木ノ葉隠れの里以外でもっとも登場シーンの多かったキャラの1人、我愛羅は数々の謎を残しています。また、作中での我愛羅の説明には「矛盾」もあるなど、考察要素の強いキャラです。

◆我愛羅の目が黒いのは「クマ」じゃない?

 我愛羅といえば「目の周りが黒い」のが特徴です。これは、睡眠中に守鶴に体を乗っ取られる恐怖から、慢性的に熟睡ができないことによってできた「クマ」だと説明されていますが、実はそうでない可能性があります。

 第四次忍界大戦で、我愛羅は先代・風影でもある父・羅砂と闘います。その際、羅砂から母・加琉羅の真相が語られ、我愛羅が誕生した当時の回想シーンでは、既に目にクマがある産まれたばかりの我愛羅が描かれたのです。

 さらに、暁に守鶴を抜かれたあとも、既に守鶴に怯えることなく熟睡できているはずにもかかわらず、我愛羅の目の周りのクマは消えていません。

 一方、我愛羅を迎え撃つために羅砂がチャクラを練ったところ、スーッと目の周りに「隈取り」が浮かび上がりました。これは、チャクラの作用でもクマができることを示しています。

 これらのことから、我愛羅が赤ちゃんのときからクマがあったのは、「無意識に練ったチャクラの作用」、または「胎児の頃から本能的に守鶴の脅威と戦っていたことによる睡眠不足」が原因と考察できます。

 また、原作の最終話では、わずかにクマが薄くなっているようにも見えます。もしかすると長年あったクマは、少しずつ消えているのかもしれません。

◆我愛羅はチャクラの「5大性質変化」を一切使えない?

 我愛羅は、数々の大技を使いますが、火遁、風遁などの5大性質変化を用いた術はほとんど使いません。

 第四次忍界大戦で、うちはマダラを相手に「風遁・砂散弾」を使いましたが、これは守鶴の力によるものです。印を守鶴が結んでいたこと、術発動の直前の「守鶴! 仕込め!」との発言からも、風遁は守鶴の力とみていいでしょう。

 5影の1人でありながら、5大性質変化を一切使えないのは少々力不足を感じますが、5大性質変化が使えない忍は、我愛羅以外にもいます。ナルトの友達であるシカマル、チョウシ、いのなどの忍も、固有技のみを使っています。

 5大性質変化の他に「陰陽遁」という性質変化があります。形のあるものに命を吹き込むのが「陽遁」、無から形を作るのが「陰遁」です。

 奈良一族の「影真似の術」、山中一族の「心転身の術」などは陰遁、秋道一族の「倍化の術」が陽遁であることから、砂という形あるものを操る我愛羅の能力は陽遁の一つと考えられます。

 砂隠れでも、砂を操っていたのは歴代風影など一部の忍だけでした。砂を操る能力は、里にとっても貴重といえるでしょう。我愛羅にとって、5大性質変化は不要な力だったのかもしれません。

◆我愛羅は第四次忍界大戦で血継限界「磁遁」に覚醒していた? 

 5大性質変化を使えなかった我愛羅ですが、血継限界である「磁遁」に目覚めていたと考えられる描写があります。

 穢土転生により蘇った父・羅砂は磁遁の力で「砂金」を操りましたが、我愛羅は逆にこれを利用して羅砂の動きを見事に封じました。術名こそ発しませんでしたが、親子での闘いの中でその能力が覚醒したと考えられます。

 磁遁といえば、羅砂のほかに三代目風影、雲隠れのトロイなど、限られた忍しか扱えない貴重かつ強力な能力です。

 暁のサソリと戦ったサクラ、チヨも、三代目風影の人傀儡から繰り出される磁遁の前に苦戦を強いられました。トロイも「この方の攻撃は必ず──」「かわさないとダメだ!!」と、忍連合軍の間で恐れられています。

 砂漠の砂を自在に操り、「砂瀑の我愛羅」としてその名を他里にも轟かせていた我愛羅に磁遁の力が加われば、風影前任者に負けないほど強くなれるでしょう。

 守鶴を抜かれながらも人柱力の力を持っている我愛羅は、歴代最高の風影になれる可能性を秘めています。

◆我愛羅はなぜ「結婚しなかった」のか?

 原作の最終話では、数々の夫婦が誕生していましたが、我愛羅は独身のままでした。大戦終結後は、里の少年であるシンキを養子として迎えています。

 姉のテマリは木ノ葉のシカマルと夫婦になりました。木ノ葉のチョウジと雲隠れのカルイなど、特に目立った接点のなかった意外な組み合わせの結婚もありました。

 我愛羅は、守鶴と適合し、磁遁の力も覚醒した、砂隠れにとっては貴重な遺伝子の持ち主です。そのため、結婚して後継者となる子孫を残すことを期待されていた可能性があります。

 木ノ葉でも千手一族が初代、二代目、五代目と火影を担ってきたように、我愛羅の血筋は、砂隠れにとって重要なものと考えられます。

 また、砂や磁遁を操る能力は3兄弟の中でも我愛羅のみに受け継がれた能力です。父・シカマルにそっくりだった姉・テマリの息子であり、我愛羅の甥にあたるシカダイへの遺伝は期待できないでしょう。

 砂隠れで砂を操る能力者を残していくためにも、我愛羅には結婚して子宝を授かることが期待されます。

 自分と同じ境遇だったシンキを養子にしたのは我愛羅らしい行動ですが、五代目風影として重要な「後継者」問題は、今後の課題といえるでしょう。

 

 ──下忍から風影に就任するまで、長きにわたってその成長や過去が描かれた我愛羅には、謎や設定の矛盾がまだまだ残されています。

 今後、続編となる『BORUTO-ボルト- -NARUTO NEXT GENERATIONS-』で、新たな真実が明かされるかもしれません。

〈文/lite4s〉

《lite4s》

Webライター。『まいじつ』でエンタメ記事、『Selectra(セレクトラ)』にてサスペンス映画、韓国映画などの紹介記事の執筆経験を経て、現在は1980~90年代の少年漫画黄金期のタイトルを中心に、名作からニッチ作品まで深く考察するライター業に専念。 ホラー、サスペンス映画鑑賞が趣味であり、感動ものよりバッドエンド作品を好む。ブロガー、個人投資家としても活動中。

 

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