すっかり定番となったディズニーのアニメーション映画を実写化した企画の新作が日本上陸を果たします。それが、6月6日から上映される実写映画『リロ&スティッチ』です。

 スティッチといえば、ミッキーマウスやくまのプーさんと並んで、日本でも人気キャラクターとして商品展開を果たしてきました。今回も大ヒットが期待できそうですが、早くも海外では今後の方針を決めかねない大成功を果たしていたようです。

◆海外では『リロ&スティッチ』が既に特大ヒット! 2025年のNo.1ハリウッド映画も間近!?

 実写映画『リロ&スティッチ』の公開は、アメリカをはじめ多くの国では5月末より始まっています。そんな本作の興行が早くも記録的なヒットを果たしています。

 日本での公開を前に世界興行収入は6億ドル以上……、日本円にして約870億円を突破しており、オープニング記録としては『美女と野獣』や『アラジン』といった大ヒットを果たした実写化企画よりも高い水準となっています。

 アメリカではちょうど戦没将兵追悼記念日(メモリアル・デー)という休日に重なるタイミングでの興行だったのですが、メモリアル・デーの興行記録としても史上最高の数字です。

 2025年のハリウッド映画で現在1番のヒット作となっているのが、日本でもちょうど公開中の『マインクラフト/ザ・ムービー』 。現時点で9.5億ドル、日本円にして約1300億円の成績を記録しているのですが、『リロ&スティッチ』の勢いはそれを抜かんとするスピードで成績を伸ばしており、日本の成績も今後加わっていくことになり、逆転の可能性が極めて高いです。

◆ディズニーの実写化企画としては久しぶりの大成功? スティッチが方針を変えるかも?

 実写映画『リロ&スティッチ』のヒットはディズニーの今後の方針にも影響を与えていきそうです。というのも、近年ディズニーアニメーションの実写化企画はいまいち目立った成功作が出てきていない状態でした。

 直近でも『リトル・マーメイド』(2023)や『ライオン・キング:ムファサ』(2024)(※厳密には“超実写”と表現されている精巧な3DCGアニメーション作品)、そして直近の『白雪姫』(2025)などハイペースで実写化企画が進められてきました。

 しかし、興行的な成績の面では今回の『リロ&スティッチ』に比べると低調。中でも『白雪姫』に関しては製作費を下回る興行成績であると報道されているほどで、それにより将来的に実写化企画が進行しているとされた『塔の上のラプンツェル』が製作中止となったとも報じられていたのがわずか数ヵ月前でした。

 実写化の企画自体を見直す必要があるという雰囲気がただよっていた最中に登場した今回の『リロ&スティッチ』の大ヒットは“ヒットする実写化企画とは何か”を見直していく具体的な成功モデルとしていく例となりそうです。

 実写化にあたり、元となるアニメーション映画からキャラクターの属性やストーリーにアレンジを施し、賛否の声が上がるのが今や恒例となっている現在。実写映画『リロ&スティッチ』についてもオリジナルからの変更点はいくつかありつつも、ここまで『白雪姫』といった作品と異なる結果が生まれたのは、キャラクター性なのか、はたまた作品のクオリティーなのか。これから公開を迎える日本としても、注視していくポイントなのかもしれません。

◆まだまだ続く実写化企画! スティッチもこれだけで終わらないかも?

 中止が報道される作品もある中、『リロ&スティッチ』に続いて実写化が発表されている企画が『モアナと伝説の海』です。

 『モアナと伝説の海』といえば2016年にアニメーション映画版が公開され、2024年には続編も公開された比較的最近発表されたばかりのシリーズですが、早くも実写映画化が進められています。アメリカでの公開予定は来年2026年7月で、日本でも近い時期での公開が期待できそうです。

 はたして『リロ&スティッチ』の成功が追い風となるかも注目ですが、そもそも『モアナと伝説の海』の実写版は今回の『リロ&スティッチ』のヒット以前に製作がスタートしている作品なので、むしろディズニーの今後の方針はこの後に発表されていく企画から分かっていくことになります。

 たとえば、『リロ&スティッチ』のアニメシリーズは既に複数の長編続編が製作されていたり、TVシリーズも製作されているので実写版の続編企画の製作を発表する可能性は多分にあります。

 スティッチファンとしては嬉しい方向性かもしれないですが“ヒット作の続編を作ればそれも当たる”という発想も安直です。ディズニーに限った話ではないですが、しっかり何が良くてヒットしたのかを分析して、多くの人が喜ぶ“新作映画”が生まれていくことを期待したいところです。

〈文/ネジムラ89〉

《ネジムラ89》

アニメ映画ライター。『FILMAGA』、『めるも』、『リアルサウンド映画部』、『映画ひとっとび』、『ムービーナーズ』など現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。映画『ミューン 月の守護者の伝説』や映画『ユニコーン・ウォーズ』のパンフレットにライナーノーツを寄稿するなどその活動は多岐にわたる。noteでは『アニメ映画ラブレターマガジン』を配信中。X(旧Twitter)⇒@nejimakikoibumi

※サムネイル画像:YouTubeチャンネル『ディズニー・スタジオ公式』より 『「リロ&スティッチ」吹替版特報60秒|6月6日(金)劇場公開!から引用』


実写映画『リロ&スティッチ』公式サイト

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