『キン肉マン』の正義超人の中でも、スピンオフ作品の主人公に抜擢されるほど絶大な人気を誇るラーメンマン。弁髪にヒゲという特徴的なビジュアルで知られる彼ですが、実は誕生当初、作者であるゆでたまご先生の中では、すぐに退場するはずの“まさかの役割”を担ったキャラクターとして想定されていたのです。
◆残虐超人として即退場予定 運命を変えた「意外な理由」とは?
『キン肉マン』原作者のゆでたまご・嶋田隆司先生は、2015年6月30日に行われた『キン肉マン』51巻発売記念トークイベント「ゆでたまご・嶋田隆司×ケンドーコバヤシ対談 『キン肉マンが●●って、正気ですか!?』」や、『J-WAVE NEWS』で2025年の9月に配信された「ゆでたまご・嶋田隆司×燃え殻の『キン肉マン』対談! 「次週も読みたくなる」演出とは?」という対談記事の中で、ラーメンマンに関する驚きの事実を明かしています。なんと彼は当初、すぐに物語から消えるはずの「捨てキャラ」として想定されていたのです。
実際、初登場時のラーメンマンは、対戦相手を真っ二つにして命を奪う残虐な悪役として描かれていました。正義の味方とは程遠い、ただの恐ろしい敵役として役目を終えるはずだったのです。
しかし、連載を続けるうちに予想外の事態が起きます。本来嫌われるはずの彼が、子供たちから異常なほどの人気を集め始めたのです。
その理由について嶋田先生は、2006年5月に『livedoor ニュース』で配信された「キン肉マン著者、ゆでたまご嶋田隆司先生ロングインタビュー」という記事の中で「子どもでも描きやすいデザインだったから」と分析しています。
複雑な超人が多い中「ツルツル頭・弁髪・ヒゲ」という顔は非常にシンプル。休み時間に子供たちがノートや黒板に落書きをする際、圧倒的に描きやすかったのです。
「描きやすい=愛着が湧く」。この図式によって支持されたことを受け、ゆでたまご先生は方針を大転換。残虐超人から正義超人へと転身させ、ついにはスピンオフ作品『闘将!!拉麺男』の主役に抜擢されるほどの看板キャラへと成長させました。
一度は再起不能になる展開もありましたが、その間も「モンゴルマン」として登場し続けるなど、扱いは完全に主役級。当初の「使い捨て」予定を自らの人気で覆したラーメンマンは、まさに読者と一緒に育ったキャラクターの象徴といえるでしょう。
──ラーメンマンは、子供たちの「落書き」という支持によって命を吹き込まれ、悪役からヒーローへと成り上がった稀有な超人です。その軌跡こそが、ファンとともに歩んできた『キン肉マン』という作品の深さを物語っているのかもしれません。
〈文/凪富駿〉
《凪富駿》
アニメ・漫画に関するWebメディアを中心に、フリーライターとして活動中。特にジャンプアニメに関する考察記事の執筆を得意とする。作品とファンをつなぐ架け橋となるような記事の作成がモットー。
※サムネイル画像:Amazonより 『「闘将!! 拉麺男」第9巻(出版社:集英社)』



