ナミの出生の秘密はまだ明かされていませんが、コミックス第8巻で、サンジは「実はナミさんは人魚なのではないか」と言っています。

 人間にしか見えないナミですが、人魚のしらほしと意外な共通点があり、一部のファンの間では、ナミは人魚なのではないかと考察されています。

◆謎の多いナミの出生──早くから「人魚の伏線」があった?

 前述の通り、コミックス第8巻という早い段階でナミは「人魚なのではないか」とサンジに思われていましたが、このときはそれ以上深く掘り下げられず、ルフィが描いた半魚人のようなナミの似顔絵を見て、サンジが激怒して終わっています。

 しかし、『ONE PIECE』はキャラクターの何気ない一言が重要な伏線になることも多く、実際に、自分のことを「プリンス」と言っていたサンジはジェルマ王国の王子でした。

 ナミの出身地も人魚に関係があるのかと思いきや、詳しいことはいまだに分かっていません。

 ナミは東の海の「ココヤシ村」で育ちましたが、ここは生まれた場所ではありません。義母であるベルメールに引き取られ、義姉のノジコとともにココヤシ村で暮らすようになりました。

 ベルメールとノジコと出会ったのは同じ東の海にある「オイコット王国」。オイコット王国が海賊に襲われた際、生みの親とは死別したと考えられています。

 当時、赤ちゃんだったナミを拾った3歳のノジコが、ナミを抱っこしながらあてもなく歩いていたとき、海兵だったベルメールが声をかけ、二人を養女にしたのでした。

◆しらほしとの意外な共通点──二人とも母親が……

 その後、ナミと人魚の関係について、作中で触れられることはありませんでしたが、コミックス第64巻で人魚のしらほしと出会い、ナミが人魚である可能性を示唆する伏線が再び登場します。

 しらほしはナミを見て「初めて会ったのになんだかホッとする」と口にし、それに対しナミは「境遇が少し似てるからかな」と返答。    

 実際に二人の境遇を照らし合わせてみると、驚くほど似ています。

 まず、二人は母親を魚人に射殺されています。さらに、二人は魚人の手により10年近く部屋に閉じ込められていました。

 ナミは泥棒をするため外出することもありましたが、アーロン一味に海図を描くことを強制され、それが終わるまで部屋を出てはいけないと厳しく言いつけられていました。

 一方しらほしは、バンダー・デッケン九世から付きまとわれ、飛んでくる凶器がから逃れるため、竜宮城の硬殻塔に幽閉されていました。そのため、母親の墓参りにも行くこともできませんでした。

 さらに、二人の母親は、似たような言葉を娘に残しています。

 コミックス第9巻で、ベルメールはナミに「女の子だって強くなくちゃいけない」「どんなことがあっても生まれてきたこの時代を恨まないで」と言っています。コミックス第63巻では、オトヒメがしらほしに「私のために怒りや憎しみに囚われないで」「しらほし、心をしっかり」と言っています。

 二人とも、母親の命を奪われた悲しみを乗り越え、強く生きようと決意したのでした。

◆二人とも古代兵器なのか?──しらほしはポセイドンだったが……

 コミックス第65巻で、海王類と話すことができ、その行動を操ることができるしらほしの正体は「古代兵器ポセイドン」だと、ロビンが指摘しています。

 実は、ナミも古代兵器の一つである「ウラヌス」なのではないかと一部のファンは考察しています。

 ウラヌスという名前は、ギリシャ神話に登場する「天空神・ウーラノス」に由来するとされています。

 ナミは、天候棒を使って天候を操り、麦わらの一味がバラバラになったあと、コミックス第54巻で天候を科学する国「ウェザリア」という場所に飛ばされています。

 そのため、天候を操る能力を持つナミも、古代兵器なのではないかと考察されています。

◆人魚は酒好きが多い?──ナミの酒豪には理由があるのか

 作中に登場する人魚は酒好きで、「ウォーターセブン編」に登場するココロも常に酒を飲んでいました。

 しらほしの母親のオトヒメや父親のネプチューン王も、お酒を浴びるほど飲んでいる描写がありますが、彼らは酔っていることが多いので、あまりお酒には強くないのかもしれません。

 一方、ナミは作中でも屈指の酒豪として知られており、ウイスキーピークでは、周囲の人間と飲み比べをして負けることはありませんでした。

 海賊だから酒好きというだけかもしれませんが、人魚たちもナミも酒好きという共通点は、ナミ人魚説を裏付ける根拠の一つとされています。

 また、人魚は美しい容姿をしていることが多いですが、ナミも自分のかわいさや美しさをアピールすることがよくあります。

 もしナミが本当に人魚だとしたら、自分の美貌に自信を持っているナミが、それを隠しているとは考えにくいでしょう。もしかしたら、ナミ自身はまだ自分が人魚であることに気づいていないのかもしれません。

 いずれにしても、ナミの出生やオイコット王国での立場など、謎は多く残されており、今後の展開が注目されています。

 

 ──『ONE PIECE』に登場するキャラクターの中でもひときわ壮絶な過去を持つナミとしらほしが似たような境遇だったのは、「偶然」の一言では片づけられないかもしれません。古代兵器についてはまだ謎が多いですが、もしもナミが古代兵器と関わりがあるとすれば、人魚であるしらほしとの共通点はさらに増えるでしょう。

〈文/花束ひよこ〉

 

※サムネイル画像:Amazonより

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