『血界戦線』の熱狂再び？　コロコロ発、異例の本気作『運命の巻戻士』のTVアニメ化の衝撃

　『月刊コロコロコミック』の人気漫画『運命の巻戻士』のTVアニメ化が、かなり本気の度合いが感じられる形で発表されました。

　原作漫画は木村風太先生により2022年2月号から『月刊コロコロコミック』で連載がスタートした完全オリジナル漫画。タイアップ作品の印象が強い同雑誌の中でもオリジナル作品でありながら、歴代初の人気アンケート12ヵ月連続1位を獲得したという異例の人気作品ということで、かなりそのアニメ化にも力が入っているようです。

◆コロコロコミックも全力でプッシュ！　異例のプロモーション

　連載を担っている『月刊コロコロコミック』としても、今回の『運命の巻戻士』のTVアニメ化はかなり力を入れてプッシュしていると分かります。

　今回のTVアニメ化を告知する号となる7月15日ごろより発売の『月刊コロコロコミック』8月号の表紙を『運命の巻戻士』の主人公・クロノがジャック。大きくその姿が描かれたクロノとアニメ化の告知が表紙全面に配置された、大胆なデザインとなっています。

　ほかの雑誌で連載中の人気作のアニメ化となれば、こういったプロモーションの仕方は少なくないのですが、『月刊コロコロコミック』に至ってはかなり特殊な例。これまでの表紙のデザインは要注目作のキャラクターが大きく配置され、その周りに連載作品やタイアップ商品、付録の情報などが盛り込まれた独特の表紙で知られていました。

　しかし、『運命の巻戻士』のような一作品のビジュアルを全面に押し出したパターンはまさに異例中の異例。同雑誌の中でもこれまでにない特別視をされているのが分かります。

　その看板タイトルぶりは実は昨年公開されたコロコロコミック555号の記念プロモーションビデオにも表れています。歴代のコロコロコミックの歴史を遡って体験していくという形で、『運命の巻戻士』がメインに据えられた視点で描かれています。今思えばこの映像自体が今回のアニメ化の布石だったということも分かります。

製作陣もかなり豪華！　『血界戦線』の松本監督の再来が熱い

　アニメ化にあたっての製作陣についてもかなり注目度が高いです。

　アニメーションの制作を務めるのは『僕のヒーローアカデミア』シリーズでも知られるボンズフィルム。プロデュースを映画『すずめの戸締まり』や、まもなく劇場公開される映画『8番出口』などの発信に携わったSTORY inc.が務めます。

　そして最注目が本作の監督。TVアニメの監督としてはかなり久しぶりに名前が上がる松本理恵さんが担当すると発表されました。

　松本理恵さんの監督するボンズ作品といえば『血界戦線』の第1期があり、そこから数えると10年越しのタッグといえます。実はこの第1期以降は続編シリーズ含めてしばらくシリーズ作品や長編作で監督として名前が上がることはありませんでした。

　久しぶりに大々的な作品のクレジットに名前が出てきたのが2020年に発表された「ポケモン×BUMP OF CHICKEN」 のスペシャルMV「GOTHA！」。この映像で絵コンテや演出に加えて監督という形でクレジットされたことでも話題になりました。

　そして前述のコロコロコミック555号の記念プロモーションビデオでもアニメーション監修という形で製作に名を連ねており、満を持してTVアニメシリーズの監督として製作に携わることになります。

　松本理恵さんといえば、実写映画化も果たした辻村深月先生の小説『ハケンアニメ！』で執筆にあたって取材を受けた監督の一人です。中でもその背景から第二章の主人公を務める新人監督の斎藤瞳というキャラクターは「松本さんをモデルとしているのでは？」とたびたび語られるほどで、まさに若くして活躍するクリエイターの一人でした。

　そのような人物があまりにもパタリと監督作どころか製作の場でのクレジットが出なくなってしまったことを惜しむ声は多かったのですが、今回ついに『月刊コロコロコミック』の現看板作品を代表する立場で担うということでそれ自体にも喜びがあります。

　──TVアニメ化の時期については現段階ではまだ発表がされてはいないものの、これだけ大々的なプロモーションが始まったことを踏まえると、それほど遠くない将来に放送開始時期が発表されることは期待して良いハズ。放送時間帯がいつになるのか。どういった放送形態になるのか。キャストは誰なのか。多方面での注力タイトルということでも続報に注目です。

〈文/ネジムラ89〉