サンジの最大の武器といえば、強烈な蹴り技です。作中では巨大な岩を粉砕し、鉄の塊すらへこませるほどの威力を誇りますが、そのキック力を具体的な数値で表すといったいどれくらいになるのでしょうか。ある読者からのこの素朴な疑問に対し、尾田栄一郎先生はコミックスの質問コーナー「SBS」にて、とんでもない「新単位」を提示していました。
◆ゲーム機ごと吹き飛ぶ? 想像を超えて生み出された「単位」
そのユニークな回答が飛び出したのは、コミックス第8巻の質問コーナー「SBS」でのこと。ある読者から「サンジさんのキック力は何g/cm³ですか? 小数第2位まで求めて教えてください」という、非常に具体的な質問が寄せられました。
これに対し、尾田先生はまず「はっきり言って計測不能です」と即答。作中でのサンジの強さは、現実世界の物理法則を遥かに超えているため、そもそもg/cm³という単位で測ること自体がナンセンスだということです。
さらに分かりやすいたとえとして、ゲームセンターにあるキック力を測定するゲーム機を引き合いに出しました。「例えばあれをサンジがやると、機械ごと店の外まで吹き飛ばしてしまいます」。もはや数値を測る以前の問題で、測定器そのものが破壊されてしまうという、まさに怪物級の強さを証明するエピソードです。
しかし、それでも何らかの基準を示そうとした尾田先生は、ここでまさかの“新単位”を提案します。「でもあえて単位をつけるならば、21バット。木製バット21本を一撃で折れる力です」。
g/cm³という理系的な単位を無視し「バット何本分か」という極めて感覚的かつ少年漫画らしい単位で答えるあたり、尾田先生のセンスが光ります。この「21バット」という数字が具体的にどれほどのエネルギーなのか、科学的に検証しようとすると頭が痛くなりそうですが、少なくとも読者にとっては「とにかくメチャクチャ強い!」ということだけは強烈に伝わったはずです。
細かい数値や理屈よりも、一撃でバットを何本折れるかという分かりやすさ。これこそが、少年たちの心を掴んで離さない『ONE PIECE』の魅力であり、サンジというキャラクターの豪快さを象徴するエピソードといえるでしょう。
──サンジの強さは、現実の数式では測れません。だからこそ「21バット」という遊び心あふれる単位が生まれたのです。それこそが、理屈よりワクワクを優先する『ONE PIECE』らしさであり、尾田先生が描き続ける「少年漫画」の正体なのではないでしょうか。
〈文/凪富駿〉
《凪富駿》
アニメ・漫画に関するWebメディアを中心に、フリーライターとして活動中。特にジャンプアニメに関する考察記事の執筆を得意とする。作品とファンをつなぐ架け橋となるような記事の作成がモットー。
※サムネイル画像:Amazonより 『DVD「ONE PIECE Log Collection “QUEEN”」(販売元:エイベックス・ピクチャーズ)』



