エースが40歳になっても生きていたら「ルフィに借金」をしていたかも──?
頂上戦争編で命を落としたポートガス・D・エースですが、彼が生きていたらどんな大人になっていたのでしょうか。コミックス第89巻のSBSで尾田栄一郎先生が描き下ろしたエースの「40歳の姿」には、理想的な成長を遂げた姿と想像を絶するほど落ちぶれた“もう一つの未来”が同時に提示されていました。
◆頼れる兄貴か弟に借金するダメ男か…… 衝撃の何かあった未来
その対照的な二つの人生が描かれたのは、コミックス第89巻の質問コーナー「SBS」でした。読者からの「エースの40歳と60歳の姿が見たい」というリクエストに応え、尾田栄一郎先生は2パターンのイラストを描き下ろしています。
一つは、順調に人生を歩み「立派に育った未来」の姿です。40歳になったエースは、かつてのシャンクスやレイリーを思わせるような渋さと風格をまとい、堂々たる大海賊へと成長しています。多くのファンが思い描いていた、頼れる兄貴の理想的な完成形といえるでしょう。
しかし、読者に強烈なインパクトを与えたのは、もう一つの「何かあった未来」と呼ばれるイラストでした。
「何かあった未来」のエースは、かつてのたくましい面影をすっかり失い、髪はボサボサで堕落した姿で描かれています。さらには「おっすルフィ金かしてくれ」と、あろうことか弟に借金をする始末。海賊としての誇りも野心も失い、完全に落ちぶれてしまった悲しい男の末路がそこにはありました。
同じ人物でありながら、選択や環境、あるいは夢を失うことによってここまで違う未来が描かれるという対比は、非常に残酷でありながら衝撃的です。
尾田先生はエース以外にも、麦わらの一味などの「何かあった未来」をたびたびSBSで描いていますが、これはたんなるギャグやお遊びではありません。「もしも」の可能性を通して、キャラクターたちが本編でいかに過酷な道を、強い意志を持って切り開いているかという本質的な生き様を浮き彫りにしているのかもしれません。
ちなみに、60歳のエースの「立派に育った未来」については、貫禄のある白髪交じりの大人になっており、「引退だ」と引退宣言をしています。
一方で「何かあった未来」では、太って頭の薄くなった姿をしており、「チョッパー金庫から少し……」といったように落ちぶれた様子が描かれていました。
──エースの40歳の姿は、「何を選びどう生きるか」で人生が大きく分岐することを示しているといえます。同じ人物でも未来は一つではありません。決して描かれることのなかったその対比こそが、エースというキャラクターの可能性と彼が命を懸けて守り抜いた誇りの尊さを、さらに際立たせているのではないでしょうか。
〈文/凪富駿〉
《凪富駿》
アニメ・漫画に関するWebメディアを中心に、フリーライターとして活動中。特にジャンプアニメに関する考察記事の執筆を得意とする。作品とファンをつなぐ架け橋となるような記事の作成がモットー。
※サムネイル画像:Amazonより 『「ONE PIECE」第18巻(出版社:集英社)』



