<この記事にはTVアニメ『キン肉マン』完璧超人始祖編のネタバレが含まれます。ご注意ください。>

『キン肉マン』では万能な技であるフェイスフラッシュやザ・テリーマン(以下、テリーマン)の義足など、ストーリーに絡む重要な設定がいつの間にかなくなっていることがあります。

 ただ、これらの設定の中には『キン肉マン』完璧超人始祖編で復活したり、謎が明らかにされたりしたものも。そのため、アニメ『キン肉マン』完璧超人始祖編を視聴するにあたって知っておきたい設定です。

◆万能技過ぎて出番がない──フェイスフラッシュ

 キン肉マンをたびたびピンチから救って来たフェイスフラッシュは、ドブ川を魚が泳げるほど清く澄んだ川に変えたり、鋼鉄をひん曲げたりできる万能技です。

 フェイスフラッシュは『キン肉マンII世』の主人公であるキン肉万太郎も使えることが分かっていますが、キン肉マンがこの力を見せたのは王位争奪戦の終戦後が最後であり、完璧超人始祖編ではなぜか使われていません。

 キン肉マンは素顔を見られると、自害しなければならない掟を課せられています。しかし、その素顔から放つ光、フェイスフラッシュによって顔バレの危機を回避してきました。

 さらに、王位争奪戦では戦いで死んだ超人をフェイスフラッシュで生き返らせており、その万能ぶりは神技と呼ぶにふさわしいです。

 フェイスフラッシュは禁断の聖地、筋肉の滝(マッスル・フォール)から流れる知恵の水を浴びた者だけが使えるという設定のためキン肉マンの兄であるキン肉アタル、完璧超人始祖編でも登場するキン肉マンスーパー・フェニックスも使えます。

 ただマスクを脱げば発動するというものでもないようで、ウォーズマンとの覆面剥ぎデスマッチではキン肉マンの素顔の一部が見えても発動しませんでした。

 それでもフェイスフラッシュはまさに何でもあり、『キン肉マン』に登場する数々の技の中でも最強の呼び声も高い究極技です。便利過ぎるため気軽に使えてしまってはストーリーの展開上、困ってしまうという事情もあるのでしょう。

 しかし、完璧超人始祖編ではザ・マンをはじめとする超神なるキャラクターが登場しています。そのため、神技ともいえるフェイスフラッシュが、クライマックスで再登場する可能性もあるでしょう。

◆完治ではなく進化していた──テリーマンの義足

 テリーマンはキン肉マンをねらっていたキン骨マンの凶弾によって膝を撃ち抜かれたため、左脚が義足となっています。その後は戦いの中で義足が取れたり、ニードロップを自爆して酷く痛がったりするがシーンがありましたが、いつの間にか義足設定に触れられることがなくなりました。

 そのため、ファンの間で浮上したのが黄金のマスクと銀のマスクが合体したときにテリーマンの足は治療されていたのではないかという考察です。しかし、完璧超人始祖編のジャスティスマン戦で義足設定の謎が明らかになります。

 キン肉マン曰く、テリーマンの義足は本来の足と変わらない機能性を持つものに改良されているとのこと。さらに、この義足の製作者であるバックランド爺はすでに亡くなっているので、壊れてしまったらもう替えは手に入らないそうです。

 このため、TVアニメ『キン肉マン』完璧超人始祖編の第0話でテリーマンの義足について触れられており、『キン肉マン』公式Webサイトにも「第20回超人オリンピック開催中に銃撃を受けて左脚を失って以降、義足を用いて闘う」とあります。

 ジャスティスマン戦で久しぶりに義足の話が出たときには、多くのファンがこの設定ってまだ生きていたんだと驚いたことでしょう。それもそのはず、呪いのローラーで片手を失ったジェロニモに義手設定はなく、体をバラバラにされて死んだウルフマンは生き返ったときに五体満足で復活しています。

 特に死亡した超人が復活したときには基本的に体も元通りになっているので、テリーマンも1度死んで復活すれば左脚の問題にも悩まされずに済むかもしれません。

◆まさかのパニクって忘れていた発言──サンシャインの砂になる設定

 サンシャインは体が砂でできているため打撃技は効かず、関節技も砂になって逃れられるという反則級の特性を持っています。砂になれる設定はその後も生きていますが、夢の超人タッグ編ではテリーマンのテキサス・クローバーホールドやネプチューンマンの喧嘩スペシャルという関節を極める技になぜか苦しめられました。

 これに関しては何の説明もなかったものの、砂の体をコントロールするためのキーパーツを封印した影響だと考えるファンが多かったです。

 サンシャインはジェロニモに弱点であるキーパーツを奪われて負けた過去があり、それを封印するのと引き換えに関節技をかけられても砂になって逃れられなくなってしまったと考えるのは理にかなった考察でした。

 しかし、『キン肉マン』第48巻の「コミックス巻末特別企画 ゆでたまご先生への質問コーナーQ&A ゆで問答」で衝撃の事実が明らかにされます。

 嶋田隆司先生の回答によると、これまでサンシャインに関節技をかけようなんて思った超人はおらず、初めてのことにハートが弱い彼は慌ててしまい、砂になれる特技を忘れてしまったとのことでした。

 つまり、超人でありながら関節技の対処法なんて考えたことがないサンシャインは、パニック状態になってテリーマンにギブアップ寸前まで追い込まれてしまったということです。

 ただ、この説明だとその後ネプチューンマンに喧嘩スペシャルをかけられたときも、パニック状態で砂になって逃げるという考えを思いつけなかったということになります。

 この衝撃の事実には、「悪魔超人なのにどれだけメンタル弱いんだよ」と思わずツッコんだ読者も多いのではないでしょうか。

◆触れてはいけない黒歴史──バッファローマンの光速移動とカツラ設定

 バッファローマンは1000万パワーから1パワーまで自在にコントロールでき、それとは別に0パワーにすることで体を身軽にし光速で動けるという設定もありました。

 しかし、光の速さで移動できるというのはさすがにとんでも設定だったせいか、最初に披露して以来、バッファローマンがこの技を見せることはなかったです。

 0パワーにするリスクがあるため、キン肉マン相手に見せたように逃げようとする相手の先回りをするようなシチュエーションでしか使わないのかもしれません。しかし、リスクを差し置いても、相手の技をかわすときに使えばかなり有利に戦いを進められそうです。

 また、バッファローマンは悪魔将軍を裏切って立ち向かったときに、おもむろにカツラを取るという衝撃の行動を見せました。当時、バッファローマンがカツラだったという事実に驚いた読者も多かったでしょう。

 光速移動と同じように、このカツラ設定もそれ以降は出てきません。しかし、悪魔超人だったバッファローマンが正義超人に入るため、禊として丸坊主にしてカツラを被っていた可能性も考えられます。戦っていてもカツラが取れそうになる様子はないので、今は自分の毛となっているのかもしれません。

 

 ──『ゆでたまご公式サイト』に掲載されいてる「Mobage(モバゲー)大人気御礼、緊急特別対談」で、嶋田先生は自分の作品について「必要に迫られないと、読み返さない」と語っていいます。

 そのため、いつの間にか消えてしまう設定が生まれることも多く、それらについて考察するのも『キン肉マン』の楽しみ方の一つでした。

 それだけになくなっていたと思っていた設定が、完璧超人始祖編で再び脚光を浴びたり謎が明かされたりするのは往年のファンにとってうれしい限りでしょう。

〈文/諫山就〉

《諫山就》

フリーライターとして活動中。漫画・アニメ・医療・金融などの記事、YouTube用シナリオを執筆・編集しています。

 

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