<この記事にはTVアニメ、原作漫画『鬼滅の刃』のネタバレが含まれます。ご注意ください。>

 TVアニメ『「鬼滅の刃」柱稽古編』が放送を終え、続く「無限城編」は劇場版三部作での制作が発表されました。「無限城編」は劇場版『「鬼滅の刃」無限列車編』が圧倒的なクオリティーで大ヒットしただけに、ファンから多大な期待が寄せられています。しかし、原作を知るファンからは「無惨との戦いまでは描かれないのではないか?」と、劇場版だけでは完結しないとの見方もあるようです。なぜ、このような声が上がっているのでしょうか?

◆劇場版で完結するのは難しい?

 劇場版三部作で無惨戦まで描かれないと危惧されている理由は、尺が足りないからです。

 これまでTVアニメ『鬼滅の刃』では、全26話の「竈門炭治郎 立志編 」で原作1話から53話を、全7話の「無限列車編」で原作54話から66話を、全11話の「遊郭編」で原作67話から97話を、全11話の「刀鍛冶の里編」で原作98話から127話を、全8話の「柱稽古編」で原作128話から139話をアニメ化してきました。

 「無限城編」から最終回にかけては原作140話から205話まで残されており、2クールで原作53話までをアニメ化した「竈門炭治郎 立志編」よりも話数があります。このことから考えると、残り全ての話を劇場版三部作にまとめるのは難しいでしょう。

 また、もし仮に最終回まで三部作にまとめるとしたら、尺の関係上から大幅なカットは免れません。しかし、本シリーズはこれまで原作に忠実に描きつつもアニメオリジナル描写を加え、原作のカットや改変はせずにていねいなアニメ化をしてきました。

 それに加え、「無限城編」から最終回までは全員が命を賭ける過酷な戦いが繰り広げられ、カットできるようなシーンはありません。だからこそ、最終回まで無理やり詰め込むのではなく、尺の都合上と合わせて映像化できるところまでをアニメ化するでしょう。

◆劇場版三部作ではどこまで描かれるのか?

 それでは、劇場版三部作の「無限城編」は原作のどこまでを描くのでしょうか。おそらく、劇場版三部作では上弦の鬼との戦いがメインに描かれるでしょう。

 残された上弦の鬼は、上弦の壱・黒死牟に上弦の弐・童磨、上弦の参・猗窩座、上弦の肆になった鳴女、それに新しく上弦に加わった鬼がいます。

 劇場版では5体の鬼との戦いが描かれますが、おそらく第一部では猗窩座戦をメインとした16巻の終盤から18巻の中盤までが、第二部では童磨戦をメインとした18巻の続きから19巻の中盤までが、第三部では黒死牟戦をメインとした19巻の続きから21巻の序盤までが描かれるでしょう。

 このように分けると、仮に上映時間が劇場版『「鬼滅の刃」無限列車編』と同じく2時間だとすると、戦いによっては原作が足りないように思うかもしれません。

 しかし、原作では上弦の鬼との戦いの話の間に「大正コソコソ噂話」や「設定こぼれ話」として、本編に入りきらなかった設定や裏設定が描かれています。

 TVアニメではアニメオリジナル描写として、このような設定を取り入れてくれていたので、劇場版三部作でも描いてくれるでしょう。特に、猗窩座の「設定こぼれ話」には感動するファンも多く、「アニメーションや演出に取り入れてほしい」と望む声が上がっています。

 もし、これらの設定を取り入れてくれるとしたら、尺の長さとしてもちょうど良く、キレイに上弦の鬼との戦いを描ききるでしょう。

◆ 無惨戦はどのように映像化されるのか?

 もし、劇場版三部作が上弦の鬼との戦いを描くとしたら、最終戦である無惨戦はどのように映像化されるのでしょうか。

 ファンの間では無惨戦はTVアニメで放送されるという説と、映画で上映されるという説のふたつの説が上がっています。

 もし、TVアニメで放送する場合、無惨戦は21巻の序盤から23巻までが描かれるので、1クールで放送するにはちょうどいい長さでしょう。今まで1クールで放送されてきた「遊郭編」や「刀鍛冶の里編」も約3巻分がアニメ化されてきました。このことからも無惨戦は1クールで放送するにはちょうどいい長さといえます。

 一方で、映画で上映される場合、劇場版『「鬼滅の刃」無限列車編』が7巻の序盤から8巻の中盤までなのを考えると、1作では尺が足りないでしょう。そのため、おそらく前編後編の2部作になると考えられます。

 無惨戦については、ハイクオリティーな映画で無惨戦を見たいという意見や、テレビアニメで視聴してリアルタイムで感動を分かち合いたいという意見など、ファンの間でもさまざまな意見が飛び交っているようです。

 物語のフィナーレである無惨戦がどのような媒体で描かれるのか、劇場版三部作の公開日が決まっていない今、その答えができるのは当分先になるでしょう。

〈文/林星来 @seira_hayashi

《林星来》
フリーライターとして活動中。子供の頃から培ってきたアニメ知識を活かして、話題のアニメを中心に執筆。アニメ以外のジャンルでは、葬儀・遺品整理・金融・恋愛などの記事もさまざまなメディアで執筆しています。

 

※サムネイル画像:劇場版「鬼滅の刃」無限城編 公式サイトより

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