約15年にわたって連載された『NARUTO-ナルト-』は、里の成り立ちや忍びの起源、千手とうちはの過去など、多くの真相が描かれました。
しかし、キャラクターの過去や知られざれるその後など、原作では描き切れなかった驚きのエピソードも多く存在しています。
◆サスケの父・フガクは万華鏡写輪眼を開眼していた!
原作では回想シーンに登場するのみで、人となりや戦闘シーンが描かれなかったサスケ、イタチの父であり、木ノ葉警務部隊隊長でもあったうちはフガク。
うちは一族が里に対して画策していたクーデターの首謀者でもあった彼は、ダンゾウの指示によって、二重スパイとなった息子・イタチによって命を落としました。
原作で描かれたのはそこまででしたが、アニメ版『イタチ真伝』によって、実は万華鏡写輪眼の開眼者であり、かつては「兇眼のフガク」という通り名で他里にも恐れられるほどの存在だったことが明かされました。
フガクの具体的な能力について多くは描かれていませんが、強力な火遁と手裏剣術のほか、九尾にも通用する強力な瞳術を持っていたとされており、イタチが一族抹殺を遂行した夜も、もし彼が本気で応戦していたら熾烈な戦いになっていたことが予想されます。
その実力が認められ、うちはの長となったフガクは、一族を虐げ続けた木ノ葉に対し、クーデターを画策して里に息子であるイタチを送り込んでいたことも明らかになりました。
しかし、里の行く末を案じたイタチはいつしか二重スパイとなり、うちは一族は滅亡の道を辿ることになります。
フガクは万華鏡写輪眼を開眼しており、イタチに匹敵するほどの実力を持っていながら、「考え方は違ってもお前を誇りに思う……」「お前は本当に優しい子だ……」と、写輪眼を使わないばかりか、彼の気持ちを尊重し、最期は無抵抗のままその手にかけられました。
常にクールで無表情のイタチが涙したこのシーンは、誰よりも愛情深いといわれるうちは一族を象徴したようなシーンだったといえるかもしれません。
◆いまだに謎が多い「木ノ葉丸の両親」について
里の名前を授かった猿飛木ノ葉丸が、三代目火影・猿飛ヒルゼンの孫であることはコミックス第1巻から描かれていますが、その両親について原作では名前や顔はおろか、生きているのか死んでいるのかさえ語られることはありませんでした。
木ノ葉丸といえば、シカマルたち第十班の担当上忍であった猿飛アスマの甥であることは明かされていたものの、アスマと木ノ葉丸の両親の血縁関係についてそれ以上詳しいことは描かれていません。
しかし、原作終了後の2015年『週刊少年ジャンプ』36号の特別短編で、木ノ葉丸の両親は三代目火影(ヒルゼン)の両腕として暗部にいたことが判明したのです。ただ、暗部ということで両親ともに面を被っており、素顔、名前、年齢などの素性は未だ謎のままです。
分かっていることは、アスマの葬儀で木ノ葉丸が「アスマ叔父ちゃん……」と嘆いていたことから、アスマは両親のどちらかの「弟」であることだけです(叔父=両親の下の兄弟、伯父=両親の上の兄弟を指す)。
『NARUTO-ナルト-』の正統後継作品にあたる『BORUTO-ボルト-』では、木ノ葉丸は次世代の第七班・担当上忍として、うずまきボルト、うちはサラダ、ミツキを指導するたくましい忍に成長していることから、彼の人気の上昇とともに出番が増え、今後、彼の両親について語られる可能性も大いにあるといえます。
◆暁・飛段の過去と、その後の生死
ジャシン崇拝に傾倒し、不死の身体を手に入れていた暁の飛段。カカシのサポートのもと、シカマルたち第十班の3人の練りに練られた連携策によって、五体をバラバラにされ生き埋めとなりました。
その後の生死については不明のままでしたが、第四次忍界大戦において行われた穢土転生では復活していないことからも、彼の捨てゼリフの通り、いまだ死んでいないものと思われます。
しかし、飛段が埋められるシーンが描かれた2年後にあたる2009年に出版された『NARUTO―ナルト―[秘伝・皆の書]オフィシャルプレミアムファンBOOK』(2009年12月出版、出版社:集英社)に掲載されている「岸本先生質問箱!!」に寄せられた「飛段はまだ生きていますか?」という読者の質問に対し、「飛段は生きてます。でも栄養取らないと死んじゃうし、そろそろ腐ってるねコレ。」と回答しています。
五体バラバラになったことでは死なないが、普通の人間と同じように栄養摂取は必須だという飛弾の身体の秘密が明らかとなり、このままではじきに命が尽きることが判明しました。
◆サイ・いの夫婦の馴れ初め
『NARUTO-ナルト-』といえば、最終話(700話)から続編『BORUTO-ボルト-』で多くのカップル(夫婦)が誕生したことが描かれ、主人公のナルトはずっと想いを寄せていたサクラではなく、ヒナタと夫婦になっていたことは、今でもSNSで賛否両論が巻き起こるほどです。
中でも人となりが謎に包まれていたサイが、サクラのライバルであり親友の山中いのと夫婦になっていたことは意外だったという読者も多かったでしょうが、小説『NARUTO―ナルト― シカマル秘伝 闇の黙に浮かぶ雲』(2015年3月出版、出版社:集英社)でその馴れ初めについて描かれています。
小説によると、第四次忍界大戦の終戦後、サイは黙の国での潜入任務で洗脳されますが、増援でやってきた山中いのがサイの精神に侵入し、洗脳から救ったことで急接近し、結婚に至ったことが分かっています。
己の過去も未来も持たず、「根」の忍としてただ目の前の任務をこなしていたサイは、山中家に婿入りするという形をとり、結婚後は「山中サイ」と名乗り、結婚後は息子・いのじんをもうけました。
──数多の神がかった伏線回収により、壮大な物語を描いてきた『NARUTO-ナルト-』ですが、数多登場するキャラクターについて、まだまだ描かれていない謎も多々あります。
続編『BORUTO-ボルト-』が連載中であることからも、今後、さまざまな関連作品の中で新たな真相が明かされるかもしれません。
〈文/lite4s〉
《lite4s》
Webライター。『まいじつ』でエンタメ記事、『Selectra(セレクトラ)』にてサスペンス映画、韓国映画などの紹介記事の執筆経験を経て、現在は1980~90年代の少年漫画黄金期のタイトルを中心に、名作からニッチ作品まで深く考察するライター業に専念。 ホラー、サスペンス映画鑑賞が趣味であり、感動ものよりバッドエンド作品を好む。ブロガー、個人投資家としても活動中。
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