ルパンが実は大学に通っていたというだけでも驚きですが、実は銭形とは先輩後輩関係だったということは驚き要素をさらに加速させます。しかもこのエピソードにはモンキー・パンチ先生の「うっかり」も隠されています。はたしてどんなエピソードだったのでしょうか?
◆ルパンは新入生、銭形は4年生! キャンパスで始まった因縁
その衝撃的なエピソードが描かれたのは、1976年の『漫画アクション』(出版社:双葉社)に掲載された原作漫画の第64話「義賊部々員」です。この物語の中で、若き日のルパンはなんと、日本の大学に通う「新入生」として登場します。
大学では電子医学部という学部に在籍しており、大学校内で「義賊部」という怪しげなサークルを立ち上げ、部員募集のビラを貼って回っていました。そんな彼の前に、正義感に燃える一人の男が立ちはだかります。それが、法学部の4年生に在籍していた銭形警部でした。
銭形はルパンに対し「自分は江戸時代の目明かし・銭形平次の子孫」と名乗りを上げます。つまり二人は、刑事と泥棒になる以前に、同じキャンパスに通う「大学の先輩と後輩」という関係だったのです。既に学生時代から、法の番人を目指す銭形と、泥棒を志すルパンの因縁が始まっていたとは驚きです。
このエピソードには、作者であるモンキー・パンチ先生のちょっとした「うっかり」も隠されています。銭形はこのとき、自分の名を「銭形平太郎」と名乗っているのですが、実は以前のエピソードで既に「銭形幸一」というフルネームが明かされていました。
先生自身が以前設定した名前を忘れてしまい、その場で新たに名付けてしまったという、なんとも『ルパン』の世界観らしい自由なハプニングが含まれているのです。もちろん、現在の公式設定では「幸一」が正解です。
さらに驚くべきことに、この大学には峰不二子も在籍しており、なんとルパンと同じ学部に所属していたという設定も描かれています。ルパン、銭形、不二子の三人が同じ学び舎にいたという事実は、彼らの関係性がたんなる「仕事上の付き合い」以上の、どこか運命的な腐れ縁であることを感じさせます。
ちなみに、当時のルパンは、ほかの学生の裏口入学を暴いたり、無許可で教室をディスコにしたりするなどの行動を見せており、型破りな性格は昔からのようです。
──ルパンと銭形、追う者と追われる者という立場でありながら、どこかお互いを認め合っているような不思議な信頼関係。それは同じキャンパスで青春を過ごした「先輩と後輩」という、切っても切れない意外なルーツを持っていたからなのかもしれません。
〈文/凪富駿〉
《凪富駿》
アニメ・漫画に関するWebメディアを中心に、フリーライターとして活動中。特にジャンプアニメに関する考察記事の執筆を得意とする。作品とファンをつなぐ架け橋となるような記事の作成がモットー。
※サムネイル画像:Amazonより 『「ルパン三世H : 7 星を盗む男編」(出版社:双葉社)』



