来年の2月の劇場公開が発表された『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ〈ワルプルギスの廻天〉』。本作は2013年に公開された『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[新編] 叛逆の物語』の正当な続編であることが明かされています。そんな前作を振り返ると、本作のキーパーソンが垣間見えてくるのです。

◆『叛逆の物語』で残された3つの謎

 数多くの謎が散りばめられながら、終盤にかけて予想を裏切るどんでん返しとともに伏線を回収する『魔法少女まどか☆マギカ』シリーズ。しかし『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[新編] 叛逆の物語』(以下、『叛逆の物語』)では劇的な展開が用意されながらも、いくつかの謎は残されたままで終わっています。

●奪われた「円環の理」はどうなったのか? 

 TVアニメ本編で「円環の理」として概念化した鹿目まどか……。しかし『叛逆の物語』では、暁美ほむらによって「円環の理」の一部を強引に奪われてしまい、世界の秩序が書き換えられます。

 このとき、ほむらが奪ったのは「ほんの断片。人としてのまどかの記録だけ」だと語っています。その結果、引き裂かれて残った「円環の理」がどうなったのかは明かされていません。

 ここで注目したいのは「円環の理」の眷属たちです。『叛逆の物語』の描写を見る限り、「円環の理」に導かれた魔法少女たちは意識を保ったまま概念化したまどかをサポートしています。

 美樹さやか曰く「円環に導かれ、この世の因果を外れた者たち」と語っており、自らをまどかのカバン持ちと表現していました。劇中では、さやかのほかに百江なぎさも同じ存在だったことが分かっています。

 しかし、一部をほむらに奪われたことで眷属だったなぎさは完全に記憶を消失……。さやかも徐々に記憶と魔女としての能力を失いつつあることが匂わされていました。

 つまり「円環の理」自体が失われつつあると推測できます。ただしラストの校舎内のシーンで、まどかが覚醒の兆候を見せていたため「円環の理」自体はまだ完全に消失していないとも考えられるのです。

●キュゥべえがボロボロになっていた理由 

 自称「悪魔」の力を手に入れたほむらは、終盤でキュゥべえを酷使しています。そんなキュゥべえの様子は肉体面だけでなく明らかに精神も衰弱していました。

 しかし、地球外生命体であるキュゥべえたちは感情を「精神疾患」として認識しているうえ、記憶、精神などを全個体で共有する「集合精神」を持っています。

 キュゥべえの「集合精神」は、たとえ個体としての命が終わっても一切影響を与えることはありません。つまり、そのキュゥべえが精神的にボロボロになっていることはかなりの異常事態なのです。

 キュゥべえはほむらが世界を改変した際、感情エネルギーの利用は危険すぎると手を引こうとしていました。そこを無理矢理ほむらによって働かされているので、何らかの感情が芽生え、それが「集合精神」に影響を与えたのかもしれません。

 そうなると、「悪魔」となったほむらの未知の能力が関係している可能性も出てきます。もしくは、今までのようにすべての黒幕としてそれすらもミスリードになっているのか……キュゥべえの描写自体が謎として残されたままとなっています。

●ラストシーンの暁美ほむらのセリフ 

 ほむらはラストの校舎内のシーンで、まどかに対し「この世界が尊いと思う? 欲望よりも秩序を大切にしてる?」と質問しています。それに対し、まどかは戸惑いながら「尊いと思うよ。自分勝手にルールを破るのって、悪い事じゃないかな」と返していました。

 これは一見するとTVアニメの第1話での二人の出会いをセルフオマージュしたシーンと捉えられます。実際、ほむらも初心を思い返すように、まどかとその後の敵対関係を示唆しつつ、それでもまどかが幸せになれる世界を望むことを決心していました。

 しかし、この「秩序を大切にする」まどかの発言……、かなり大きな矛盾が含まれています。なぜなら、この会話の理屈では一番最初にある意味で「秩序」を壊したのは、まどかの「円環の理」になってしまうからです。そう考えると、ほむらがまどかに質問した真意は、まったく別の意味を持っている可能性が出てきます。

 これら3つの謎は『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ〈ワルプルギスの廻天〉』(以下『ワルプルギスの廻天』)のストーリーに大きく関わってくるのかもしれません。

◆『ワルプルギスの廻天』では主人公が変わるかも?

 『魔法少女まどか☆マギカ』のタイトルロゴは、シリーズごとに変化しています。書体はもちろん、実はロゴの色も変わっています。ここで注目したいのはロゴの色です。TVアニメ版の『まどか☆マギカ』のロゴの色はピンク……。これは明らかにまどかのイメージカラーです。

 そして『叛逆の物語』のロゴはパープルとなっており、こちらはほむらを連想します。色とリンクするようにTV本編の主人公はまどかであり、『叛逆の物語』の主人公はほむらでした。

 ちなみに劇場公開終了後は、『叛逆の物語』のロゴの色もピンクに統一されています。しかし、劇場公開時のロゴの色がパープルだったことは、YouTubeなどで現在も確認できます。

 それを踏まえたうえで『ワルプルギスの廻天』のロゴの色を見るとイエローっぽく見えます。イエローといえば、真っ先に連想するのが巴マミでしょう。

 『ワルプルギスの廻天』の予告PVでもほむらが「ワルプルギスの夜」と言ったあとに意味深にマミのカットに移り、そのまま予告が終わっています。

 もしくは、くすんだゴールドとも見られるので、新しい魔法少女が登場してスポットが当たるかもしれません。

 どちらにせよ、まどかでもほむらでもないイメージカラーなので、主人公もしくはキーパーソンが変わる可能性は十分に考えられるでしょう。

 そして、注目したいのはサブタイトル『ワルプルギスの廻天』。当然、「ワルプルギスの夜」が大きな鍵を握っていることは明白です。「ワルプルギスの夜」についても大きな謎が残されています。それは、いったい誰が魔女化した姿なのか、という点です。

 予告PVの中で「ワルプルギスの夜」が複数の魔女の集合体だと語られています。しかし、魔女ならば大元となる魔法少女が存在するハズ。つまり、新キャラクターだとするなら「ワルプルギスの夜」と非常に縁のある魔法少女かもしれないのです。

 

 ──「廻天」とは天下の形勢を一変させること。本編ではまどかが「円環の理」で世界を改変し、続編ではほむらが2回目の世界改変を行なっています。一変させるのが「世界」だとすると「ワルプルギスの夜」の魔法少女が3回目の改変を行う役回りとなるのかもしれません。

〈文/fuku_yoshi〉

 

※サムネイル画像:『「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ〈ワルプルギスの廻天〉」キービジュアル第2弾 ©Magica Quartet/Aniplex,WR』


劇場版 魔法少女まどか☆マギカ〈ワルプルギスの廻天〉

©Magica Quartet/Aniplex,WR

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