『NARUTO -ナルト-』には、緻密な伏線が多く存在し、それは1巻の段階で散りばめられているなど見事な回収を作中でしています。また本作には、壮絶な最期を遂げた英雄的なキャラも多く存在します。

◆1巻から張られていた緻密な伏線

『NARUTO -ナルト-』は物語が進むにつれて、里にまつわる悲しい過去や千手一族とうちは一族の確執など、次々と知られざる過去が明かされていきました。それらの謎を解くヒントは、実は漫画第1巻から随所に「伏線」として散りばめられていました。

●ただのネタ技ではなかった「おいろけの術」

 コミック1巻からナルトが使う、最初に覚えた忍術が「おいろけの術」でした。イタズラ心と周囲の気を引くためにナルトが影で特訓のすえ編み出し、三代目火影・猿飛ヒルゼンの孫、木ノ葉丸にも受け継がれたこの術。「ネタ技」と思われがちですが、のちに物語の重要な場面で登場しています。

 暁のペイン六道が木の葉の里を急襲。地獄道に追い込まれた木ノ葉丸は、ナルトから密かに伝授されていた螺旋丸により見事に地獄道を撃破。直前の回想シーンも相まって、過去に自ら伝授を志願して習得した「おいろけの術」が大きな伏線となり、現場にいたエビスや読者をおおいに驚かせました。

 また第四次忍界大戦の最終局面にて、大筒木カグヤとナルト、サスケの対戦中、カグヤのスキを作るためにサスケの援護を受けて、ナルトの「おいろけ・逆ハーレムの術」が炸裂。見事カグヤの意表を突き一撃お見舞いすることに成功しました。

 ナルトの代名詞となった螺旋丸以上に、実は特訓を重ねていたのが「おいろけの術」だったこともナルト本人によって明かされており、今なおX(旧Twitter)をはじめとするSNSでは盛り上がりを見せています。

●コスチュームに隠されていた母親の出自

 早い段階からナルトの父親が四代目火影なのでは? と予想した読者は多かったと思いますが、母親については長く明かされませんでした。漫画53巻第497話でナルトの精神世界に登場した母・うずまきクシナにより、ナルトに自身の出自などが語られましたが、実は第1話からその人物像を示唆するヒントが作中には描かれていたのです。

 それが「ナルトと木の葉の里の忍のコスチューム」です。木の葉の里の忍は一部の人物を除き、中忍以上から「黒装束にベスト」という制服になっていますが、黒装束の二の腕部分とベストの背面中央には、のちに「渦潮隠れの里と木の葉の里の友好の証」と明かされた「うずまきの紋章」がデザインされています。

 下忍以下の服装は基本的に自由ですが、なぜかナルトのコスチュームにだけ、同じく両肩と背中に大きな「うずまきの紋章」がデザインされており、クシナの故郷である渦潮隠れの里とナルトの関係性を示す伏線となっていました。

 さらに、ナルトのコスチュームがオレンジ色であることも、実は伏線だったことが判明します。クシナは自身の赤い髪と、過去に自分をバカにした男子を半殺しにしたエピソードから「赤い血潮のハバネロ」と言われていたことを明かしており、「木の葉の黄色い閃光」という通り名を持っていた父・ミナトとの間の子ゆえ、赤と黄色の中間色のオレンジとなっていました。

 クシナから両親の馴れ初めを聞いたナルトは、嬉しそうに「木の葉のオレンジ火影だってばよ!」と語っていることからも、原作者によってナルトのコスチュームの色が両親の特徴を示唆していたものと推察できます。

 そして、忘れてならないのがナルトの姓です。本来は父・ミナトの姓「波風」を名乗るのが自然ですが、母の姓を名乗り「うずまきナルト」となっています。これは三代目火影の意向もあり「ナルトとミナトの親子関係を隠すため」というのが通説となっていますが、作中では明言はされていません。

 しかし、少なくとも四代目火影の設定(名前)が確定した時点で、うずまき姓はナルトの母親の出自についての伏線とされたのは間違いないでしょう。

詳しく読む⇒『NARUTO -ナルト-』1巻から張られていた緻密な伏線 「おいろけの術」は実は伏線だった?

