<この記事にはTVアニメ『キン肉マン』完璧超人始祖編のネタバレが含まれます。ご注意ください。>
作品の中で登場した技を実際にマネしてみるというのは、『キン肉マン』あるあるの一つです。ツープラトン技ともなると実際に仕掛けるのは難しいですが、兄弟や友達と実現しようと四苦八苦した思い出がある人も多いのではないでしょうか。
次の4つは子供の頃マネした人も多い、『キン肉マン』ファンにとって懐かしさあふれるツープラトン技です。
◆ヘル・ミッショネルズのマスク狩り──クロス・ボンバー
夢の超人タッグ編で登場したヘル・ミッショネルズが得意とするクロス・ボンバーは、2人が同時にラリア―トを放って相手をサンドイッチにする技です。
再現のしやすさは『キン肉マン』に登場したツープラトン技の中でもトップクラスのため、子供の頃に兄弟や友達と実際にマネしてみた人は多いでしょう。
ただ、超人だけあってヘル・ミッショネルズのクロス・ボンバーは、人間が放つそれとは大きく異なるポイントがあります。それは走る勢いではなく、完璧超人の力の源であるマグネット・パワーの引き合う力を利用している点です。
互いの体を磁力で引き寄せることで強烈な一撃を放っているため、マスクを剥いだり、フルパワーなら首を飛ばしたりできるほどの威力を持っています。
ヘル・ミッショネルズはこの技によってウォーズマンやロビンマスク、アシュラマン、モンゴルマン、キン肉マングレート(テリーマン)といった名だたる超人のマスクを狩ることに成功。
作中ではマグネットパワーこそなかったものの、キン肉マンゼブラ相手にキン肉マンとロビンマスクのコンビも日英クロス・ボンバーという名称で使っています。
また、リアルのプロレスでも披露されることが多い技でしたが、危険度が高いということで使用禁止になっているところも。
マネしやすい技ですが、実際にやってみると見た目以上に威力が大きいです。また、ラリア―トが喉元に入ると危険なので、良い子はマネしないようにしましょう。
◆完璧超人始祖編であのコンビが再現──ロングホーン・トレイン
ロングホーン・トレインはモンゴルマンとバッファローマンの2000万パワーズが使ったツープラトン技です。
背中同士を合わせる形でパートナーを抱え上げて相手に突進する技のため、下になる人は大変ですが比較的再現しやすいといえるでしょう。
ロングホーン・トレインの技の形は、部活や体育の時間に2人1組でやるストレッチで絶対1度はやったことがあるはずです。
実際に当時の子供たちも体育の時間にマネしており、ストレッチをしながらロングホーン・トレインと叫んだ記憶がある人も多いのではないでしょうか。
そのため、実際にやってみたことがあるという意味でロングホーン・トレインは、クロス・ボンバーを超えるツープラトン技といえるかもしれません。
完璧超人始祖編ではバッファローマンとコンビを組んだスプリングマンが、彼を背負ってこの技を放っています。
ロングホーンという名前の通りバッファローマンの角を活かした技なので、いずれも彼が抱え上げられる側です。そのため、バッファローマンより体が小さいモンゴルマンやスプリングマンが彼を背負って突進するというのは、一見威力が落ちるように見えてしまいます。
しかし、ロングホーン・トレインはバッファローマンの角の破壊力と、下になる超人の俊足を組み合わせた技です。
そのため、バッファローマンが1人で放つハリケーン・ミキサーよりも、相手の動きに合わせて軌道修正しやすいところもこの技の利点の一つなのでしょう。
◆ロメロ・スペシャルのツープラトン版──昇技トライアングル・ドリーマー
サタンクロスの昇技トライアングル・ドリーマー(以下、トライアングル・ドリーマー)は、2人がかりでロメロ・スペシャルをかける技です。
かつてのバラエティ番組では出演者がロメロ・スペシャルをかけている場面がよくあり、子供のころにトライアングル・ドリーマーをマネしてみたという人も多いでしょう。
この技はロメロ・スペシャルと違って、2人がそれぞれ相手の左右の手足を固めます。2人で1人の体重を支えるため負担が少なく、バランスを取りやすいのも特徴です。
そのため、むしろロメロ・スペシャルより再現しやすく、3人兄弟の末っ子はこの技の犠牲になった苦い思い出がある人も多いかもしれません。
また、さすがに空中ではないものの、実際にプロレスラーが試合で使ったこともある技です。
この技の恐ろしいところは両手両足を完全に固められるため、1度かけられると逃げることは難しくなっています。さらに、左右から力が加わるため、ザ・ニンジャは腹を中央から引き裂かれて絶命してしまいました。
◆ヒール好きには堪らない地獄のコンビネーション──PARTⅢスカイハイ・クラッシュ
地獄のコンビネーションは、アシュラマンとサンシャインのはぐれ悪魔超人コンビが得意とするツープラトン技となっています。夢の超人タッグ編だけで4種類が披露されており、ヒール役の見せるコンビネーション技に憧れた子供も多かったです。
その中でも特に読者の印象に残っているのは、地獄のコンビネーションPARTIとPARTIVでしょう。
PARTIはアシュラマンとサンシャインがそれぞれ相手をロメロ・スペシャルで固め、その状態のまま敵同士を衝突させる荒業。PARTIVはサンシャインの呪いのローラーの回転力で、アシュラマンを猛スピードで敵目がけて飛ばす技です。
しかし、いずれもリアルで再現するのは難しい技となっています。また、PARTIIの2人同時に相手の頭部にドロップキックを放つスカル・キャスタネッツは、再現するのは簡単ですが、仕掛けるほうもくらうほうも危険度が高すぎです。
そのため、どうしても地獄のコンビネーションを再現したいファンが試してみたのが、PARTIIIの スカイハイ・クラッシュ。アシュラマンが相手を持ち上げ、サンシャインがアシュラマンごと抱え上げて相手を天井に突き刺す技となっています。
もちろん実際に天井に突き刺したりはしませんし、2人分の体重を持ち上げるのは大変です。そのため、兄が小さい弟を抱えてさらに父親が2人を持ち上げるという形で再現し、家族の思い出として残っているファンもいるハズ。
悪魔超人の技でありながら、親子のコミュニケ―ションに役立った地獄のコンビネーション。サンシャインが悪魔の友情パワーを見せたように、親子愛を深めるコミュニケ―ションツールだったのかもしれません。
──『キン肉マン』が連載していた当時は、親子や兄弟でプロレスごっこをするのは当たり前でした。その子供たちが大人になり、今度は自分の子供と『キン肉マン』完璧超人始祖編のマンガやアニメを一緒に楽しむ時代になっています。
『キン肉マン』は時代を超えて、親子のコミュニケーションツールになっている作品といえるでしょう。
〈文/諫山就〉
《諫山就》
フリーライターとして活動中。漫画・アニメ・医療・金融などの記事、YouTube用シナリオを執筆・編集しています。
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