壮大なストーリーを繰り広げた『NARUTO -ナルト-』では、神がかった伏線回収がいくつもありましたが、中には謎のままになった問題や回収されなかった伏線もあります。

◆なぜあのタイミングで? カカシの万華鏡写輪眼開眼の謎

 万華鏡写輪眼の開眼条件は「最も親しい友を殺すこと」あるいは「最も親しい者の死を経験すること」とされていますが、はたけカカシはナルトが自来也との約2年の修行を終えて帰還した後の我愛羅奪還作戦において、暁のデイダラとの交戦時に突如として万華鏡写輪眼を発動しています。

 ナルト修行中の約2年のカカシについては描かれていませんが、そもそも発動条件の「最も親しい者の死を経験すること」が正しいならば、過去に幾度となく経験しているはずであり、あのタイミングでの発動理由は謎のままです。

 X(旧Twitter)などのSNSでは、その後に描かれたうちはマダラの策略によって、かつてカカシがチームメイトだったのはらリンを誤って手にかけてしまったことが開眼に繋がり、デイダラ戦で初披露となった理由は、既に開眼はしていたものの膨大なチャクラを消費するため、チャクラ量の少ないカカシはいざというときに温存しておいたためではないか? と言われています。

 初の使用時は立て続けに2回術を発動しましたが、反動でその後入院するほどの疲労を負ったことを考慮すると、リンの一件によって開眼し、温存していた説は妥当といえるのかもしれません。

◆ナルトの姓にまつわる謎と幼少期への疑問

 ナルトは四代目火影・波風ミナトの息子ですが、「うずまきナルト」と母親の姓を名乗っていました。

 これについても理由は作中で語られませんでしたが、ナルトが四代目の息子であることを隠すための三代目の配慮であったというのが定説となっています。

 しかし、ナルトの母・うずまきクシナは木の葉と縁の深い渦潮の国の末裔であり、初代火影・千手柱間の妻も同国のうずまきミトだったことを考えると、うずまき姓でも四代目との血縁関係は里内外に悟られそうなもの。

 事実、三代目のかん口令も虚しくナルトは里の住人からは「化け狐の子」として忌み嫌われて育つことになりました。

 また、ナルトは幼少期に孤独を紛らわすためにイタズラ三昧の毎日を送っていた一方で、砂隠れの我愛羅や、雲隠れのキラービーが、里長である五影により直下で監視され、一般人との交流は最小限に抑えられるなど厳重な保護下で育っていることを踏まえれば、「保護、監視が甘すぎるのでは?」という謎が残ります。

 これらの謎に対し「“うずまきナルト”は語呂が良いから」「初期にそこまで構想が練られてなかったのでは?」など、初期設定の都合ではないかとする声が多いようですが、ナルトの出自についての大いなる伏線回収に向けての、あえての設定だったのかもしれません。

◆結局何だった? 自来也の「あの術は使うなよ……」が指す術とは?

 自来也との約2年にわたる修行を終え、我愛羅奪還の任務に就いたナルトでしたが出発前に自来也から「あの術は使うなよ……」と、意味深な警告をされていますが、このセリフが何の術をさしていたのかについて、実は伏線回収されていません。

 その後に確認された新たな技といえば、イタチとの交戦で放った「大玉螺旋丸」くらいですが、そこまでリスクが高い術ではないため、これをさしていたとは考えづらいです。

 SNSなどでは、このセリフは「九尾の力の暴走」をさしていたのでは? といわれることが多く、デイダラ戦で感情が高ぶったナルトは九尾のチャクラを纏い始め、2本目の尾が生える寸前でカカシが持っていた自来也の札によって沈静化されています。

 事実、TVアニメでは同セリフが「あの“力”は使うなよ……」に改められており、作者が九尾の力を「術」の一つと考えていたという説が正しいのかもしれません。

◆三代目火影、再就任はなぜ?

 二代目・千手扉間に火影に任命されて以来、20年以上もの長い任期をまっとうしたのち、孫弟子にあたる波風ミナトに四代目を譲った猿飛ヒルゼンですが、うちはマダラの策略によって四代目が死亡し、再度火影に就任しています。

 しかし、長い間忍の世界は戦争状態にあり、五影と言えど戦いの中で命を落とすケースは珍しくはないものですし、木の葉ほどの大国の里長に新たな人材を据えないとなると、他国からの侵略を誘発するリスクもあります。再就任のとき既に三代目は還暦を超えており、木の葉崩しで死去するまでの10年を超える2度目の任期は、暫定的な措置にしても少々長すぎるのも謎です。

 この謎については、当時の火影後継者として最有力視されていた自来也、綱手が火影になるのを拒否したからでは? と考える読者が多いようです。

 続編『BORUTO -ボルト-』でナルトの相談役を務める奈良シカマルの父・シカクや、名家・日向一族の当主である日向ヒアシ、木ノ葉警務部隊隊長でありサスケの父・うちはフガクなど、他にも候補者はいたものの、三代目の弟子であり四代目の師匠でもある自来也、五代目に就任した綱手を据えたいという火の国の意向もあり、それまでの間は三代目が再就任という形をとっていたのかもしれません。

◆第四次忍界大戦で柱間がサスケに託した術は何だったのか?

 第四次忍界大戦において輪廻転生の術で完全復活したうちはマダラによって仙術チャクラを吸い取られ、身動きが取れなくなった千手柱間は、自身の仙術チャクラに呼応して相手を縛る術をサスケに託しましたが、「この術が何だったのか?」伏線は回収されませんでした。

 この謎については、その後六道仙人・大筒木ハゴロモによってナルト、サスケともに力を授けられたため必要なくなったのでは? とする見方が多いようです。

 たしかにその後、マダラが仙術チャクラ主体で攻撃している様子もないことから、使いどころがなかったというのが事実かもしれません。

〈文/lite4s〉

 

※サムネイル画像:Amazonより

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