筋骨隆々で鋭い眼光をあわせ持つクロコダイルですが、ファンの間では「かつて女性だったのではないか?」という噂が囁かれています。

 その理由の一つがホルホルの実の能力者であるエンポリオ・イワンコフが彼の弱みを握っていること。「何らかの理由で性別を変えられ、それを隠したいと思っているのでは?」といわれているのですが、ほかにはどのような理由があるのでしょうか?

◆右耳のピアス──女性だったときの名残?

 クロコダイルは右耳にのみゴールドのピアスをつけていますが、中世ヨーロッパでは男性は左耳、女性は右耳にピアスをつけるという風習があったとされています。

 この風習は、男性の場合、戦闘時に右手に武器を持ち、左側で女性を守る側であること、女性の場合、女性らしさや、守られる側であることを象徴するものといわれているのです。

 そのため、クロコダイルが右耳にピアスをしているのは、女性の名残なのではないかと考察されています。

◆扉絵のタイトルの意味──クロコダイルの過去を暗示している?

 原作コミックス第93巻の第938話のサブタイトルは「“女の秘密”」で、扉絵のイラストにクロコダイルが描かれています。

 これは「腹部を砂化して小鳥を遊ばせるクロコダイル」という読者のリクエストに原作者の尾田栄一郎先生が答えて描いたイラストですが、クロコダイルの女性説がネットで浮上してから何年も経っているにもかかわらず、わざわざ「“女の秘密”」というサブタイトルのときに彼のイラストを掲載していることから、

 クロコダイルの過去を暗示しているのではないかといわれています。

 尾田先生は「ネット上の読者の考察を読み、その裏をかいた内容をマンガに反映しているのではないか」などとSNSで噂されているのですが、あえて際どいタイトルのときにクロコダイルのリクエストをチョイスするあたり、なにかしら読者に伝えたいメッセージがあったのかもしれません。

◆王下七武海のモデルと考察されている「七英雄」との類似点

 クロコダイルはかつて政府に略奪行為を許された海賊、「王下七武海」のメンバーでした。

 尾田先生が公言しているわけではないのですが、王下七武海のモデルは、1993年に発売された『ロマンシングサ・ガ2』の「七英雄」だとファンの間で考察されています。

 七英雄のキャラクターは、クロコダイルを含む「旧七武海」のメンバーといくつもの類似点があります。

 たとえば、クロコダイルに似ているとされるワグナスは、国の支配を企んで敵国の同士討ちをねらうという冷酷非道なキャラで、男性でありながら女性の身体的特徴もあわせ持ち、性別が不明瞭なところがあります。

 ボクオーンは、各地で部下が暗躍している上にあくどい商売を行っていたこと、人形使いであったことなど、ドレスローザ編のドフラミンゴに通ずる部分があります。

 七武海の紅一点、ハンコックに似ているとされるロックブーケは、女戦士の村の女王なのですが、相手を魅了させるところがハンコックの食べた「メロメロの実」の能力そのものといえるでしょう。

 ほかにもノエルの天才剣士という設定は大剣豪のミホーク、ゾンビや霊体を配下としているクジンシーはモリア、海流を操って攻撃する半魚人のスービエはジンベエ、身体を改造し神出鬼没の暴君であるダンターグはバーソロミュー・くまと酷似しています。

 七英雄と旧七武海のメンバーにこれだけの類似点があることから、クロコダイルにワグナスと同様女性の要素があっても不思議ではありません。

Netflixの実写版で女性として登場?

『ONE PIECE』は20238月末よりNetflixで実写化されていますが、

 その中にゴールド・ロジャー(ゴール・D・ロジャー)の処刑のシーンが映されています。

 このシーンは原作マンガにも収録されていますが、実写版では、なんと女性だったころのクロコダイルが映っているのではないかといわれ、話題となっているのです。

 その正体不明の女性は、三つの首飾りを重ね、右耳に大きなピアスを付けており、右耳のピアスがクロコダイルを彷彿とさせます。

 製作、脚本、共同ショーランナーを担当するスティーヴン・マエダ氏は、北米発のゲーム・エンタメ情報サイト『IGN』に対して、第1話にクロコダイルが登場していたという説について「聞いたことがある」「好きなように解釈してほしい」と語っています。

 この発言により、「『ONE PIECE』の公式がクロコダイル女説を認めたことになるのでは?」とネットで話題となり、原作でのさらなる深堀が求められています。

 尾田先生は「原作に必要ないことにはマンガで触れない」とコミックスで言及していますが、長年にわたってモヤモヤしてきたファンたちは、1日も早く真相が明かされることを願っているようです。

〈文/花束ひよこ〉

 

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