製作中と発表し続けていた『ユーリ!!! on ICE 劇場版:ICE ADOLESCENCE』が、今月、ユーリ!!! on ICE 製作委員会と株式会社MAPPAの連名で製作の中止が発表されました。

 当初は2019年に公開を発表していたものの、のちに無期限の延期を発表していたのですが、このたび“諸般の事情により”製作を断念せざるを得ないという判断に至ったようです。

 “諸般の事情”の具体的な内容は分からないものの、製作期間の間には新型コロナウイルス感染症の流行があったり、作中で密接な関係にある舞台のロシアがウクライナ侵攻に至ったり、フィギュアスケートの大会不参加状態に至ったりと関係性が変化して扱い辛くなったりと、いくつかの事情が想像できます。

 一方、製作を務めるMAPPAが「プロジェクトを多く抱えすぎているのではないか?」という懸念もあります。

 というのもMAPPAが制作しているアニメーション企画は『ユーリ on ICE』以外にもたくさんあります。今、MAPPAが発表している製作作品にはどんなものがあるのでしょうか?

◆一番の注目作は『ジャンプ』作品? 大作がまだまだ控えている

 目下、今後の製作物で期待されている度合いが一番大きいのは今やMAPPAの看板タイトルと言ってもいいアニメ『呪術廻戦』シリーズでしょう。

 直近でも「ギネス世界記録2025」に“世界でもっとも需要の高いテレビアニメ番組”として掲載されることが発表されたばかりです。

 去年の12月に渋谷事変の放送が終了したばかりですが、早くも続編である「 死滅回游」の製作が発表されています。これだけの人気タイトルであればそう遠くない未来に、具体的な展開時期などの情報が発表されるでしょう。

 同じく『週刊少年ジャンプ』出身の作品で忘れてはいけないのが『チェンソーマン』です。

 こちらも劇場版『チェンソーマン レゼ篇』の制作決定が去年に発表されたばかりです。

 具体的な公開時期などは発表されてはいないものの、『呪術廻戦』同様に話題となったタイトルであり、堂々の“劇場版”での登場ということで力の入った企画だと想像できます。早いタイミングでの公開を期待したいところです。

◆他にも制作が発表されたままの作品も多い?

 ビッグタイトルが控えているMAPPAですが、実は制作中を発表してる作品は他にもまだまだあります。

 たとえば『ジャンプ+』で原作漫画の連載が行われていた『地獄楽』は2023年に第1期が1クールにかけて放送され、第2期の制作が発表されています。

 既に原作は完結済みということで完結に向けたスケジュールも組みやすいように思えるだけに、こちらも早い段階でお披露目となってくれたら嬉しい作品です。

 一方で発表されてから時間が経過している作品が『ゾンビランドサガ』シリーズです。

 こちらは原作がないオリジナル作品です。映画化が発表されたのは2021年の10月だったのですが、続報がないまま2年半が経過してしまいました。そろそろ何かしらの続報がないと制作状況が心配になってきます。

◆しっかり続編が出てきているタイトルもある!

 こうして続編制作の発表から音沙汰がないタイトルがいくつもあるのを見ると、『ユーリ!!! on ICE』と同じように制作中止とならないかと不安は増してきます。

 しかし“時間をかけて続編が発表”された例もあります。それがTVアニメ『ドロヘドロ』です。

 2020年1月に1クールにかけて放送されてから4年近い月日が経過して、続編は制作されないのかもしれないと諦めていた人もいたかもしれないですが、ここにきて配信シリーズとして続編制作が発表されました。

 残念ながら具体的な発表時期は発表されていませんが、“配信”作品であることなどの具体的な公開方法が決まっていることを考えると、プロジェクトがある程度進んでいると予想できます。一切動きがないようなタイトルでも、その裏ではしっかり動いていたという例といえるでしょう。

 MAPPAはこれらの企画に加えて新たなオリジナルTVアニメ『全修。』が制作中であることも先月発表したばかりです。

 これだけのアニメーションタイトルを抱えながらもまだ新たな作品を世に送り出せるのか、とそのポテンシャルに驚かされます。

 表に出てくる情報は限られているからこそ不安にもなりますが、私たちが思っている以上に“裏ではいろいろ動いてくれてる”のでしょう。

 『ユーリ!!! on ICE 』という制作中止の前例こそ生まれてしまいましたが、多々起こる事例ではないでしょう。他の企画は日々ブラッシュアップに頑張ってくれていると、寛大に待っていきましょう。

〈文/ネジムラ89〉

《ネジムラ89》

アニメ映画ライター。FILMAGA、めるも、リアルサウンド映画部、映画ひとっとび、ムービーナーズなど現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。缶バッチ専門販売ネットショップ・カンバーバッチの運営やnoteでは読むと“アニメ映画”知識が結構増えるラブレターを配信中です。Twitter⇒@nejimakikoibumi

※サムネイル画像:YouTubeチャンネル『TOHO animation チャンネル』より

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