海賊として過酷な冒険を続けているルフィたちですが、彼らが船の上でどんな日常生活を送っているのかは、本編ではあまり語られていない部分です。しかし、実は作者の尾田栄一郎先生によって、麦わらの一味それぞれの「入浴頻度」や「お風呂での過ごし方」といった、驚くほどリアルな生活習慣が詳細に設定されているのです。
◆ナミとロビンは毎日、でも男たちは……? 明かされた意外な格差
この詳細な設定が明かされたのは、コミックス第67巻の質問コーナー「SBS」でした。「一味の入浴事情はどうなっているのか?」という読者の質問に対し、尾田先生の回答は、キャラクターたちの生活感をありありと想像させるものでした。
まず、ナミ、ロビン、そしてサンジ。この3人は「毎日」入浴しているそうです。女性陣の清潔感はもちろんのこと、レディへの配慮を欠かさないサンジも、やはり身だしなみには人一倍気を使っていることが分かります。
一方で、ルフィやゾロ、ウソップといったそのほかの男性クルーたちは、毎日入るわけではありません。
尾田先生によると、彼らは時折開催される「大お風呂大会」でまとめて馬鹿騒ぎをするのが通例だといいます。毎日こまめに入るのではなく、入るときは全員で盛大に遊ぶ。まるで修学旅行の男子部屋のようなノリで、船の狭い浴場でふざけ合っている光景が目に浮かびます。
そしてもっともユニークなのが、チョッパーです。彼は「おととい体を拭いたから」という理由で入浴を断ることがあります。人間からすれば「拭くだけ?」と思ってしまいますが、動物である彼にとっては「体を拭くこと」も立派な入浴のカウントに入るという、独自のルールを持っていたのです。
また、マスコット的存在のチョッパーは、ナミやロビンといった女性陣から「一緒に入ろう」と誘われることが多いとのこと。しかし本人の希望としては、優雅なバスタイムよりも、ルフィたちと騒げる「男風呂大会」のほうが好きなのだそうです。
こうした細かな生活習慣の設定は、彼らがたんなる戦うヒーローではなく、狭い船の上で寝食をともにし、同じ釜の飯を食い、ときにはお風呂で騒いでいる「生きた人間」であることを強く感じさせてくれます。
──麦わらの一味の入浴事情という何気ない設定は、キャラクターを遠い世界の「冒険の英雄」ではなく、すぐそばで生活している「仲間」として感じさせてくれます。
「SBS」で描かれるこうした日常の積み重ねこそが、読者に長年愛され続ける「距離の近さ」を生み出し『ONE PIECE』という物語に温かみを感じさせてくれるのかもしれません。
〈文/凪富駿〉
《凪富駿》
アニメ・漫画に関するWebメディアを中心に、フリーライターとして活動中。特にジャンプアニメに関する考察記事の執筆を得意とする。作品とファンをつなぐ架け橋となるような記事の作成がモットー。
※サムネイル画像:Amazonより 『DVD「ONE PIECE Log Collection “NAMI”」(販売元:エイベックス・ピクチャーズ)』



