<この記事にはTVアニメ『キン肉マン』完璧超人始祖編のネタバレが含まれます。ご注意ください。>
『キン肉マン』シリーズにはマッスル・スパークや地獄の断頭台といったカッコいい技がある一方で、トイレやオナラに関連したお下品な技も存在します。
次の4つは、いかに精神的にタフな超人であっても絶対に受けたくない技でしょう。
◆行先は本人も知らない恐怖のベンキ流し
ベンキマンはその名の通り便器の超人であり、彼の得意技はアリダンゴという技で相手を団子状態に丸めてから腹部の便器に流す「恐怖のベンキ流し」です。トイレに流されるという負け方は、超人にとって屈辱以外のなにものでもないでしょう。
しかも、流された超人がどこへ行くのかについては、ベンキマン本人も知りません。第21回超人オリンピックの敗者復活戦では、巨体超人のタイルマンを器用に丸めて便器に流しました。
その後に対戦したキン肉マンも同じように便器に流すことに成功しますが、パンツをトイレに詰まらせて逆流させるという禁断技を食らって負けています。
また、ベンキマンの頭の上にはトイレに流す大のほうを模したオブジェが乗っており、脳天チョップなど頭への攻撃もためらってしまうでしょう。
完璧超人始祖編ではオメガ・ケンタウリ六鎗客のギヤマスターと対戦。ベンキマンはその姿とは裏腹に、冷静さと分析力によって善戦します。そして、ギヤマスターをアリダンゴで丸めると恐怖のベンキ流しを炸裂。
これによって勝利したかと思いきや、ギヤマスターはその特徴である歯車の力によって逆流して戻って来ます。ベンキに流された屈辱はかなりのものだったようで、「お前は絶対に流してはいけないものを流してしまったのだ」と怒り心頭。
そして、ギヤマスターの怒りのジェノサイドギヤによって、ベンキマンは無残な姿にされて負けてしまいます。やはり、恐怖のベンキ流しは絶対に食らいたくない技なだけに相手の怒りをかなり買うようです。
そのため、便器だけにきれいにフィニッシュして勝利しなければ、その後怒り狂った相手によって倍返しを食らうリスクがある危険な技ともいえるでしょう。
◆進化したトイレ超人の得意技ウォッシュ・アス・シャワー
『キン肉マンII世』に登場する洋式トイレの超人であるウォッシュ・アスの得意技ウォッシュ・アス・シャワーは、シャワートイレの水圧で相手を攻撃します。きれいな水だとしても絶対に食らいたくはないです。
しかも、ウォッシュ・アス・シャワーの水圧は、重量400㎏の岩を吹っ飛ばすほどの威力を持っています。そのため、精神的なダメージに加えて肉体的に受けるダメージも大きいです。
なお、『キン肉マンII世』のアニメではウォッシュ・アス・シャワーではなく、ウォッシュ・アス・ペーパーという技に変更されていました。『キン肉マンII世』のアニメはアメリカでも放送されており、シャワートイレがそれほど普及していないためウォッシュ・アス・シャワーではピンと来ない可能性があるという理由だったようです。
また、ウォッシュ・アスはベンキマンの弟子だけあって、「魔境のトイレ流し」という得意技も持っています。これは恐怖のベンキ流しと同じように、相手をトイレに流す技です。
しかし、ベンキマンと違って相手を丸めるわけではなく、芳香剤の香りで惑わせるテンプテーション・スメルによって無理やり便座に座らせます。ベンキマンと比べると、現代のトイレ空間の進化を感じさせる技になっているといえるでしょう。また、このときトイレに流された相手が、糞尿の魔境へ送られることが明らかになりました。
ベンキマンのときには行先は不明でしたが、もしかしたら彼に流された超人も同じ場所に送られていたのかもしれません。トイレに流されるだけでも屈辱なのに、行き着く先が糞尿の魔境だと知れば、なおさら絶対に受けたくない技です。
◆まさかの復活で話題を呼んだ超人の得意技ガス・エクスプロージョン
ガス・エクスプロージョンは、『キン肉マンII世』に登場したプリプリマンの得意技です。お尻の形をした顔からガス、つまりオナラを噴射して相手に浴びせる屈辱的な技となっています。
臭いがどうなっているのかは食らった本人でないと分かりませんが、見た目からするとやはり臭そうなイメージです。
プリプリマンはこのほかにもオケツ・ドライバーという得意技を持っています。相手の両足を顔面であるお尻の間に挟んで頭をリングに叩きつけるため、こちらもできれば食らいたくない技でしょう。
プリプリマンで思い出すのは、『キン肉マン』で7人の悪魔超人の中にいた謎の超人です。バッファローマンたちと一緒にいて、さも自分が悪魔超人のようにふるまっていました。
しかし、1コマだけの登場でその後は出番がなく消えてしまったこと、頭がお尻という衝撃の姿からインパクトがすさまじく、読者の記憶に強く残っています。そのため、『キン肉マンII世』にプリプリマンが登場したときには、「あのときの超人だ」と大きな注目を集めました。
原作を担当する嶋田先生によると、プリプリマンは「来週違うキャラを考えればいいや」と軽い気持ちで登場させた超人だったため、翌週ステカセキングに差し替えられた模様です。
なお、2019年に発売された学研の図鑑『キン肉マン「超人」』では、彼は7人の悪魔超人に憧れていて興奮のあまり勝手にリングへ上がってしまったことが明かされています。
◆主人公が使う技とは思えないパンツドライバー
パンツドライバーは『キン肉マン』の後日談として、1996年に『格闘エース』に掲載された読切漫画『マッスル・リターンズ』で披露された技です。
使った超人はなんと主人公のキン肉マンで、相手の頭を自分のパンツの中に入れてリングに叩きつけるとんでもない技となっています。
しかも、この技はキン肉マンの息子であるキン肉万太郎も使っています。『キン肉マン』シリーズでも圧倒的に食らいたくない技ですが、どうしてキン肉バスターやキン肉ドライバーと同じように息子に受け継がれているのかは謎です。そういう意味では、もしかするとキン肉王家にとっては重要な技の一つなのかもしれません。
なお、このパンツドライバーはDDTプロレスリング所属の男色ディーノ選手が「男色ドライバー」という名前で実際に使っています。
ただ、男色ドライバーは三重に履いたタイツとタイツの間に相手の頭に入れるもので、さすがに配慮がされている模様。しかし、相手の顔をタイツと素肌の間に入れる改良型の生男色ドライバーという恐ろしい技も存在するようです。
──パロ・スペシャルやタワーブリッジといった実際にできそうな技は、子供の頃に兄弟や友達との間でマネしてみたというファンも多いでしょう。しかし、ガス・エクスプロージョンやパンツドライバーをマネしてしまうと、兄弟や友達との絆をぶち壊してしまうことになりそうです。
〈文/諫山就〉
《諫山就》
フリーライターとして活動中。漫画・アニメ・医療・金融などの記事、YouTube用シナリオを執筆・編集しています。
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