◆壮絶な「死の瞬間」を見せたキャラ

NARUTO -ナルト-』では死の描写が数多く登場しますが、ヒルゼンの死をはじめ、敵だけではなく味方側のキャラクターの死も作中、壮絶に描かれています。

  さまざまなキャラクターが死ぬたびに、物語の重さが増したといえますが、次の2人はまさに英雄というような死の瞬間を見せています。

●死に際に大蛇丸の両腕を封印!──猿飛ヒルゼン

 猿飛ヒルゼンの死によって、忍の歴史にはびこる憎しみ、恨み、因縁、野望といった暗い思想があらわになり、物語により一層の深みが生まれていったといえます。

 ヒルゼンが命を落としたのは、彼の愛弟子である大蛇丸が企てた「木ノ葉崩し」の最中です。

 木ノ葉の壊滅を目論む大蛇丸との一騎打ちに挑むこととなり、ヒルゼンはあと一歩というところまで追いつめたものの、それまでの蓄積ダメージと老いによる心身の弱体化、そして目をかけていた大切な弟子を殺めることへの葛藤などが重なった結果、自らは命を落とし大蛇丸の逃走を許す結果となってしまいました。

 しかし、一方的にやられたわけではありません。ヒルゼンは自分の命と引き換えに大蛇丸の両腕を封印し、二度と印を結んで忍術を発動させられない体にしてみせたのです。

 忍術の解明や禁術の開発に執心していた大蛇丸にとって、それはとても屈辱的な仕打ちだったのだと考えられます。

 ヒルゼンは、ナルトの味方側のキャラクターとしては初めて、はっきりとした死の描写があった人物でした。また、木ノ葉崩しの騒動の後に葬儀が執り行われている描写もあり、このシーンは敵も味方も含めて「人の死」が明確に描かれる作品なのだと、読者に強く印象付けたといえます。

●木ノ葉の里へ情報を伝えることに成功したけど──自来也

 自来也は、暁について独自の調査を進めていたとき、暁のリーダー・ペインの攻撃を受け、命を落としました。

 暁の本部が雨隠れの里にあるという情報を掴んだ自来也は、綱手の静止を振り切り単独での潜入作戦を決行しました。

 そこで対峙した暁のリーダー・ペインが輪廻眼を持っていたことから、彼がかつて忍としての手ほどきを行った青年・長門であると察します。

 口寄せの術や仙術を駆使して戦い、ペインに手傷を負わせたうえで木ノ葉の里へ情報を伝えることに成功しますが、自身はペインの追撃によって命を奪われ、深い海の底へと沈んでいきました。

 喉や臓器を潰されたため、最期の瞬間には声を出すこともできなくなっていましたが、里の者たちやナルトへすべてを託して満足気な表情を浮かべるシーンは、多くのファンの心に焼き付いたのではないでしょうか。

 ナルトにとって、自来也はかけがえのない存在であり、彼の死を知ったナルトは深く落ち込み、しばらく立ち直ることができませんでした。

 中忍試験本選前の修業期間と、木ノ葉崩し後の共に旅をした2年間の中で得たものが、それだけ大きかったのでしょう。

 また、自来也が遺した暗号が「ナルトであれば読み解ける」と想定したものだったことから、自来也もナルトを心から信頼していたのだと分かります。

 血の繋がりなどなくても、決して揺らぐことのない強固な絆が、2人の間には確かにあったようです。

詳しく読む⇒大蛇丸を追い詰めた“あの”キャラは?『ナルト』壮絶な「死の瞬間」を見せたキャラ3選

〈文/アニギャラ☆REW編集部 @anigala01

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