『ONE PIECE』の麦わらの一味といえば、船長のルフィを中心とした若く勢いのある海賊団というイメージが強いですが、コミックス初期のSBSや公式サイトで明かされた公式設定を見ると、10代の若者たちだけでなく、意外なほど幅広い世代が同居する、少年漫画としてはかなり珍しい年齢構成のチームだったのです。
◆10代中心かと思いきや? 意外な「30代・90歳」の存在感
麦わらの一味の年齢については、連載初期のコミックス第4巻、第7巻、第19巻のSBSで、尾田栄一郎先生自身が読者からの質問に答える形で明らかにされています。
まず、物語の主人公であるルフィは17歳。ゾロとサンジは19歳、ナミは18歳、ウソップは17歳と、初期メンバーは確かに10代後半の若者たちで構成されています。アラバスタ編で仲間になったビビは16歳、チョッパーも人間換算で15歳と、いずれも同年代の少年少女たちです。
しかし、物語が進み、新たな仲間が加わるにつれて、一味の年齢層は一気に広がっていきます。なんと、考古学者のロビンは初登場時で既に28歳、船大工のフランキーが34歳、ジンベエに至っては44歳と、彼らはルフィたちよりも一回り以上年上の「大人」だったのです。
さらに極めつけは音楽家のブルック。なんと彼の年齢は初登場時で88歳。ガイコツとして蘇る前の人生も含めれば、一味の中でダントツの最年長となります。10代の無鉄砲な船長、それを支える20代の兄貴分、冷静な30代の大人たち、そして約90年の孤独を知る音楽家。これほど幅広い世代が、年齢差を感じさせずに一つの船に乗り込んでいる海賊団は、少年漫画としてはかなり異色といえるでしょう。
2年後の新世界編では、ルフィ19歳、ゾロ・サンジ21歳、ナミ20歳、ウソップ19歳、チョッパー17歳へと成長し、精神的にも肉体的にもたくましくなりましたが、それでもロビンやフランキー、ジンベエ、ブルックとの年齢差は埋まりません。ブルックに至っては90歳になっています。
しかし、この年齢のバラつきこそが、麦わらの一味の強みでもあります。若さゆえの爆発力と、大人の包容力、そして老成した知恵。それぞれが生きてきた時間の長さが違うからこそ、彼らは互いに補い合い、どんな困難も乗り越えられる最強のチームとして機能しているのかもしれません。
──麦わらの一味は“若い海賊団”というイメージが強いですが、実際は10代から30代、さらには90歳までが肩を並べる異色のチームです。世代も価値観も違う者たちが対等に笑い、戦い、宴をする。その年齢差こそが『ONE PIECE』という物語に深みと広がりを与え、読者を惹きつけ続ける理由の一つなのではないでしょうか。
〈文/凪富駿〉
《凪富駿》
アニメ・漫画に関するWebメディアを中心に、フリーライターとして活動中。特にジャンプアニメに関する考察記事の執筆を得意とする。作品とファンをつなぐ架け橋となるような記事の作成がモットー。
※サムネイル画像:Amazonより 『「ONE PIECE」第61巻(出版社:集英社)』



