※この記事にはTVアニメ・原作漫画『NARUTO -ナルト-』のネタバレが含まれます。ご注意ください。
※本記事には一部、TVアニメ・原作漫画『NARUTO -ナルト-』に関するライター個人の考察・見解が含まれます。公式の設定や見解とは異なる場合があります。
『NARUTO -ナルト-』には、物語が終わったあとも読み返したくなる“引っかかり”が残されています。自来也がナルトに警告した「あの術」、カカシの万華鏡写輪眼、ナルトの姓や幼少期の扱いなど、作中で明確に説明されなかった要素は少なくありません。伏線回収の巧みさで知られる作品だからこそ、あえて残されたようにも見える謎を振り返ります。
◆自来也が止めた「あの術」は何だったのか
ナルトが自来也との修行を終えて木ノ葉へ戻った直後、自来也は「あの術は使うなよ……」と意味深な言葉を残しています。読者の記憶にも残りやすい場面ですが、結局この「あの術」が何をさしていたのかは、はっきり語られませんでした。
その後にナルトが見せた新技としては、大玉螺旋丸などがあります。ただ、使用者の身体を大きく損なうような危険性が描かれたわけではなく、自来也がわざわざ念押しするほどの禁じ手だったとは考えにくいところです。
有力なのは、九尾のチャクラを使う力をさしていたという見方です。我愛羅奪還任務でナルトは感情を乱し、九尾の力を漏らしかけます。カカシが自来也から託されていた札で沈静化させた流れを考えると、自来也は術名というより、九尾の力そのものを危険視していた可能性があります。
TVアニメでは、このセリフが「あの力は使うなよ……」というニュアンスに改められており、九尾の力を意識した解釈にもつながります。原作では“術”という言葉が残ったため、完結後も読者の間で議論される謎になりました。
◆カカシの万華鏡写輪眼は、なぜあの時点で使えたのか
我愛羅奪還作戦で、カカシが突如として万華鏡写輪眼を使った場面にも大きな謎があります。デイダラとの戦闘で見せた神威は強力でしたが、それ以前のカカシが万華鏡写輪眼を使えると示す描写はありませんでした。
万華鏡写輪眼の開眼には、深い喪失や強い精神的衝撃が関わるとされています。カカシは過去に、親友であり仲間だったのはらリンを自らの雷切で貫いてしまいました。のちの描写を踏まえると、この出来事が開眼のきっかけだったと考えるのが自然です。
それでも、なぜデイダラ戦まで使わなかったのかという疑問は残ります。カカシはうちは一族ではないため、写輪眼の使用だけでも大きくチャクラを消耗します。実際、神威を使った後は激しく消耗して入院するほどでした。
つまり、開眼自体は過去に起きていたものの、肉体への負担が大きすぎて実戦投入できなかった、あるいは切り札として温存していたと考えられます。描写の順番だけを見ると唐突に見えますが、カカシの身体的な制約を踏まえると、使いどころを選ばざるを得なかった術だったのでしょう。
◆ナルトはなぜ「波風」ではなく「うずまき」だったのか
ナルトは四代目火影・波風ミナトの息子でありながら、父の姓ではなく母の姓である「うずまき」を名乗っています。これも作品内で明確に説明されきったとは言いにくい要素です。
一般的には、四代目火影の子であることを隠すため、あえて母方の姓を名乗らせたと考えられています。ミナトの子であると知られれば、九尾をねらう者や木ノ葉に恨みを持つ者から標的にされる危険があったからです。
ただし、うずまき一族も木ノ葉と縁の深い一族であり、クシナ自身も特別な存在でした。うずまき姓にしたからといって完全に安全だったとは言い切れません。さらに、ナルトは里で孤立し、九尾を宿す存在として周囲から忌避されて育ちました。
他里の人柱力である我愛羅やキラービーが厳重な管理下に置かれていたことを考えると、ナルトの扱いはかなり不安定です。三代目火影なりの配慮はあったとしても、保護や監視が十分だったのかという疑問は残ります。
◆三代目火影はなぜ再び火影になったのか
猿飛ヒルゼンは長く三代目火影を務めたのち、四代目火影となった波風ミナトに座を譲りました。しかし九尾事件でミナトが命を落としたことで、ヒルゼンは再び火影に就任しています。
非常時の暫定措置としては理解できますが、その二度目の任期は決して短くありません。木ノ葉ほどの大きな里で、なぜ新たな火影候補をすぐに立てられなかったのかは気になるところです。
当時の候補としては、自来也や綱手の名が挙がっても不思議ではありません。ただ、自来也は自由に動く人物で、綱手も過去の傷から里を離れていました。政治的にも実力的にも火影にふさわしい人物はいても、本人が受けるかどうかは別問題です。
日向ヒアシや奈良シカク、うちはフガクなど、実力や家柄を持つ人物もいましたが、火影という立場には実力だけでなく里全体の納得も必要です。結果として、経験と人望を持つヒルゼンが再び前に出るしかなかったのかもしれません。
◆柱間がサスケに託した術はどこへ行ったのか
第四次忍界大戦では、千手柱間がサスケにある術を託す場面があります。マダラに対抗するための手段として示されたものの、その術が何だったのか、実際にどのように使われる予定だったのかは、はっきり描かれませんでした。
状況から考えると、柱間の仙術チャクラに反応して相手を縛るような術だった可能性があります。マダラが柱間の力を取り込んでいたため、それを逆手に取るねらいがあったのでしょう。
しかしその後、ナルトとサスケは六道仙人から新たな力を授かり、戦局そのものが大きく変わっていきます。柱間の術を使うよりも、六道の力を得た二人が直接マダラやカグヤに向き合う展開へ移行したため、結果的に出番を失ったと考えられます。
物語のテンポを考えれば自然な流れではありますが、あえて術を託す描写があった以上、読者としては「結局あれは何だったのか」と気になるところです。『NARUTO -ナルト-』には伏線回収の印象的な場面が多いからこそ、この未使用の一手も記憶に残り続けています。
──『NARUTO -ナルト-』は、親子、師弟、因縁、継承を長い時間をかけて描いた作品です。その一方で、すべての疑問が明確な答えを与えられたわけではありません。自来也の警告、カカシの万華鏡写輪眼、ナルトの姓、火影再任、柱間の術など、細部には今も考察したくなる余白が残されています。
もちろん、未回収に見える要素の中には、後の描写からある程度推測できるものもあります。逆に、物語の勢いや構成上、あえて深掘りされなかったものもあるでしょう。そうした余白を読み解くことも、完結後の作品を楽しむ大きな要素です。
壮大な物語を読み終えたあとも、「あの場面はどういう意味だったのか」と考え続けられること。そこにこそ、『NARUTO -ナルト-』が今なお語られ続ける強さがあるのかもしれません。
〈文/相模玲司〉
《相模玲司》
編集プロダクション勤務を経て、フリーランスの編集・ライターとして活動。メンズファッション誌の編集、週刊誌Web版での取材記事制作、アニメ・漫画関連のムック本制作など、幅広い媒体で編集・執筆経験を持つ。アニギャラ☆REWでは、アニメ・漫画・映画を中心としたエンタメ記事の編集、構成確認、コンテンツ制作を担当している。
※サムネイル画像:Amazonより 『「NARUTO -ナルト-」第2巻(出版社:集英社)』


