毎年7月〜8月はビッグタイトルや話題作が映画館に集まる時期ですが、今年も国内外の多くの映画が公開されました。

 今年の1番のヒット映画は『キングダム 大将軍の帰還』。興行収入70億円を超える大ヒットとなりました。一方でアニメーション映画にも多くの作品が登場しています。

『ミニオン』やディズニーピクサー、『クレヨンしんちゃん』に『僕のヒーローアカデミア』。多くの話題作の中でNo.1のヒット作はどの映画だったのでしょうか?

◆今年は海外作品が強かった? ミニオンvs.インサイド・ヘッドが激突!

 今年、圧倒的な動員数を記録したのは海外の作品たちでした。1番のヒットは『トイ・ストーリー』などでも知られるピクサーチームによって製作された『インサイド・ヘッド2』。公開から1ヵ月で興行収入は40億円にまで到達し、まだまだ数字を伸ばしている真っ最中です。

『インサイド・ヘッド2』が凄まじいのは、この興行の成功ぶりが日本だけではない点にあります。この勢いは世界的なもので世界興行収入は現在16億ドル(約2276億6078万)を超え、『アナと雪の女王2』や超実写版の『ライオンキング』の記録を抜きさり、世界興行収入No.1アニメーション映画となっています。

 一方で、そんな『インサイド・ヘッド2』に負けじと、同じく日本興行収入40億円に到達した映画が『怪盗グルーのミニオン超変身』です。

 怪盗グルーシリーズの4作目にあたる本作は、夏休みシーズンの初旬にあたる7月19日から公開をスタートし、この夏の映画館をフルタイムで盛り上げてくれました。スピード感こそ『インサイド・ヘッド2』ほどではないにしろ、ミニオンの人気が健在だと感じさせる結果を残しました。

◆『クレヨンしんちゃん』は夏休み映画になって正解だった?

 では日本のアニメーション映画は結果を残していないのか、といえばそんなこともありません。注目しておきたいのが8月9日より公開をスタートした『映画クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記』です。

 シリーズ歴代No.1ヒットを謳える勢いで、昨年公開された『しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 -とべとべ手巻き寿司-』の興行収入24.7億円の記録を塗り替えようとしているところです。

『しんちゃん』の映画シリーズといえば長らくゴールデンウィークシーズンの公開が定番でしたが、近年は方針を転換して夏休み映画として展開するようになりました。2年連続で好調な動員数を記録していることを考えるとこのねらいがうまくハマったように思えます。

 そもそも以前展開していたゴールデンウィークシーズンは、『ドラえもん』や『名探偵コナン』といった定番の映画シリーズが近いタイミングで公開される激戦区となっていました。

 以前は夏休みシーズンの定番だった『ポケモン』映画も公開されなくなり、新たな夏の定番としてしんちゃんが居場所を見つけたようにも見えます。「夏はしんちゃん!」なんてフレーズが聞き慣れるのも遠くないかもしれません。

◆もっと売れても良かった? それ以外のアニメ映画たち

 もっと多くのお客さんが足を運ぶかと思いきや、そこまででもなかったと感じられたのが“ヒロアカ”こと『僕のヒーローアカデミア』の劇場版最新作『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ユアネクスト』です。

 興行収入は27億円を超える記録を残しているので決して低い成績ではないものの、前作にあたる『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジング』が新型コロナウイルス感染症の流行まっただ中の興行で、同程度の記録を残していたことを考えると今年の数字に物足りなさを感じるところです。

 ましてや今年は映画の公開直前に原作漫画が最終回を迎えるという話題性もあっただけに、ここからでもジワジワ成績を伸ばせないと最終成績としては前作割れの可能性もありそうです。

 ここから数字が伸ばせるかでいえば、夏休みシーズン終盤に滑り込みで8月30日に公開された『きみの色』にも頑張ってほしいところです。

 満を持して公開日を迎えた本作ですが、よりによって公開初週末に台風が接近したことにより、公開記念舞台挨拶が中止となってしまいました。日を改めての舞台挨拶の実施も発表されたのですが、初週末の興行結果は翌週以降の公開スケジュールに大きく影響を与えるので、天候の影響は仕方ないとはいえ少しかわいそうに思える事態となっていたわけです。

 夏休みシーズンこそひと段落を迎えたわけですが、映画の興行自体は続いていきます。観損ねていた映画があればまだ間に合うので、ぜひ映画館に足を運んでみてはどうでしょうか。夏休みは終わっても、熱い夏はまだまだ終わっていません。

〈文/ネジムラ89〉

《ネジムラ89》

アニメ映画ライター。FILMAGA、めるも、リアルサウンド映画部、映画ひとっとび、ムービーナーズなど現在複数のメディア媒体でアニメーション映画を中心とした話題を発信中。缶バッチ専門販売ネットショップ・カンバーバッチの運営やnoteでは読むと“アニメ映画”知識が結構増えるラブレターを配信中です。Twitter⇒@nejimakikoibumi

※サムネイル画像:YouTubeチャンネル『TOHO animation チャンネル』より

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