7月より新作アニメの放送が始まった『地獄先生ぬ~べ~』ですが、実はぬ~べ~が倒せなかった妖怪も存在します。また、この作品は、連載開始前に紆余曲折を経てタイトルを変更されたり、のちに発売された文庫版で明かされた裏話もあります。

◆ぬ〜べ〜が倒せなかった「ある意味最強」の妖怪たち

 鬼の手で悪霊や妖怪から生徒を守ってきたぬ~べ~ですが、実はいろいろな事情があって倒せなかった妖怪もいたのです。いったいどんな理由だったのでしょうか?

●真の姿が意外過ぎた玃(やまこ)

 「玃」は、オスしか生まれず、人間の女性と結ばれることで子孫を残していく妖怪です。その日、一匹の玃が人里に下り、人間に化けて自分の伴侶を見つけることにしました。

  玃が選んだのはぬ~べ~のクラスで、女子生徒たちは「男の子が転校してくる!」とみんな目がキラキラ。

  しかし、ぬ~べ~に連れられて現れたのは、女子生徒たちが期待していたイケメンとは程遠い顔立ちをした男の子でした。

  一気に気持ちが冷めた女子たちとは裏腹に、「玃(かく)ケンジ」と名乗る玃(やまこ)は美少女が勢ぞろいしているぬ~べ~クラスの女子にメロメロ。

  あの手この手でキザなセリフを囁いたり、バラの花を贈ったりするものの、女子たちは誰一人として振り向かないばかりか、とうとう玃を無視する始末。

 「女にモテない悪霊でも憑いているのか?」と哀れに思ったぬ~べ~が調べたところ、ケンジが妖怪だと発覚したのです。

  ぬ~べ~と男子生徒たちは「このままでは女子がみんなさらわれてしまう!」と慌てますが、そんなとき、玃が命がけで事故から女子たちを守り、自分は大ケガを負ってしまいます。

  その姿を見た女子たちは「彼は純粋な心の持ち主なのだ」と改心するも、やはり顔面が受け付けず「友達ならなってあげてもいいけれど、恋人にはなれない」と全員がお断り。

  玃も性格の良い妖怪だったため、「自分には女の子にモテるだけの魅力がなかった。もう一度、山に帰って修行してくる!」と決意し、本来の妖怪の姿に戻ることに。

 「さらばだ愛しいベイベーたち」と言って手を振った玃の妖怪の姿は、アイドルにも引けを取らないほどの超美少年だったのです。

  その途端、女子たちは手のひらを返したように心を奪われてしまい、「恋人にして~!」と言いながら玃を追いかけます。

  残されたぬ~べ~と男子たちは「あいつ、妖怪の姿ならすっげーカッコイイじゃん…」「アホで助かったよ」と脱力するのでした。

●ぬ~べ~を「パンツ」にするためにやってきた眠鬼(みんき)

 ぬ~べ~が左手に封印している鬼には「眠鬼」という妹がおり、兄の仇を取ろうとぬ~べ~に襲いかかります。

 眠鬼は強い霊能力があるぬ~べ~を「パンツ」にしようと試みますが、ひょんなことから自分が履いているパンツをなくしてしまい、力のコントロールができなくなっていました。

  そこからは学校中の生徒や教職員がパンツ1枚にされたり、男子生徒たちがパンツにされたりとすったもんだの展開になりましたが、最後はぬ~べ~と和解して眠鬼は彼の妹になることを決意し、それからはぬ~べ~と一緒に暮らすことになったのでした。

詳しく読む⇒『地獄先生ぬ~べ~』ぬ〜べ〜が倒せなかった「ある意味最強」の妖怪たち

◆『地獄先生ぬ~べ~』に隠された裏話

 『地獄先生ぬ~べ~』ですが、過去にはタイトルの変更を余儀なくされるなど、茨の道を歩んでいたようです。はたしてこの作品にはどのような裏話があるのでしょうか?

●本当は『地獄先生ぬ~ぼ~』になる予定だった? タイトル変更の理由はまさかの「お菓子」

 同作のタイトルに入っている「ぬ~べ~」は、主人公・鵺野鳴介の愛称です。

 読者からも親しまれているこの呼び方ですが、原作者が当初付けていたタイトルは『地獄先生ぬ~ぼ~』でした。

 実際、コミックス第3巻に収録されている特別読み切りのタイトルは『地獄先生ぬ~ぼ~』でしたが、その後『週刊少年ジャンプ』で連載するにあたり、「ぬ~ぼ~」という森永製菓のお菓子が実在することが判明。

 作者は、もし同作がアニメ化された際、協賛が森永製菓のライバル企業だった場合に起こり得るトラブルを考慮した結果、タイトルを『ぬ~べ~』に変更して連載することにしたのだとか。

 コミックス内で作者は「トホホ」とコメントしていることから、少なからずタイトル変更にショックを受けていたようです。

 森永製菓が製造していた「ぬ~ぼ~」は1988年から1996年まで販売されており、パッケージに描かれていたかわいらしいキャラクターは1990年に『ぬ~ぼ~・きえたメダル』のタイトルでOVA化もされています。ぬ~ぼ~役はTARAKOさんが担当。

 このことを踏まえると、無用なトラブルを防ぐためにも『ぬ~べ~』サイドがタイトルを変更したことは賢明な判断だったといえるでしょう。

●ありえないほど人気が二分化?──妖狐・玉藻

 文庫本第1巻「#11 妖狐・跳梁跋扈の巻(前編)」から登場する玉藻京介は、狐の妖怪の中でも最高位に君臨する妖狐です。

 容姿端麗で知能の高い玉藻はぬ~べ~とも互角に渡り合うほどの実力の持ち主で、作中で特に内面的な成長を遂げたキャラクターでもあります。

 妖怪でありながらぬ~べ~のライバルを経て親友になるなど、かなり良いポジションにいる玉藻ですが、文庫本のメイキングでは『週刊少年ジャンプ』のメイン読者である男子小学生からほとんど支持されなかったことが明かされました。

 作者によると、それまで『週刊少年ジャンプ』の読者アンケートでも同作は決して高い位置にランクインしていたわけではなかったものの、玉藻の登場でますます下位まで人気が急降下する結果に……。

 その結果、玉藻は次の登場までかなりの時間を要し、作品の内容も従来の学校の怪談タイプのエピソードを中心に戻して読者アンケートでの人気回復を図りました。

 逆に、玉藻は女性読者から絶大な支持を得ており、作者は多くの人にウケる作品を描くことの難しさを痛感させられたのでした。

詳しく読む⇒『地獄先生ぬ~べ~』に隠された4つの逸話  「本当は“ぬ~ぼ~”になる予定だった?」「てけてけ登場の裏側」ほか

〈文/アニギャラ☆REW編集部〉

 

※サムネイル画像:Amazonより 『「地獄先生ぬ~べ~」第18巻(出版社:集英社)』

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