

《林星来》
フリーライターとして活動中。子供の頃から培ってきたアニメ知識を活かして、話題のアニメを中心に執筆。アニメ以外のジャンルでは、葬儀・遺品整理・金融・恋愛などの記事もさまざまなメディアで執筆しています。

 

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テレビアニメ「鬼滅の刃」柱稽古編

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