<この記事にはTVアニメ『キン肉マン』完璧超人始祖編のネタバレが含まれます。ご注意ください。>

『キン肉マン』では特に初期の頃、超人同士の戦いで体を2つにされたり、首をもがれたりといった衝撃のシーンが多くあります。

 その中にはアニメで放送するにあたって、マイルドな表現にしたはずなのに、むしろより過激になっていると話題となった伝説的なシーンも。

 次の4つは『キン肉マン』の中でも、当時の少年たちにトラウマを与えかねなかったシーンです。

◆アニメではラーメンにされるブロッケンマン

 第20回超人オリンピックでブロッケンマンがラーメンマンとの対戦で胴体を真っ二つにされたシーンはあまりにも有名で、キャメルクラッチの恐ろしさがキン肉マンや読者の脳裏に刻まれました。アニメではさすがに残酷過ぎるということで、このシーンは改変されています。

 しかし、ラーメンマンはキャメルクラッチで二つ折りにしたブロッケンマンを麺棒で平たく伸ばすと、ラーメンにして食べてしまいました。あくまでギャグ演出だったのでしょうが、原作よりアニメのほうが子供たちにトラウマを与えるこのシーンは今でも伝説として語り継がれています。

 ブロッケンマンも過激さではラーメンマン、カレクックと並ぶ超人です。毒ガス攻撃をはじめ非道なことをしていたので、この結末は自業自得な面もあります。

 しかし、ラーメンにして食べられるというのは、あまりにショッキングな最後でした。アニメのこのシーンのインパクトが強すぎて、ブロッケンマンの最後といえば原作の真っ二つよりも、ラーメンにされて食べられた記憶が強く残っているファンも多いのではないでしょうか。

 なお、1985年にバンダイから発売された『キン肉マン マッスルタッグマッチ』の海外版では、日本版で使えていたブロッケンマンがジェロニモに変わっています。さすがにドイツの超人で毒ガス攻撃などはコンプラとして許されるはずがなく、ジェロニモに差し替えられたのでしょう。

◆悪夢再びのティーパックマン

 ティーパックマンは第21回超人オリンピックで、ウォーズマンのベアクローで胸を貫かれたあげく、首を引きちぎられて頭の紅茶を飲み干されてしまいます。アニメでは首をもぎ取るのは残酷過ぎるということで、首は繋がったままウォーズマンが頭の紅茶を飲むシーンになっていました。

 ただ、頭の紅茶を飲まれながら、ぐったりしているティーパックマンの姿も衝撃が大きかったです。原作ではウォーズマンが大きなティーカップで紅茶を飲んでいるシーンだったのに対して、アニメではまさに死者に鞭打つような残酷な場面になっていたため、ある意味原作より酷い状況になっていました。

 その後、死んだティーパックマンは超人墓場で姿を確認されていますが、キン肉星王位争奪編の決勝戦のときには生き返っています。さらに、完璧超人始祖編ではオメガ・ケンタウリの六鎗客のヘイルマンと戦うことに。

 この戦いではかつてウォーズマンに頭をもぎ取られたことから、首を徹底的に鍛えたというエピソードが出てきます。しかし、その甲斐もなくティーパックマンはウォーズマン戦と同じ運命をたどることになりました。

 そのため、このシーンがアニメ『キン肉マン』完璧超人始祖編でどう映像化されるのか見どころです。ティーパックマンの首がポッキリされてしまうシーンに、当時のファンのトラウマが呼び起こされてしまう可能性もあるでしょう。

◆アニメオリジナル技で倒されたウルフマン

 ウルフマンは7人の悪魔超人との戦いで、スプリングマンのデビル・トムボーイによって体をバラバラにされてしまいます。この残酷なシーンはアニメではカットされており、アニメオリジナルの派生技ジャンピングマッスルクラッシュによって敗北しました。

 アニメでは体がバラバラになることは避けられましたが、全身の筋肉を破壊されて赤黒く変色。そのような姿で横たわるウルフマンのグロさは、当時の少年たちにはインパクトが大きかったでしょう。

 ウルフマンも完璧超人始祖編で、オメガ・ケンタウリの六鎗客のルナイトと戦います。そして、ルナイトに肉を食いちぎられるなどグロいシーンも健在です。

 また、デビル・トムボーイと似た締め技のウォルフガングスパイラルをくらうシーンもあり、ゆでたまご先生が積極的に当時の読者のトラウマを呼び起こそうとしているのかと思ってしまいます。

 アニメ『キン肉マン』完璧超人始祖編では、スプリングマンが登場したときにかつての戦いの回想シーンがありました。このときウルフマンの体がバラバラにされていたことから、アニメ『キン肉マン』完璧超人始祖編は原作準拠で描かれる可能性が高いです。

◆動物虐待のミキサー大帝

 ミキサー大帝は名前の通りミキサーの超人ですが、体の中に入れた物をミンチ状態にするのではなく、その実態はパワー分離器です。それを実演するために犬を実験体として、生き物の身体を傷つけることなく骨だけを抜き取るという、動物虐待としか言いようがない残酷な行為を見せつけました。

 アニメではさすがに犬を使わずに、鉄筋コンクリートを鉄筋とコンクリートに分けるという形で実演しています。この技によってキン肉マンから火事場のクソ力を分離して、ミキサー大帝は勝利しました。

 そんなことをする前に、犬を使った実演のようにキン肉マンの体と骨を分離できなかったのか疑問はあります。ただ、ミキサー大帝は火事場のクソ力を分離するのに邪悪五神の助けを借りているため、キン肉マンの体と骨を分離するまでの力はなかったのでしょう。

 また、キン肉マンは中堅のミキサー大帝の前にザ・ホークマン、ミスター・VTRと戦っており、ボロボロの状態でした。しかも、ミスター・VTRの邪魔がなければ、先にキン肉ドライバーで負けていたのはミキサー大帝です。

 多くの手助けを受けていたとはいえ、ミキサー大帝はキン肉マンに勝利した数少ない超人として有名です。このインパクトのせいで忘れられがちですが、原作で犬にした仕打ちもかなりインパクトの強い行動だったといえるでしょう。

 

 ──キン肉星王位争奪編までの『キン肉マン』では、無残に敗れたインパクトばかりが強い超人も多かったです。しかし、アニメ『キン肉マン』完璧超人始祖編では、そういった超人にも再びスポットが当てられています。

 そして、その戦いにはかつてのトラウマシーンがしっかり生かされているところも、ファンにとってはうれしいポイントでしょう。

〈文/諫山就〉

 

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