<この記事にはTVアニメ・原作漫画『ONE PIECE』のネタバレが登場します。ご注意ください。>

 ロロノア・ゾロの圧倒的な強さと存在感の裏には、ただの剣豪にとどまらない深い意味が隠されているようです。覇王色の覇気をめぐる描写や、レイリーやシャンクスと重なる資質、そして家系に関する思わぬつながりまで……。ゾロという男の真の姿に迫る手がかりは、作品の随所に散りばめられています。

◆ゾロが見せた「覇王色」の真骨頂 レイリーやシャンクスに共通するモノ【考察】

 これまで覇王色の覇気はルフィを代表とする限られた者だけの力とされてきましたが、ゾロにもその“王の資質”が秘められている証として、ワノ国編では覇王色の覇気が使えることが明かされました。彼には、シルバーズ・レイリーやシャンクスに通ずる王の風格が見え隠れしています。彼が持つ「野望なき忠誠」という独特な強さの源とは、いったいどのようなものなのでしょうか?

●野望なき剣士が持つ“王の資質”

 ゾロの野望はあくまで「世界一の剣豪になる」ということであり、ルフィの「海賊王になる」という目標とは性質が異なります。誰かを従えるためでも、名声や富のためでもなく、彼にとって“剣の道”とは、己自身との戦いであり、信じる者のために振るう刃でもあります。

 「覇王色の覇気を持つにふさわしい資質」を持ちながらも、そんな力すらも無言のまま当然のように使いこなす姿勢に、心を打たれた読者も多いでしょう。

 ゾロの戦いは常に“誰かのため”という想いとともにあります。くいなとの約束を守るため、仲間の夢を守るため、そして船長であるルフィを海賊王にするため、彼は常に自分以外の存在に重きを置いているのです。

 この利他的な強さこそ、まさに覇王色の本質に通じる資質であり、誰かのために戦い続けるゾロの姿勢は、そのまま彼の覇気の強さとなって表れていると考えられます。

 覇王色の持ち主の多くは、物語を動かす中心人物として描かれていますが、ゾロの場合は常にルフィの背後に立つ存在であり、中心人物かと問われればそうではありません。

 しかしゾロが一歩前に出たときの説得力や、空気を変えるほどの迫力、仲間を守るときの動じない意志には、自然と人を従わせる力があり、これこそが信頼で人々を引きつける力といえます。

 ルフィが太陽のような王であるなら、ゾロは影に徹する王であり、それこそが今のゾロに与えられた“王の資質”であると考えられるでしょう。

●レイリーやシャンクスとの共通点

 実は、ゾロの“王の資質”は、かつてゴール・D・ロジャー(ゴールド・ロジャー)を支えた海賊王の右腕、シルバーズ・レイリーと共通しています。レイリーは剣士であり、副船長としてロジャーを陰で支え続けた人物です。彼もまた、覇王色の覇気を自在に使いこなしていました。

 そんなレイリーとゾロは、「王を導く器」を持っている点で共通しており、自らが主役になることなく、主君の器を見極め、その背を支える忠誠と実力を兼ね備えています。

 一方で、ゾロとシャンクスにも「覇王色の強さ」や「沈黙のカリスマ性」といった共通点があります。

 シャンクスはゾロやレイリーのように“支える者”ではなく、自ら“王”として君臨する立場ではありますが、人を惹きつけるその佇まいは、ゾロの魅力にも通じる部分があるといえます。

詳しく読む⇒王じゃないのに王の風格! ゾロが見せた「覇王色」の真骨頂 レイリーやシャンクスに共通するモノ【ワンピース考察】

◆ゾロとくいなは親戚!? 家系図が導き出した見事な伏線?【考察】

 ゾロは、生前のくいなと約束した誓いを果たすため日夜鍛錬を積んでいますが、実はくいなと「親戚関係」にある可能性が浮上し、ファンを驚かせています。二人の間には、いったいどのようなつながりがあったのでしょうか?

●ゾロの家系──祖父も剣士だった

 コミックス第105巻で、ゾロの家系が明かされています。

 ゾロはコミックス第1巻の第3話から登場しているにもかかわらず、ほかの麦わらの一味とは違って家族がいるのかいないのかさえも明かされていませんでした。

 ところが、原作者の尾田栄一郎先生がコミックス第105巻のSBSで、「本編ではもう明かさないと思うから」との理由からついにゾロの家系図を公開しました。

 それによると、ゾロの祖父は村で剣士をしていたロロノア・ピンゾロ、祖母は霜月フリコという名前です。

 フリコは元大名の霜月牛マルの姉。つまり、牛マルはゾロにとって「大叔父」ということになります。

 ピンゾロとフリコの間に誕生した息子のロロノア・アラシは、成長後、盗賊の娘であるテラと結ばれ、ゾロが生まれました。

 ゾロの誕生の後、アラシは海賊との戦いで、テラは病気で亡くなっています。

 成長したゾロは海に出ますが、元来の方向音痴のため故郷のシモツキ村に帰ることができなくなってしまいます。生活費を稼ぐために海賊を倒して懸賞金を得る生活を送っているうちに、「海賊狩り」として名を馳せるようになりました。

 その後、海軍に捕まっていたところをルフィに助け出されて仲間となりましたが、当初、「海賊なんて外道だ」と吐き捨てていたのは、「父親が海賊との戦いで亡くなっているからではないか」とファンの間で考察されています。

●くいなの家系──祖父は刀鍛冶にして剣豪だった

 コミックス第105巻では、ゾロと同時に霜月くいなの家系図も公開されています。

 彼女の祖父である霜月コウ三郎は、ワノ国で刀鍛冶をしており、剣豪でもありました。

 祖母は「村の娘」という情報しかありませんが、2人の間に生まれたのがくいなの父親であり、のちに一心道場の師範となるコウシロウでした。

 コウシロウは、のちに結ばれた女性との間にくいなをもうけますが、くいなの母親の名前は明かされていません。

 しかし、2009年公開の映画『ONE PIECE FILM STRONG WORLD』の入場者特典『ONE PIECE 巻零』で、生まれたばかりのくいなをかわいがる両親の姿が描かれています。

 その中で、「この子には道場を継がせたかったが…女の子ではねェ…」とのコウシロウの発言に、くいなの母が「あら大丈夫よ」「強くなるわよねーくいな」と答えています。

 母親の言葉通り、くいなは道場の門下生の中で誰よりも強く育ち、ゾロとの勝負には2001回も勝つほどの実力を身につけましたが、11歳のときに家の階段から落ちて亡くなっています。

●ゾロとくいなは親戚?──96巻の見事な伏線回収

 ゾロとくいなは、「親戚である可能性が極めて高い」といえるでしょう。

 なぜなら、コウ三郎と牛マルはどちらも、ワノ国に古くから存在する大名一族の名「霜月」を名乗っているためです。

 コミックス第93巻の、モモの介が「スナッチ」という掛け声を口にするシーンでは、ゾロも幼少期に「村のジジー」から剣を振るときの「勇気が出るおまじない」として「スナッチ」を教えられたと語っています。

 実は、この「村のジジー」こそ、霜月コウ三郎だったのです。

 尾田先生はコミックス第96巻のSBSでこの事実を明かした際、「あれ?もしかして…ゾロの血筋って!?」と読者に問いかけ、第105巻でついにゾロの家系図が公開されました。

詳しく読む⇒ゾロとくいなは親戚!? 家系図が導き出した見事な伏線?【ワンピース考察】

〈文/アニギャラ☆REW編集部〉

 

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